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【ITニュース解説】The Cost of Ignoring Documentation in Growing Teams

2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「The Cost of Ignoring Documentation in Growing Teams」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

成長するチームでは、ドキュメント不足が開発の停滞や生産性低下を招く。一時的な手間に感じるが、READMEや設計図、意思決定記録などのドキュメント作成は、将来的な時間とコストを節約し、円滑な開発とオンボーディングに不可欠だ。ドキュメント作成をチームの文化として習慣化することで、技術的負債を防ぎ、コミュニケーションを円滑にする。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す皆さんが、将来チームで働く上で非常に重要になる「ドキュメンテーション」について解説する。チームが成長し、多くの人が関わるようになると、情報の共有や理解が大きな課題となる。ここでドキュメンテーションが適切に行われていないと、予期せぬ問題が発生し、かえって開発スピードが低下してしまうことがあるのだ。

チームが倍の規模になり、新しい機能が次々と追加され、バグが修正される中で、「なぜこの機能をこのような方法で作ったのか?」と誰かが尋ねる状況を考えてほしい。過去の経緯や意思決定の理由がどこにも記録されていないため、皆が途方に暮れてしまう。これは、高速で動いていたはずのチームが、まるで砂の中に足を取られたように動けなくなる状況を意味する。

多くの開発者は、ドキュメンテーション作成を嫌がる傾向がある。その理由はいくつか考えられる。一つは、ドキュメンテーション作成が時間を浪費しているように感じられることだ。新機能の開発やバグの修正といった、目に見える成果に直結する作業の方が優先されがちである。また、「コードを見ればすべてわかる」と考える開発者もいる。しかし、コードは「何が」行われているかを説明できても、「なぜ」そのようにしたのか、つまりその設計の意図や背景までは説明できないことが多い。そして、やはり新しい機能をリリースする方が、地味なドキュメンテーション作業よりもエキサイティングに感じられるものだ。

しかし、ドキュメンテーションを軽視することは、保険に入らないのと同じようなものだと考えるべきだ。問題が起きて初めてその重要性に気づくことが多い。例えば、新しい開発者がチームに加わった際、過去のプロジェクトに関する情報が文書化されていないと、その新メンバーがチームの「暗黙の了解」や「属人化された知識」を理解するまでに何週間もかかってしまう。これは、オンボーディングに膨大な時間と労力がかかることを意味する。また、過去の意思決定の背景が不明なため、なぜそのアプローチが採用されたのか、誰も知らず、同じような議論や判断を何度も繰り返すことにもなりかねない。チームが大きくなるにつれて、情報が曖昧なままだと、かえって開発速度が落ちてしまい、成長が停滞してしまう事態に陥る。

では、良いドキュメンテーションとは具体的にどのようなものなのだろうか。良いドキュメンテーションは、小説のように長々と書くことではない。大切なのは、明確さ、情報の速やかな共有、そして再利用性である。実用的な形式として、いくつかの例が挙げられる。プロジェクトのセットアップ方法、必要な依存関係、プロジェクトの目的などを説明する「READMEファイル」は、その代表例だ。また、システム全体の構成や連携を視覚的に示す「アーキテクチャ図」は、新しいメンバーが短時間でシステムを理解するのに非常に役立つ。ExcalidrawやLucidchartのようなツールを使えば、比較的簡単に作成できる。特定の技術選定(例えば、なぜReactを選んでVueを選ばなかったのか)の理由を記録する「意思決定ログ」も重要だ。そして、コードの中に記述するコメントは、「何をしているか」だけでなく、「なぜその処理が必要なのか」という意図を明確にすることが肝心だ。例えば、「APIのレート制限があるため、ここではデバウンスを使っている。これにより不要なAPI呼び出しを防ぎ、制限に引っかかるのを避ける」といったコメントは、非常に意味深い。

ドキュメンテーションを後回しにするのではなく、チームの文化の一部として定着させる方法もある。一つは「docs-as-code(ドキュメントをコードのように扱う)」という考え方を取り入れることだ。ドキュメントもコードと同じようにバージョン管理システム(Gitなど)で管理し、リポジトリに保存する。DocusaurusやMkDocsのようなツールを使えば、簡単に実装できる。また、コードの変更を伴うプルリクエスト(PR)には、関連するドキュメントの更新も義務付けるなど、ドキュメントへの貢献に対する期待値を明確に設定することも重要である。新しい機能の開発、バグ修正、APIエンドポイントの追加など、特定の作業に対しては、記述すべき内容の「テンプレート」を用意しておくと、誰でも一定の品質でドキュメントを作成できるようになる。そして、良いドキュメンテーションを作成したメンバーを積極的に評価し、報奨することは、チーム全体のモチベーション向上につながる。さらに、SwaggerやPostmanのようなツールを使ってAPIドキュメントを自動生成するなど、可能な限りドキュメンテーションプロセスを自動化することも効率化に繋がる。

ドキュメンテーションは、将来のための投資だと考えるべきだ。今日、ドキュメント作成を省略して手抜きをすることは、将来の「技術的負債」となる。今は小さな手間に感じるかもしれないが、その少しの努力が、後々何時間もの無駄な時間、フラストレーション、そして金銭的なコストを削減することになる。

さらに言えば、優れたドキュメンテーションの恩恵を受けるのは、開発者だけではない。プロダクトデザイナーは、ワークフローをより早く理解できるようになり、SEOチームは、技術的な制約について明確な情報を得られる。ITコンサルタントは、インフラの意思決定を適切に行うために必要な情報を手に入れることができる。つまり、ドキュメンテーションとは単なる事務的な書類作成ではなく、チーム全体、さらには関連する全ての関係者との大規模なコミュニケーションの手段なのだ。システムエンジニアとして、未来の自分や仲間、そしてビジネス全体の円滑な運営のために、ドキュメンテーションの重要性を理解し、実践する姿勢を身につけてほしい。

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