【ITニュース解説】AIに「React使って」と言う前に 2025年Web標準技術Vanilla HTML CSS JavaScriptでここまでできる
2025年09月09日に「Qiita」が公開したITニュース「AIに「React使って」と言う前に 2025年Web標準技術Vanilla HTML CSS JavaScriptでここまでできる」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AIにReact等のフレームワーク利用を指示する前に、Webの基本を理解することが重要だ。最新の標準技術である素のHTML、CSS、JavaScriptだけでも、高機能なWebアプリケーションを開発できる可能性を解説する。
ITニュース解説
近年、Webアプリケーション開発の世界では、ReactやVue.jsといった「フレームワーク」と呼ばれる便利な道具立てを使うのが一般的になっている。特に、生成AIに指示を出すだけで高度なプログラムを作成できるようになった現在、初心者であっても「Reactを使ってWebサイトを作って」と頼むだけで、それらしいものが手に入る時代である。しかし、このような便利なフレームワークにすぐに頼る前に、すべてのWeb技術の土台となっている「Vanilla」な技術、つまり何も味付けされていない素のHTML、CSS、JavaScriptだけで、現在どれほどのことが実現できるのかを理解することは、システムエンジニアを目指す上で極めて重要である。
Web標準技術は、この数年で目覚ましい進化を遂げた。かつてはフレームワークの力を借りなければ実装が困難だったり、複雑なコードが必要だったりした機能の多くが、今や標準機能だけでシンプルに実現可能になっている。これは、ブラウザ自体が高機能化したことによる恩恵である。この進化した標準技術を使いこなすことは、Web開発の基礎体力を養い、より応用力のあるエンジニアへと成長するための確かな一歩となる。
具体的に、HTML、CSS、JavaScriptがそれぞれどのように進化したのかを見ていく。まずHTMLでは、<dialog>という要素が標準化された。これを使うと、これまでJavaScriptで複雑な処理を書いて実装していた「モーダルウィンドウ」と呼ばれるポップアップ表示を、非常に簡単な記述で実現できる。また、<template>要素と<slot>要素を組み合わせることで、再利用可能なUI部品の雛形を作成する仕組みも提供されており、これはフレームワークが持つ「コンポーネント」という考え方に通じるものである。
次にCSSの進化は特に著しい。例えば、:has()疑似クラスの登場は画期的である。これは、特定の子要素を持つ親要素に対してスタイルを適用できる機能で、「親セレクタ」とも呼ばれる。これにより、従来はJavaScriptを使わなければ実現できなかった動的なスタイルの変更が、CSSだけで可能になる場面が増えた。また、コンテナクエリという仕組みも導入された。これは、画面全体の幅ではなく、特定の要素自身の幅に応じてスタイルを切り替える機能であり、より柔軟で再利用性の高いコンポーネント設計を可能にする。さらに、@layerを用いてCSSの優先順位を明確に制御したり、color-mix()関数で色を動的に混ぜ合わせたりするなど、スタイリングの表現力と管理のしやすさが格段に向上している。
そして、プログラミングの中核を担うJavaScriptも大きく進化した。その代表格が「Web Components」である。これは、Custom Elements、Shadow DOM、HTML Templatesといった技術の総称で、開発者が独自のHTMLタグを作成し、スタイルや動作をカプセル化(内部に閉じ込めること)して、再利用可能な部品として扱えるようにする仕組みである。これにより、フレームワークを使わなくても、自己完結した独立性の高いUI部品を作ることができ、大規模なアプリケーションでもコードの見通しを良く保つことが可能になる。また、ECMAScriptモジュールが標準でサポートされたことで、コードを機能ごとにファイル分割して管理することが容易になった。さらに、サーバーとの通信を行うためのfetch APIや、URLの構造を解析してページ遷移を制御するURLPattern APIなども強化され、シングルページアプリケーション(SPA)のような現代的なWebアプリケーションの構築に必要な機能が、標準のJavaScriptだけで十分に扱えるようになっている。
これらの進化した標準技術、すなわちVanillaなHTML、CSS、JavaScriptで開発を行うことには、いくつかの明確な利点がある。第一に、フレームワークという余分な層がないため、Webサイトやアプリケーションの動作が軽量かつ高速になる傾向がある。第二に、学ぶべき対象がWebの普遍的な標準技術そのものであるため、一度身につけた知識は特定のフレームワークの流行り廃りに影響されず、長く役立つ資産となる。これは、エンジニアとしての基礎体力を鍛える上で非常に効果的である。そして第三に、外部のライブラリへの依存を最小限に抑えることができ、よりシンプルで持続可能な開発が可能となる。
もちろん、これはフレームワークが不要になったという意味ではない。非常に大規模で複雑なアプリケーション開発、厳密な状態管理が求められる場面、あるいは豊富なライブラリやツール群といったエコシステムの恩恵を最大限に活用したい場合には、ReactやVue.jsといったフレームワークは依然として強力な選択肢である。重要なのは、プロジェクトの規模や要件、チームのスキルセットなどを考慮し、「適材適所」で技術を選択する能力である。そして、その正しい判断を下すためには、まず土台となるWeb標準技術で何ができて、何ができないのか、その限界と可能性を正確に把握していることが大前提となる。
結論として、システムエンジニアを目指す者は、生成AIに安易に「Reactを使って」と指示する前に、まず2025年現在のWeb標準技術が持つ力強い可能性に目を向けるべきである。VanillaなHTML、CSS、JavaScriptを深く学ぶことは、パフォーマンス、保守性、そして何よりもエンジニア自身の普遍的なスキルセットを向上させるための最良の投資と言える。この基礎を固めることで、フレームワークを学ぶ際にもその本質的な役割や利点をより深く理解できるようになり、最終的にはより質の高い技術判断ができる優れたエンジニアへと成長することができるだろう。