【ITニュース解説】クラウドの浪費に終止符を。New Relicで見つけるアプリケーションの無駄とコスト改善
2025年09月12日に「Qiita」が公開したITニュース「クラウドの浪費に終止符を。New Relicで見つけるアプリケーションの無駄とコスト改善」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
クラウド利用のコスト削減は多くの企業が直面する課題だ。コスト増大の原因は、インフラだけでなくアプリケーションの無駄にもある。New Relicを活用すれば、アプリケーションがどれだけコストを使っているか可視化し、無駄を特定できる。これにより、クラウドの浪費を減らし、効率的なコスト改善を実現できる。
ITニュース解説
今日のITシステムはほとんどがクラウド上で動いている。クラウドは便利で柔軟なサービスを提供してくれるが、その使い方が適切でないと、企業は思わぬ高額な利用料に悩まされることになる。クラウドサービスは利用した分だけ料金がかかる仕組みのため、無駄なリソースを使い続けていると、雪だるま式にコストが増大していく。このクラウドコストの管理と削減は、多くの企業にとって非常に重要な課題だ。単にサーバーの台数を減らすといった簡単な方法では解決できない複雑な問題も多く、多くの企業がその解決策を模索している。
クラウドコストが増える原因はいくつか考えられる。まず、サーバーやストレージといったITインフラのリソースを、実際には必要としないのに過剰に多く確保している場合だ。使わないリソースにも利用料金がかかるため、これは直接的な無駄となる。しかし、より見えにくく、かつ深刻な問題として、アプリケーションそのものに原因があるケースも多い。例えば、アプリケーションのプログラムコードが非効率で、本来であればすぐに終わる処理に時間がかかってしまい、多くのCPUやメモリを消費してしまう場合がある。また、不要なデータを何度もデータベースから読み込んだり、必要のない計算を繰り返したりする「無駄な処理」が含まれていると、そのたびにクラウドのリソースが使われ、結果としてコストが増大する。たとえインフラをいくら最適化しようとしても、根本的なアプリケーションの無駄が残っている限り、コスト削減は一時的なものに終わり、持続的な効果は得られないのだ。
このような状況で企業を助けるのが、「New Relic(ニューリリック)」というツールだ。New Relicは、システムが現在どのような状態にあるのか、どこに問題があるのかを「見える化」し、アプリケーションのパフォーマンスとクラウドコストの関連性を明らかにするプラットフォームだ。単に「コストが高い」という漠然とした情報ではなく、「このアプリケーションの、この機能が、データベースに高い負荷をかけ、それがコスト増の主な原因になっている」といった具体的な情報を提示することで、効果的な改善策を見つける手助けをする。
New Relicは、システム全体の健康状態を把握し、内部の動きを理解するための「オブザーバビリティ」という考え方に基づいている。具体的には、主に次の機能を提供し、多角的にシステムを監視する。 まず、「アプリケーションパフォーマンス監視(APM)」は、アプリケーションがどれくらいの速さで動作しているか、エラーは発生していないか、どの処理に時間がかかっているかなどを詳細に監視する。例えば、ユーザーがWebサイトで商品を購入するまでの流れを追跡し、どこで処理が遅くなっているかを特定できるため、ユーザー体験の悪化や業務の停滞につながるボトルネックを発見するのに役立つ。 次に、「インフラ監視」は、アプリケーションが動いているサーバーやコンテナなどの基盤部分が、CPUやメモリをどれくらい使っているか、ネットワークの利用状況はどうかといった情報を収集する。これらの情報は、リソースが過剰に割り当てられていないか、あるいは不足していないかを判断するのに役立ち、適切なリソース配分を考える上での基礎データとなる。 さらに、「ログ管理」は、アプリケーションやシステムが出力する様々なメッセージ(ログ)を一箇所に集め、分析できるようにする。これにより、エラーの原因特定や、システムの動作状況の理解が深まり、問題解決までの時間を短縮できる。
New Relicの最大の特徴は、これらの監視データを連携させ、アプリケーションの動作状況と、それによって発生しているクラウドコストを紐づけて分析できる点にある。たとえば、特定のアプリケーション機能の処理時間が長いことがAPMで分かったとする。New Relicはその処理がどれくらいのCPUやメモリを消費しているかをインフラ監視データから読み取り、さらにそのリソース利用がクラウドプロバイダーから請求される金額にどう影響しているかを計算し、具体的なコストとして可視化する。これにより、「この遅い処理が月にいくらのコストを生み出しているか」という具体的な数字を把握できるようになり、漠然とした課題から具体的な改善ポイントへと視点を移すことができる。
New Relicを活用することで、クラウドコストを削減するための具体的なアクションが見えてくる。 第一に、利用していない無駄なリソースの特定だ。New Relicは、長時間CPU使用率が低いままのサーバーや、ほとんどアクセスされていないデータベースなど、利用頻度が低いにもかかわらず稼働し続けているリソースを洗い出す。これらのリソースを停止したり、削除したりするだけで、直接的なコスト削減につながる。 第二に、リソースの適正化だ。アプリケーションが必要とするリソースの量を見極め、過剰に割り当てられているCPUやメモリを、最適なサイズに調整できる。例えば、あるサーバーが常にCPUの半分も使っていないなら、より小さなプランに変更することで費用を抑えることが可能だ。 第三に、アプリケーションのコード改善だ。New Relicは、特定の処理が高負荷の原因となっていることや、データベースへのアクセスが非効率であるといった、アプリケーションコードの問題点を具体的に指摘する。例えば、同じデータを何度もデータベースに問い合わせてしまう「N+1クエリ問題」(本来一度で済む処理が複数回行われ、無駄な負荷をかける問題)のような非効率な処理を特定し、それを改善することで、アプリケーション全体の実行速度が向上し、結果として必要となるリソースが減り、コスト削減につながる。開発者も、どこを直せば良いのかが明確になるため、効率的に改善作業を進められる。 第四に、キャパシティプランニングと開発・テスト環境の最適化だ。将来のシステム負荷を予測し、適切なリソース計画を立てる際にも、過去の利用状況データが役立つ。また、開発やテストのために一時的に立ち上げる環境についても、使用しない時間は自動的に停止させる設定にするなど、コストを抑える運用が可能になる。New Relicのデータがあれば、これらの判断もより正確に行えるようになる。
New Relicは、単にクラウドコストを監視するだけでなく、そのコストが増大している根本原因を、インフラとアプリケーションの両面から深く掘り下げて特定するための強力なツールだ。システム全体の「見える化」を通じて、どこに無駄があり、どうすれば効率を上げられるかを明確に示すことで、企業は無駄なクラウドの浪費に終止符を打ち、持続可能なITシステム運用を実現できる。システムエンジニアを目指す者にとって、このようなツールを理解し活用できる能力は、これからの時代にますます重要となるだろう。