【ITニュース解説】Why Companies Pay More for Automation Than for Raw Code

2025年09月09日に「Medium」が公開したITニュース「Why Companies Pay More for Automation Than for Raw Code」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

企業が価値を置くのは、コードの行数ではなく、それがもたらす成果だ。単なるプログラムよりも、業務を自動化し時間を節約するソリューションが高く評価される。エンジニアはコードで課題を解決することが求められる。

ITニュース解説

企業がシステム開発に投資する際、その価値を何で測るのだろうか。多くの初心者は、書かれたコードの行数や、使われている技術の高度さで価値が決まると考えがちである。しかし、ビジネスの世界では、コードそのものに値段がつくわけではない。企業が本当に求めているのは、そのコードがもたらす具体的な「成果」であり、特に「時間の節約」という価値に対して高い対価を支払う。この原則を最も端的に表しているのが、「生のコード」よりも「自動化」が高く評価されるという事実である。

まず、「生のコード」とは何かを考えてみよう。これは、特定の機能を持つプログラムの断片を指す。例えば、データベースから顧客リストを取得するコードや、二つの数値を足し算する関数などがこれにあたる。プログラミングの学習は、こうした個別の機能を持つコードを書く技術を習得することから始まる。これらのコードは、システムを構成する重要な部品ではあるが、それ単体ではビジネス全体のプロセスを劇的に変える力は持たない。一方、「自動化」とは、これらの「生のコード」を複数組み合わせて、これまで人間が手作業で行っていた一連の業務プロセスをシステムに置き換えることを意味する。例えば、毎朝、担当者が手作業で複数のExcelファイルを開き、特定のデータをコピーして新しいレポートを作成し、それをPDFに変換して関係部署にメールで送信するという業務があったとしよう。この一連の流れには、データの収集、加工、報告という複数のステップが含まれる。「自動化」は、この一連の作業をプログラムによって実行させるシステムを構築することである。データベースからデータを取得し、レポート形式に整形し、PDFを生成して自動的にメールを送信する、といった流れをすべてシステムが担う。

なぜ企業は、単機能のコードよりも、このような業務プロセス全体の「自動化」に多額の費用を払うのだろうか。その理由は、自動化がもたらすビジネス上のメリットが非常に大きいからである。第一に、最も直接的な価値は「時間とコストの削減」だ。先ほどのレポート作成の例で、もし担当者が毎日1時間をこの作業に費やしていたとすれば、年間で約240時間もの労働時間が発生する。自動化システムを導入すれば、この作業は数分、あるいは数秒で完了する。これにより、企業は従業員の労働時間を大幅に節約でき、その時間は人件費という直接的なコストの削減につながる。システム開発に初期投資がかかったとしても、長期的に見れば人件費の削減額の方がはるかに大きくなるため、企業にとっては合理的な投資となるのだ。第二に、「ヒューマンエラーの削減」という大きな利点がある。人間が同じ作業を繰り返すと、注意力が散漫になり、入力ミスや計算間違い、送信先の間違いといったミスが発生しやすくなる。こうしたミスは、手戻りや顧客とのトラブルを引き起こし、さらなる時間とコストの損失につながる可能性がある。一度正しく構築された自動化システムは、同じ指示を何度でも正確に実行するため、人為的なミスを根本的に排除できる。これにより、業務の品質と信頼性が飛躍的に向上する。第三に、「生産性の向上」が挙げられる。単純な繰り返し作業から解放された従業員は、より付加価値の高い、創造的な仕事に集中できるようになる。例えば、レポートの数字をただ転記するのではなく、その数字が意味するものを分析し、新たなビジネス戦略を考案するといった業務に時間を使えるようになる。これは、個人の成長だけでなく、組織全体の競争力強化にも直結する。

この事実は、これからシステムエンジニアを目指す者にとって非常に重要な示唆を与えてくれる。プログラミングスキルは、目的を達成するための強力な「手段」ではあるが、それ自体が「目的」ではない。真に価値のあるエンジニアとは、単にコードを書くのが速い、あるいは難しいアルゴリズムを知っている人ではない。顧客や自社が抱えているビジネス上の課題を深く理解し、その課題を解決するために技術をどう活用できるかを考え、提案できる人材である。したがって、技術の学習と並行して、「この技術は何の役に立つのか」「どのような業務を効率化できるのか」という視点を常に持つことが不可欠だ。例えば、ある企業の業務プロセスを見聞きした際に、「この部分は手作業で非効率だ。プログラムで自動化すれば、大幅に時間を短縮できるのではないか」と考え、具体的な解決策を構想する能力が求められる。それは、技術力だけでなく、業務内容への興味や、課題を発見するための観察力、そして解決策を他者に説明するためのコミュニケーション能力も必要とされることを意味する。企業がソフトウェア開発に求めるのは、動くプログラムそのものではなく、そのプログラムがもたらす課題解決という結果である。そして「自動化」は、多くの企業が共通して抱える「時間・コスト・品質」という課題に対する、極めて効果的な解決策なのだ。だからこそ、企業は生のコードの断片よりも、業務全体を効率化する自動化の仕組みに対して、より高い価値を見出し、より多くの対価を支払うのである。システムエンジニアとしてのキャリアを築く上で、この本質を理解しているかどうかは、将来の市場価値を大きく左右する重要な要素となるだろう。

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