【ITニュース解説】CREAO

2025年08月14日に「Product Hunt」が公開したITニュース「CREAO」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

AIがチームメンバー毎に最適な社内ツールを自動生成する新サービス「CREAO」が登場。自然言語で指示するだけで、専門知識なしで業務フローに合わせたカスタムソフトウェアを構築でき、作業効率の向上が期待される。(116文字)

出典: CREAO | Product Hunt公開日:

ITニュース解説

近年、IT業界では、専門的なプログラミング知識を必要とせずにアプリケーションを開発できる「ノーコード」プラットフォームが急速に普及している。この潮流の中で、さらにAI、すなわち人工知能の力を組み合わせることで、ソフトウェア開発の概念を根底から変える可能性を秘めた新しいツール「CREAO」が注目を集めている。CREAOは、チームで働く一人ひとりの固有のニーズに合わせて、無限にパーソナライズされた専用のソフトウェアツールを、コーディングなしで作成できることを目的としたプラットフォームである。システムエンジニアを目指す上で、このような新しいツールの登場が何を意味し、技術の世界にどのような変化をもたらすのかを理解することは非常に重要である。

多くの企業では、顧客関係管理(CRM)やプロジェクト管理、データ分析などの業務を効率化するために、外部企業が提供するSaaS(Software as a Service)製品を導入している。これらのSaaS製品は、幅広い業界や企業で利用できるよう汎用的に設計されているため、多くの便利な機能を備えている。しかし、その汎用性ゆえに、特定の企業の独自の業務フローや文化に完全に適合しないという課題も存在する。結果として、現場の従業員はソフトウェアの仕様に業務プロセスを無理に合わせたり、機能が不足している部分を補うためにスプレッドシートや別のツールを併用したりするなど、非効率な作業を強いられることが少なくなかった。また、ソフトウェアに必要なカスタマイズを加えるには、専門のエンジニアに開発を依頼する必要があり、多大な時間とコストがかかるという問題もあった。

CREAOは、こうした従来型ソフトウェアが抱える課題を、AIを活用したノーコード開発というアプローチで解決しようと試みている。このプラットフォームの最大の特徴は、ユーザーが実現したいことを自然言語、つまり普段私たちが使っている話し言葉や書き言葉でAIに伝えるだけで、AIがその要求を解釈し、目的に合ったツールを自動で構築してくれる点にある。例えば、ある営業担当者が「担当顧客のリストを管理し、それぞれの顧客との商談の進捗状況を追跡し、次のアクションを記録できるツールが欲しい」と入力したとする。すると、CREAOのAIは、顧客情報を格納するデータベース、商談のステータスを管理する項目、活動履歴を入力するフォーム、そして全体の状況を一覧できるダッシュボードといった必要な構成要素を自動的に判断し、それらを組み合わせて一つのアプリケーションとして生成する。これは、まるで経験豊富なエンジニアに口頭で要件を伝えて、その場ですぐにプロトタイプを作ってもらうような体験に近い。

この仕組みは、ソフトウェア開発の民主化を大きく前進させるものである。これまでアプリケーション開発は、プログラミング言語やデータベース、サーバーといった専門知識を持つエンジニアの専売特許であった。しかし、CREAOのようなツールが登場したことにより、プログラミング経験のない営業、マーケティング、人事といったビジネス部門の担当者自身が、自分たちの業務に本当に必要なツールを、自分たちの手で直接作り出す「市民開発」が可能になる。これにより、現場で発生した課題に対して、外部のIT部門や開発会社に依頼することなく、迅速かつ柔軟に解決策を講じることができるようになり、企業全体の業務改善のスピードが飛躍的に向上することが期待される。

このような革新的なツールの普及は、システムエンジニアの役割にも大きな影響を与える。これまでエンジニアが担ってきた業務の一部、特に定型的な社内ツールの作成や簡単なデータ管理アプリケーションの開発などは、AIや市民開発者によって代替されていく可能性がある。しかし、これはエンジニアの仕事が不要になることを意味するものではない。むしろ、エンジニアに求められるスキルの重点が、より高度で専門的な領域へとシフトしていくことを示唆している。例えば、ノーコードツールだけでは実現不可能な複雑なビジネスロジックの実装、企業の基幹システムや外部の様々なWebサービスとの間でデータを連携させるためのAPI(Application Programming Interface)の設計と開発、大量のデータを扱うための高度なデータベース設計、そしてシステム全体のセキュリティを確保し、高いパフォーマンスを維持するための専門知識の重要性は、これまで以上に高まるだろう。また、企業内で導入されたノーコードプラットフォームを管理し、市民開発者が作成したアプリケーションが乱立して問題を起こさないように統制(ガバナンス)を取り、彼らを技術的に支援する、といった新しい役割も生まれてくる。

結論として、CREAOは、AIとノーコード技術を融合させることで、誰もが自分の業務に最適なソフトウェアを自ら創り出せる未来を提示している。これは、ソフトウェアが一部の専門家によって作られ、ユーザーに一方的に「提供される」ものから、ユーザー自身が主体的に「創り出す」ものへと変化していく大きなトレンドを象徴するものである。システムエンジニアを目指す者にとって、プログラミングやインフラの基礎技術を習得することは引き続き不可欠であるが、同時に、CREAOのような新しい技術がビジネスや社会にどのような価値をもたらすのかを深く理解し、それらを活用して、より本質的で複雑な課題を解決する能力を養っていくことが、将来のキャリアを築く上で極めて重要になるだろう。

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