【ITニュース解説】Getting Started with Clustering Algorithms in Machine Learning
2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「Getting Started with Clustering Algorithms in Machine Learning」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
クラスタリングは、ラベルなしデータを自動でグループ分けし、隠れたパターンを見つける機械学習手法だ。顧客分析や不正検出など幅広く活用され、K-Meansなどのアルゴリズムがある。Pythonのライブラリを使えば、初心者でも手軽に始められる。
ITニュース解説
機械学習の分野には様々な学習方法があるが、その中でも特に興味深いのが「クラスタリング」だ。これは、データに前もって「正解」となるラベルが付いていない「教師なし学習」と呼ばれる手法の一つで、ラベルのない生のデータの中から、そこに隠されたパターンや構造を発見することを目的としている。具体的には、互いに似ているデータ点を集めてグループ(クラスタ)を作り、そのグループ分けを通して、大規模なデータセットの中に潜在する規則性や特徴を明らかにするのだ。
このクラスタリング技術は、私たちの身の回りの様々な場面で活用されている。例えば、オンラインストアが顧客の購買履歴や閲覧傾向を分析し、「頻繁に購入する常連客」「セール期間中のみ大量買いする顧客」「特定のジャンルの商品に特化した愛好者」といった具合に顧客を自動的に分類することができる。これにより、各顧客層に合わせた効果的なマーケティング戦略を立てることが可能になる。また、金融機関では、怪しい取引パターンを持つ顧客群を特定することで、不正行為を早期に検出し、リスク管理に役立てている。他にも、膨大な量の文書データの中から関連性の高いものを自動的に整理したり、生物学の分野で似た特性を持つ遺伝子群を特定したりと、その応用範囲は非常に広い。このように、データに明確な正解が与えられていなくても、そこから有用な情報を引き出せるのがクラスタリングの大きな魅力だ。
クラスタリングアルゴリズムの基本的な考え方は、与えられたデータ点群を、それぞれが持つ特徴に基づいて、互いに似ているものを同じクラスタに、似ていないものを異なるクラスタに割り振るというものだ。ここで言う「似ている」という概念は、データが持つ数値的な距離や類似度によって定義されることが多い。例えば、先ほどのECサイトの例では、ユーザーの氏名や年齢といった個人情報は知らなくても、「月に平均何回購入するか」「どのようなカテゴリの商品をよく見るか」といった行動データを用いることで、ユーザーを特定のグループに分類できる。
クラスタリングには様々なアルゴリズムが存在し、それぞれ異なる特性や得意分野を持っている。
まず、「K-Means(K平均法)」は、最も広く知られ、よく利用されるアルゴリズムの一つだ。その特徴は、処理が高速でシンプルであり、大規模なデータセットにも比較的容易に適用できる点にある。このアルゴリズムは、事前に「いくつのクラスタに分けたいか」というKの値を決める必要がある。次に、データの中からランダムにK個の点を「クラスタの中心(重心)」として選び、それぞれのデータ点がどの中心に一番近いかを計算して、その中心のクラスタに割り振る。そして、各クラスタに属するデータ点の平均値を新たな中心として再計算し、このプロセスをクラスタの割り当てが変わらなくなるまで繰り返す。このようにして、各クラスタ内のデータ点が最もそのクラスタの中心に集まるように、最適なクラスタリングを行う。直感的に理解しやすい一方で、クラスタの形状が球状であるという仮定が背景にあるため、複雑な形状のクラスタを見つけるのは苦手という側面もある。
次に、「Hierarchical Clustering(階層的クラスタリング)」は、データ点間の類似度に基づいて、木のような階層的な構造(デンドログラムと呼ばれる)を構築するアルゴリズムだ。これは大きく「凝集型」と「分裂型」の二つのアプローチがある。「凝集型」は、まず各データ点をそれぞれ独立したクラスタとみなし、そこから最も近いクラスタ同士を段階的に結合していき、最終的にすべてのデータ点が一つの大きなクラスタになるまで結合を続ける。「分裂型」はその逆で、すべてのデータ点を一つの大きなクラスタとみなし、最も似ていないデータ点やサブグループを段階的に分離していく。このアルゴリズムの利点は、K-Meansのように事前にクラスタ数を指定する必要がなく、デンドログラムを見ることで、データがどのような階層構造を持っているかを視覚的に理解しやすい点にある。しかし、データ量が多いと計算コストが高くなる傾向があり、大規模なデータには不向きな場合がある。
「DBSCAN(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise)」は、密度に基づいたクラスタリングアルゴリズムで、ノイズ(外れ値)を効果的に処理し、複雑で不規則な形状のクラスタも検出できるのが大きな特徴だ。このアルゴリズムは、「あるデータ点の周辺に、指定された数以上のデータ点が存在すれば、それらの点を同じクラスタとみなす」という密度の概念を利用する。具体的には、ある点の周囲の特定の半径内に、閾値以上の点があれば、その点を「コア点」とみなし、そこから密度の高い領域にある点をどんどんつなげてクラスタを形成していく。これにより、密度が低い領域にあるデータ点はノイズとして扱われ、どのクラスタにも属さない「外れ値」として識別される。K-Meansが苦手とする、いびつな形や入り組んだ形のクラスタを見つけ出すことが可能となる。
「GMM(Gaussian Mixture Models: ガウス混合モデル)」は、データが複数のガウス分布(正規分布)の混合によって生成されていると仮定してクラスタリングを行う確率的なモデルだ。K-Meansが各データ点をいずれか一つのクラスタに「決定的に」割り当てるのに対し、GMMは「このデータ点はクラスタAに属する確率が70%、クラスタBに属する確率が30%」といった形で、確率的な割り当てを行う。これにより、複数のクラスタの境界付近にあるデータ点に対して、より柔軟で情報量の多いクラスタリング結果を提供できる。また、各クラスタが球状であるというK-Meansの仮定にとらわれず、楕円形などのより複雑な形状のクラスタも表現できるため、より多様なデータ分布に対応可能だ。
最後に、「Mean-Shift(平均移動)」は、K-Meansのようにクラスタ数を事前に指定する必要がない、密度勾配に基づいてクラスタの「ピーク」を見つけるアルゴリズムだ。各データ点からスタートし、周囲の点の平均値(重心)の方向に移動していくことを繰り返す。この移動を繰り返すことで、データ点が最も密度が高い「ピーク」へと収束していく。最終的に、同じピークに収束したデータ点同士が同じクラスタとしてまとめられる。このアプローチの利点は、クラスタの形状に特定の仮定を置かないため、不均一な形状や任意の形状のクラスタを検出できる点にある。また、外れ値の影響を受けにくいという特徴も持つ。
クラスタリングの結果を評価することは、教師あり学習の評価とは異なる難しさがある。教師あり学習では、正解のラベルと比較して「どれだけ正しく予測できたか」を精度などの指標で測ることができる。しかし、クラスタリングはラベルのないデータからパターンを見つけ出すため、明確な正解がない。そのため、「このクラスタリングが本当に良い結果なのか」を判断するには、異なる評価指標を用いる必要がある。
代表的な評価指標としては、「Silhouette Score(シルエットスコア)」がある。これは、各データ点がどれだけ自分のクラスタ内にうまく収まっていて、かつ他のクラスタからは遠い位置にあるかを示す指標だ。値は-1から1の間で、1に近いほどクラスタリングの結果が良いとされる。自分のクラスタ内の他の点との距離が近く、他のクラスタの点との距離が遠いほど、良いクラスタリングと判断される。 また、「Davies-Bouldin Index(デイビス・ボルディン・インデックス)」は、クラスタ内の点の散らばり具合(凝集度)と、クラスタ間の距離(分離度)の比率に基づいている。値が小さいほど、クラスタ間の距離が大きく、かつクラスタ内の点が密に集まっている、つまり良いクラスタリングと判断される。 さらに、「Adjusted Rand Index(調整済みランド指数)」は、もし何らかの形で「真のクラスタリング」(正解となるグループ分け)が分かっている場合に、その真のクラスタリングと、実際に行ったクラスタリング結果がどれだけ一致しているかを評価する指標だ。0から1の間で、1に近いほど真のクラスタリングに近い結果が得られていることを示す。これは完全にラベルなしの状況で使うのは難しいが、ベンチマークデータなどで性能を比較する際に有用だ。これらの指標は、クラスタリングの目的に応じて使い分けたり、複数組み合わせて総合的に判断したりすることが重要となる。
クラスタリングは、ラベル付けされていない生のデータから、隠れたパターンや構造を発見するための強力でシンプルなツールだ。顧客行動の分析から不正検出、文書整理に至るまで、その応用範囲は非常に広い。PythonのScikit-learnのような機械学習ライブラリを使えば、複雑なアルゴリズムの実装に頭を悩ませることなく、初心者でも手軽に様々なクラスタリングアルゴリズムを試すことができる。実際のデータに触れながら、自分自身でデータをグループ分けし、その中にどんな意味が隠されているのかを探る作業は、システムエンジニアを目指す上での大きな学びとなるだろう。ぜひ、まずは興味を持ったアルゴリズムから、実際に手を動かしてクラスタリングの世界に足を踏み入れてみてほしい。