【ITニュース解説】Cloudflare mitigates new record-breaking 22.2 Tbps DDoS attack
2025年09月24日に「BleepingComputer」が公開したITニュース「Cloudflare mitigates new record-breaking 22.2 Tbps DDoS attack」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Cloudflareは、ウェブサービスを妨害するDDoS攻撃の一つを防御した。この攻撃は過去最大の22.2Tbpsにも達する大規模なもので、同社は大量の通信が集中してもサービスが停止しないよう対策を施し、成功させた。
ITニュース解説
Cloudflareが過去最大規模となる22.2テラビット毎秒(Tbps)のDDoS攻撃を緩和したというニュースは、現代のサイバーセキュリティにおいて極めて重要な出来事である。この攻撃は、1秒間に10.6億パケット(Bpps)という膨大なデータ量とパケット数を伴っており、その規模がいかに驚異的であるかを示している。
まず、DDoS攻撃とは何かを理解する必要がある。DDoSは「Distributed Denial of Service(分散型サービス妨害攻撃)」の略称である。これは、特定のウェブサイトやオンラインサービスを標的にし、通常のサービス提供を妨害することを目的としたサイバー攻撃の一種だ。攻撃者は、インターネット上に存在する多数のコンピュータ(これらはマルウェアに感染させられ、攻撃者の意のままに操られる「ボット」と呼ばれる)を乗っ取り、それらから一斉にターゲットのサーバーやネットワーク機器に対して大量のアクセス要求や不正なデータを送りつける。これにより、ターゲットのシステムは処理能力を超過し、正規のユーザーからのアクセスに応答できなくなってしまう。結果として、ウェブサイトは表示されなくなり、オンラインサービスは利用不能に陥るのだ。単一のコンピュータからの攻撃(DoS攻撃)と異なり、DDoS攻撃は多数の異なる場所から同時に行われるため、攻撃元を特定しにくく、防御が極めて困難になる特徴がある。
今回のCloudflareが緩和したDDoS攻撃は、その規模がこれまでの記録を大きく上回るものだった。22.2テラビット毎秒(Tbps)という数字は、1秒間に22.2兆ビットものデータが送りつけられたことを意味する。これは、一般的なインターネット回線や企業のネットワークが処理できるデータ量とは比較にならないほど膨大だ。例えば、家庭用の高速インターネット回線が通常数百メガビット毎秒(Mbps)であることと比べると、Tbpsがいかに巨大な単位であるかがわかるだろう。また、10.6億パケット毎秒(Bpps)という数字は、1秒間に106億個ものデータパケットが送られたことを示している。たとえ個々のパケットのデータ量が小さくても、これほどの数のパケットが一度に押し寄せれば、どのような高性能なサーバーやネットワーク機器もその処理能力の限界を超え、正常な稼働が不可能になってしまう。このような規模の攻撃がもし成功していれば、その標的となったサービスは壊滅的な打撃を受け、多くのユーザーが影響を受けただろう。
このような記録破りの大規模攻撃を防御できたのは、Cloudflareのような専門のサイバーセキュリティ企業が存在するからだ。Cloudflareは、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)サービスとDDoS防御サービスを世界規模で提供している。彼らのDDoS防御の仕組みは、世界各地に分散配置された非常に強力なサーバー群(これを「エッジネットワーク」と呼ぶ)を活用することにある。通常、Cloudflareのサービスを利用しているウェブサイトやオンラインサービスへのアクセスは、まずCloudflareのエッジネットワークを経由する。
Cloudflareのシステムは、膨大な量の通信トラフィックを常時監視している。その中で、通常のユーザーからのアクセスパターンと異なる、異常な兆候(例えば、特定のIPアドレスからの異常な頻度での接続要求、非標準的なプロトコルの利用、短時間に大量の接続が確立されるなど)を検知すると、それをDDoS攻撃と識別する。この識別には、高度なアルゴリズムや人工知能(AI)が活用されている。攻撃と判断されたトラフィックは、その規模がどれほど巨大であっても、Cloudflareの広大なグローバルネットワーク全体で分散して処理・吸収される。これにより、攻撃トラフィックが本来のターゲットであるウェブサイトのサーバーに到達する前に無害化され、正規のユーザーからのアクセスだけが安全に通過できるようになるのだ。Cloudflareのネットワークは非常に広範であり、攻撃トラフィックを「希釈」し、その影響を実質的に無力化する能力を持っている。
DDoS攻撃が行われる動機は多岐にわたる。競合他社のビジネス妨害、政治的・社会的主張(ハクティビズム)、あるいは金銭を要求するランサムDDoS、愉快犯によるものなど様々だ。攻撃者は、インターネット上の多くのコンピュータをマルウェアに感染させ、それらを遠隔操作してボットネットを構築することで、攻撃元を隠蔽しつつ、今回のような大規模なDDoS攻撃を仕掛けることが可能となる。
今回のCloudflareによる記録的なDDoS攻撃の緩和は、現代のインターネットサービス運営においてサイバーセキュリティ対策がいかに不可欠であるかを改めて浮き彫りにした。個人や中小企業だけでなく、世界中の大規模なオンラインインフラを支える企業にとっても、専門的なDDoS防御サービスはもはや必須の存在だ。システムエンジニアを目指す上で、このようなサイバー攻撃の脅威と、それに対抗するための技術やサービスについて深く理解することは、極めて重要である。攻撃手法は常に進化しているため、防御側も最新の技術と知見を取り入れ、継続的に対策を強化していく必要があるのだ。