【ITニュース解説】Four models, one job each: what our own logs say about splitting the work
2026年10月20日に「Dev.to」が公開したITニュース「Four models, one job each: what our own logs say about splitting the work」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
複数のAIモデルに役割分担させ、開発作業の効率化とコスト削減に成功。Grokは安価なレビューで多数の問題を発見し、Codexは複雑なコードを深く分析。各モデルの得意分野を活かすことで、高価なモデルの利用制限やコスト問題を解決し、開発品質向上を目指す。
ITニュース解説
このニュース記事は、ソフトウェア開発の現場でAIモデルを複数使い分けることで、どのように効率とコストパフォーマンスを高めているかについて解説している。多くの企業が1つのAIモデルにすべてのタスクを任せる傾向にあるが、筆者たちはそのアプローチを改め、複数のAIモデルをそれぞれの得意なタスクに特化させて利用している。その背景には、単一モデルではリソースが枯渇しやすいことや、AIが自身の作業をチェックする能力が低いという問題意識があった。
筆者たちのチームは、主に4つのAIモデルを導入し、それぞれに異なる役割を与えている。まず「Claude」は、プロジェクトの計画立案や初期ドラフトの作成、そして全体のチェックを担当する。しかし、AIが自身の作業を完全にチェックすることは難しいため、他のAIと連携する。
次に「Grok」は、Claudeが作成した内容に対して「攻撃する」(つまり、問題点や改善点を発見する)役割を担っている。Grokの大きな特徴は、その費用対効果の高さである。記事によると、1回のレビューにかかる費用の中央値はわずか2セント程度であり、コードリポジトリ全体へのアクセスは不要で、短い要約と証拠を与えるだけで分析を行う。その結果、Grokは多数の問題点を発見しており、その多くは人間の手による再確認で妥当だと判断されている。中にはClaudeのドラフトにはなかった重要な発見もあり、例えば55個のテストを通過した修正に、Grokが17セントのコストで3つのバグを発見し、全てが修正されたという具体例も示されている。Grokが間違いを犯すこともあるが、その安さゆえに、多少の間違いがあっても十分に価値のある「安価なセカンドオピニオン」として機能している。
三番目のAIモデル「Codex」は、システム全体を深く理解し、大規模なコードの構築(ビルド)や、より複雑で深いレベルの分析を行う役割を担う。Grokと比較すると、Codexが発見する問題点の数は少ないものの、その内容は非常に重要で、他のAIでは見つけられないような深部に潜む問題を発見することがある。例えば、ライブゲートウェイが使用状況データを全く書き込んでおらず、課金システムが機能していなかったという重大な問題は、Codexがコード全体を読み込むことで初めて発見された。しかし、Codexの利用はコストが高く、一度の実行で多くのトークン(AIが処理する情報量)を消費するため、利用制限に達してしまうことも頻繁に発生する。そのため、Codexには本当に必要な、高度な作業のみを割り当てるように工夫されている。
そして、最近導入されたのが「Tīrtha」というAIモデルである。Tīrthaは、Codexが担当していたルーチン的な構築作業、つまり定型的な作業を代わりに行うことを目的としている。これにより、高コストでリソースを消費しやすいCodexを、本当に複雑で高度な作業に集中させることが可能になる。Tīrthaはまだ導入されたばかりで、その効果を完全に評価するには時間が必要だが、Codexの利用制限に達する回数を減らし、AIサブスクリプションをより長く持続させるという狙いがある。
このように複数のAIモデルを専門化して活用することで、筆者たちのチームは、それぞれのAIの得意分野を最大限に活かし、同時にコストを最適化しようとしている。安価なGrokで広範囲なレビューを行い、高機能なCodexで深い分析が必要なコアな問題を解決し、Tīrthaで定型作業を効率化することで、AIの利用全体をバランス良く管理する戦略である。これは、AIを単なる万能ツールとしてではなく、特定の専門性を持つ「デジタルな同僚」として位置づけ、それぞれの役割を分担させてチームとして機能させるという、高度なAI活用の一例と言える。
しかし、このアプローチが単一のAIモデル(例えばClaude単独)で作業するよりも本当に優れているのか、まだ全体としての効果は完全に検証されていない点も正直に述べられている。Tīrthaの導入効果もこれから測定される。また、問題点のログ記録方法にも課題があり、Claude自身が自分のドラフト内に問題があったかどうかを判断しているため、客観性に欠ける可能性も指摘されている。
システムエンジニアを目指す上で、このようなAIの活用事例は非常に参考になる。AIは強力なツールであるが、その能力を最大限に引き出し、開発プロセスに組み込むためには、それぞれのツールの特性を理解し、適切に使い分ける「設計」や「マネジメント」の視点が不可欠である。コストと品質のバランスを考慮し、チーム全体としてAIをどのように活用していくかを考える姿勢が重要だということを、この事例は示している。