Red Hat Enterprise Linux(レッドハットエンタープライズリナックス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
Red Hat Enterprise Linux(レッドハットエンタープライズリナックス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
レッドハットエンタープライズリナックス (レッドハットエンタープライズリナックス)
英語表記
Red Hat Enterprise Linux (レッドハットエンタープライズリナックス)
用語解説
Red Hat Enterprise Linux(RHEL)は、アメリカのRed Hat社が開発・提供する、企業向けのLinuxディストリビューションである。これは、Linuxオペレーティングシステム(OS)の一種であり、特にその安定性、信頼性、セキュリティの高さ、そして包括的なサポート体制によって、ビジネス環境で広く利用されている。オープンソースソフトウェアを基盤としながらも、エンタープライズグレードの品質と長期的なサポートを保証することで、企業の重要なシステム基盤として選ばれ続けている。
RHELが「エンタープライズ向け」とされる理由はいくつかある。まず、長期的なサポートライフサイクル(通常10年以上)が提供される点である。企業システムでは、一度導入したOSを頻繁にアップグレードすることは難しい場合が多く、長期にわたって安定稼働を続けるための保証が不可欠となる。RHELは、この長期サポート期間中、セキュリティパッチやバグ修正、機能強化などのアップデートを継続的に提供し、システムの安全と安定を保つ。次に、厳格な品質管理とテストプロセスを経ている点も重要である。Red Hat社は、RHELに組み込まれる全てのソフトウェアに対して徹底的なテストを行い、互換性と安定性を確保している。これにより、特定のハードウェアやソフトウェアとの組み合わせにおいて、予期せぬ問題が発生するリスクを低減する。さらに、Red Hat社自身が提供する技術サポートは、企業がシステム運用中に直面する様々な問題に対し、迅速かつ的確な解決策を提供する。このサポートは、電話、Web、ナレッジベースなどを通じて提供され、システムのダウンタイムを最小限に抑える上で大きな価値を持つ。
技術的な側面から見ると、RHELはLinuxカーネルをベースとし、その上にWebサーバー、データベース、プログラミング言語、仮想化技術、コンテナ技術など、企業システムに必要な多種多様なオープンソースソフトウェアを統合している。特にセキュリティにおいては、SELinux(Security-Enhanced Linux)のような強制アクセス制御メカニズムを標準で組み込み、システムへの不正アクセスやマルウェア感染のリスクを軽減するための高度な機能を提供している。また、近年急速に普及しているコンテナ技術にも積極的に対応しており、Docker互換のコンテナ管理ツールであるPodmanや、コンテナイメージを構築するBuildah、コンテナイメージを検索・共有するSkopeoなどを提供し、モダンなアプリケーション開発・運用環境をサポートする。仮想化技術についても、KVM(Kernel-based Virtual Machine)を全面的にサポートし、高いパフォーマンスと安定性で仮想化基盤として利用されている。
RHELは、企業の基幹システム、データベースサーバー、Webサーバー、アプリケーションサーバーといった従来のオンプレミス環境だけでなく、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といった主要なクラウドプラットフォーム上でも動作する。これは、企業がクラウドへの移行を進める中で、既存のRHEL資産をシームレスにクラウドに移行し、運用を継続できることを意味する。
他のLinuxディストリビューションとの違いについて触れると、RHELは商用製品であり、利用にはサブスクリプション契約が必要となる。これに対し、UbuntuやDebianのような多くのLinuxディストリビューションは無償で利用できる。RHELのサブスクリプションは、ソフトウェアの利用権だけでなく、前述した技術サポート、アップデート、パッチ、セキュリティフィックス、そしてRed Hat社のナレッジベースへのアクセス権などを包括的に提供するものであり、これがRHELの価値の源泉となっている。かつてRHELのクローンとして無償で提供されていたCentOSは、近年Red Hat社によってRHELのアップストリーム開発ブランチであるCentOS Streamへと位置づけが変更され、RHELの安定版とは異なる役割を持つようになった。また、RHELの開発は、より実験的な機能や最新のソフトウェアを搭載するFedoraプロジェクトから派生しており、FedoraはRHELの先行開発版のような位置づけで、RHELの将来のバージョンに搭載される技術がまずFedoraでテストされる。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、RHELを理解し、その操作スキルを習得することは非常に重要である。なぜなら、多くの大企業や公的機関のITインフラストラクチャにおいてRHELが基盤OSとして採用されており、これらの環境でシステムを構築、運用、保守する上でRHELの知識は不可欠だからである。RHELに関する資格取得も可能であり、キャリアアップに繋がる有効な手段ともなる。RHELの学習を通じて、エンタープライズレベルのシステムがどのように設計され、運用されているかという深い洞察を得ることができ、将来のシステムエンジニアとしての基礎を固めることができるだろう。