【ITニュース解説】Docker Series: Episode 19 — Docker Volumes & Persistent Storage Deep Dive
2025年09月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「Docker Series: Episode 19 — Docker Volumes & Persistent Storage Deep Dive」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Dockerコンテナは、停止すると内部データが消える一時的なものだ。重要なデータを永続化するには、Dockerが管理する「ボリューム」や、ホストのフォルダを使う「バインドマウント」を利用する。これにより、コンテナを削除してもデータが残り、データベースなどで安全に使える。
ITニュース解説
Dockerは、アプリケーションとその実行環境を「コンテナ」という形で一つにまとめる技術だ。このコンテナは、特定のアプリケーションを実行するために必要なものすべてを含んだ、自己完結型のパッケージとして機能する。しかし、多くの初心者が最初に直面する課題の一つに、コンテナ内で生成されたデータが、コンテナが停止したり削除されたりすると失われてしまうという問題がある。これは、Dockerコンテナがデフォルトで一時的な性質を持っているためで、コンテナは使用後に破棄されることを前提としている。
実際には、データベースのデータやユーザーがアップロードしたファイル、アプリケーションの設定など、永続的に保存したいデータが必ず存在する。このようなデータをコンテナが削除されても失わないようにする仕組みが、データ永続化だ。この永続化の仕組みを使えば、コンテナを何度再起動しても、新しいバージョンのコンテナに更新しても、大切なデータは安全に保たれる。
Dockerが提供するデータ永続化の主要な方法には、「ボリューム」と「バインドマウント」の二種類がある。それぞれ異なる特性を持っており、用途に応じて使い分けることが重要だ。
まず「ボリューム」について解説する。ボリュームはDocker自身が管理するストレージ領域で、Dockerホスト、つまりコンテナが動作している物理マシンや仮想マシン上に作成される。具体的には、通常/var/lib/docker/volumes/というディレクトリ配下にデータが保存されるが、開発者がこのディレクトリの中身を直接操作することはほとんどなく、Dockerがすべて管理してくれるため、データの整合性やバックアップが比較的容易になるという利点がある。
ボリュームは、特にデータベースや、アプリケーションが生成する永続的なログデータ、ユーザーデータなど、コンテナのライフサイクルとは独立して保存したいデータに最適だ。複数のコンテナ間で同じデータを共有することも可能で、例えばWebアプリケーションコンテナとデータベースコンテナが同じ設定ファイルを参照するといった使い方もできる。
ボリュームを作成する基本的なコマンドはdocker volume create my_dataのように実行する。「my_data」はボリュームに付ける名前だ。そして、このボリュームをコンテナに接続するには、docker run -d -v my_data:/app/data my_appのようなコマンドを使用する。この例では、「my_data」という名前のボリュームを「my_app」というコンテナ内の/app/dataというパスに接続している。これにより、コンテナ内の/app/dataに書き込まれたデータはすべて、ホスト上の「my_data」ボリュームに保存されるため、コンテナが削除されてもデータは失われない。新しいコンテナを同じボリュームに接続すれば、以前のデータを引き継いで利用できるのだ。
次に「バインドマウント」について説明する。バインドマウントは、Dockerホストマシンの任意のディレクトリを、コンテナ内の特定のパスに直接接続する方法だ。ボリュームとは異なり、Dockerはバインドマウントされたディレクトリの中身を直接管理しない。ホスト側のファイルシステムに完全に制御権があるため、開発者がホストのファイルシステムを通じてデータにアクセスしたり、変更したりすることが容易になる。
バインドマウントは、主に開発環境で非常に役立つ。例えば、開発中のアプリケーションのソースコードをホストマシンで編集し、その変更がすぐにコンテナ内のアプリケーションに反映されるようにしたい場合に便利だ。docker run -d -v /host/path:/container/path my_appのようにコマンドを実行する。この場合、ホストマシン上の/host/pathというディレクトリが、コンテナ内の/container/pathというディレクトリにマウントされる。ホストでファイルを変更すると、コンテナ内でも即座にその変更が反映され、アプリケーションの再起動なしで動作を確認できることもある。
しかし、バインドマウントは、ホストのファイルシステムに依存するため、異なる環境間での移植性(ポータビリティ)がボリュームに比べて低いというデメリットがある。また、セキュリティ面でも、ホストのファイルシステムへのアクセス権をコンテナに与えることになるため、注意が必要だ。
一時的なデータやキャッシュなど、永続化する必要がないデータのためには、「tmpfsマウント」という選択肢もある。これは、データをホストのメモリ上にのみ保存する方法で、コンテナが停止するとデータは消滅する。非常に高速だが、メモリを消費し、永続性がないため、特定の用途に限られる。
Docker Composeを使っている場合、データ永続化の設定はさらにシンプルになる。Docker Composeは複数のコンテナを連携させてアプリケーションを構築するためのツールだが、その設定ファイル(YAMLファイル)内でボリュームを定義し、コンテナにアタッチできる。例えば、データベースサービスにdb_dataという名前のボリュームを接続し、データベースのデータパスにマウントすることで、docker-compose downコマンドでコンテナを停止・削除しても、データベースのデータは残るようになる。これは、本番環境のデータベースをDockerで運用する上で不可欠な機能だ。
データ永続化を適切に行うためのベストプラクティスもいくつか存在する。まず、本番環境で利用する重要なデータには、Dockerが管理する名前付きボリュームを使用することが推奨される。これにより、データの整合性が保たれやすく、管理がしやすくなる。次に、ボリュームのデータは定期的にバックアップを取ることが極めて重要だ。これは物理サーバー上のデータと同じで、どんなに頑丈な仕組みでも予期せぬトラブルは起こり得るため、バックアップは必須である。また、データベースのパスワードなどの機密情報は、ボリュームに直接保存するのではなく、DockerのSecrets機能など、より安全な方法で管理すべきだ。さらに、コンテナがデータへの書き込みを必要としない場合は、ボリュームやバインドマウントを読み取り専用(read-only)としてマウントすることで、セキュリティを向上させることができる。
実際にデータ永続化の仕組みを理解するには、手を動かしてみるのが一番だ。例えば、PostgreSQLデータベースのコンテナを作成し、名前付きボリュームを使ってデータベースのデータを保存してみるのが良いだろう。コンテナを起動し、いくつかデータを挿入した後、そのコンテナを停止して削除する。その後、全く新しいPostgreSQLコンテナを起動し、先ほど使った同じボリュームに接続してみる。もし、以前挿入したデータがそのまま残っていれば、データ永続化が成功した証拠だ。
データ永続化は、Dockerで実用的なアプリケーションを構築する上で避けて通れない非常に重要なトピックだ。これらの知識を身につけることで、より堅牢で信頼性の高いコンテナ化されたアプリケーションを開発・運用できるようになるだろう。