【ITニュース解説】Day 2 - The Scanner is readyyy!
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Day 2 - The Scanner is readyyy!」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Scanner(字句解析器)が完成。空白、タブ、改行の処理、文字列、数値(整数・小数)、キーワード、コメントを認識し、トークンを生成できるようになった。peek()関数で次の文字を先読みし、マルチラインコメントの終端を正しく処理するよう修正。次はParser(構文解析器)の開発へ進む。
ITニュース解説
このニュース記事は、プログラミング言語のコンパイラやインタプリタにおける字句解析器(Scanner)の実装に関するものだ。特に、記事の著者が自作のScannerを改良し、コメント、文字列、数値、キーワードといった様々な要素を認識できるようにした過程と、その際に直面した課題、そして解決策について解説している。
まず、Scannerの役割について説明しよう。プログラミング言語で書かれたコードは、コンピュータが理解できる形式に変換する必要がある。この変換の最初の段階を担うのがScannerだ。Scannerは、コードを文字列として読み込み、それを意味のある最小単位であるトークンに分割する。例えば、「int x = 10;」というコードは、「int」、「x」、「=」、「10」、「;」というトークンに分割される。
記事では、まずコメントの処理について触れられている。コメントはプログラムの実行には影響を与えない注釈であり、通常、単一行コメント(// で始まる)と複数行コメント(/* で始まり */ で終わる)の2種類がある。Scannerがコメントを正しく処理するためには、コメントの開始と終了を正確に認識し、その間にある文字を無視する必要がある。記事では、peek()関数とadvance()関数が重要な役割を果たしている。peek()は、現在の位置から次の文字を「覗き見」する関数で、現在のポインタを進めることなく次の文字を確認できる。一方、advance()は、現在のポインタを実際に進める関数だ。単一行コメントの場合、//の後の文字を\n(改行文字)が現れるまで読み飛ばす必要がある。複数行コメントの場合、/*の後の文字を*/が現れるまで読み飛ばす必要がある。記事の著者は、当初、複数行コメントの処理でpeekNext()関数がうまく動作しないという問題に直面したが、これはadvance()関数の使い方に誤りがあったためだ。
次に、Scannerが無視するべき要素として、空白、タブ、改行などが挙げられている。これらの要素は、プログラムの構造を人間が理解しやすくするために使われるが、コンパイラやインタプリタにとっては通常、意味を持たない。ただし、記事では、空白が重要な意味を持つ例も示されている。C言語の#include <stdio.h>ディレクティブでは、#includeとファイル名の間に適切な空白が必要だ。また、Pythonでは、空白(インデント)がコードのブロック構造を定義するために使用される。
文字列の処理では、Scannerは"(ダブルクォーテーション)で囲まれた部分を文字列トークンとして認識する。Scannerは、開始の"から終了の"までの文字を読み取り、それを文字列として保存する。
数値の処理では、Scannerは数字(0〜9)で始まる文字列を数値トークンとして認識する。小数点(.)が含まれている場合は、浮動小数点数として認識する必要がある。記事では、isDigit()関数とpeekNext()関数を使って、小数点と小数点以下の数字をチェックしている。
キーワードの処理では、Scannerは、あらかじめ定義されたキーワード(例えば、int、if、elseなど)を認識し、それらを特定のトークンタイプとして分類する。記事では、ハッシュマップを使って、キーワードとそれに対応するトークンタイプを関連付けている。
記事の著者は、複数行コメントの処理において、peekNext()関数が期待通りに動作しないという問題に苦労した。当初、単一行コメントと同様の条件で処理しようとしたが、うまくいかなかった。原因は、advance()関数で使用する変数のスコープにあった。複数行コメントの処理では、whileループ内で新しい変数を宣言してadvance()関数を使用する必要があった。
記事の最後で、著者は次のステップとして、Parser(構文解析器)の実装に取り組むことを述べている。Parserは、Scannerによって生成されたトークン列を受け取り、プログラムの構文構造を解析する役割を担う。
このニュース記事は、字句解析器の実装における基本的な概念と課題、そして解決策について、具体的な例を交えながら解説している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、コンパイラやインタプリタの仕組みを理解するための良い入門となるだろう。