【ITニュース解説】Git Stash: A Developer's Temporary Shelf
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Git Stash: A Developer's Temporary Shelf」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Gitのstash機能は、コミット前の作業内容を一時的に退避させるもの。これにより、作業を中断してブランチを切り替えたり、最新の変更を取得したりできる。退避した作業は後からいつでも復元可能だ。
ITニュース解説
Gitを使ったチーム開発では、ある機能の開発中に、より優先度の高い別のタスク、例えば緊急のバグ修正や仕様変更の確認を依頼されることが頻繁に発生する。このような時、現在作業中のファイルはまだ完成しておらず、コミットするには中途半端な状態であることが多い。しかし、別の作業を始めるためにはブランチを切り替える必要があり、コミットされていない変更があるとブランチの切り替えができない場合がある。この問題を解決するためにGitには「git stash」という非常に便利な機能が用意されている。git stashは、コミットされていない変更内容を一時的に退避させるためのコマンドである。具体的には、ステージングされている変更と、ワーキングディレクトリ内で行われたまだステージングされていない変更の両方を、「スタッシュ」と呼ばれる特別な保管場所に保存する。この操作を行うと、作業していたディレクトリは直前のコミットが行われた時点のクリーンな状態に戻る。これにより、作業中の変更を失うことなく、安全にブランチを切り替えたり、リモートリポジトリから最新の変更を「git pull」で取得したりすることが可能になる。そして、別の作業が完了した後、再び元のブランチに戻り、退避させておいた変更内容を取り出して作業を再開できる。
変更を一時的に退避させる最も基本的なコマンドは「git stash」である。これを実行すると、現在のブランチの変更がスタッシュに保存される。複数の変更を退避させる場合、後でどの変更だったか分かりにくくなることがある。その場合は「git stash save "メッセージ"」のように、メッセージを付けて保存することが推奨される。例えば「git stash save "WIP: ログイン機能のバリデーション追加"」とすれば、後から見返した時に内容を把握しやすくなる。保存されたスタッシュの一覧は「git stash list」コマンドで確認できる。一覧には「stash@{0}」や「stash@{1}」といった識別子と共に、保存時のブランチ名やメッセージが表示される。新しいものほど番号が若くなる。退避させた変更を現在のブランチに適用して作業を再開するには「git stash apply」コマンドを使用する。このコマンドは、デフォルトで最も新しいスタッシュ、つまり「stash@{0}」を適用する。適用後も、そのスタッシュは一覧に残り続けるため、同じ変更を別のブランチにも適用したい場合などに便利である。特定のスタッシュを適用したい場合は、「git stash apply stash@{1}」のように識別子を指定する。「git stash pop」も変更を適用するコマンドだが、「apply」とは異なり、適用後にそのスタッシュを一覧から自動的に削除する。一時的な退避と復元という一連の操作を一度で完結させたい場合に最もよく使われるコマンドである。不要になったスタッシュは「git stash drop stash@{1}」のように識別子を指定して個別に削除できる。また、「git stash clear」を実行すれば、保存されているすべてのスタッシュを一括で削除することも可能だ。
git stashには、より細かい制御を行うためのオプションも存在する。通常、git stashはGitの追跡対象となっているファイルの変更のみを退避させる。そのため、新しく作成したばかりでまだ一度もコミットに含まれていないファイル(未追跡ファイル)は、デフォルトでは退避の対象外となる。これらのファイルも含めて退避させたい場合は、「git stash -u」または「git stash --include-untracked」オプションを使用する。さらに、「.gitignore」ファイルで意図的に追跡対象から除外しているファイルまで含め、ワーキングディレクトリ内のすべての変更を退避させたい場合には、「git stash -a」または「git stash --all」という強力なオプションがある。また、非常に便利な使い方として「git stash branch 新規ブランチ名」というコマンドがある。これは、退避させた変更を適用するための新しいブランチを作成し、自動的にそのブランチに切り替えるものだ。一時的に退避させた作業が、そのまま新しい機能開発として独立させる価値があると判断した場合などに、スムーズに開発を継続できる。
git stashが特に役立つのは、コミットする準備が整っていない段階で急にブランチを切り替える必要が生じた時や、他の開発者がプッシュした最新の変更を取り込むために「git pull」を実行したいが、自身の作業中の変更と競合する可能性がある時である。このような場合に、一旦作業内容を安全な場所に退避させることで、ワークフローを円滑に進めることができる。ただし、重要な注意点として、git stashはコミットの代替手段ではないことを理解しておく必要がある。スタッシュはあくまで一時的な保管場所であり、Gitの永続的な変更履歴には残らない。長期間にわたって多数のスタッシュを溜め込んでしまうと、どのスタッシュが何の変更だったか管理が困難になったり、後で適用しようとした際にコードの他の部分が大きく変更されていて、深刻なコンフリクトを引き起こす原因となったりする。作業がある程度まとまった段階では、stashに頼るのではなく、適切なコミットメッセージと共にコミットを作成することが、健全なバージョン管理の基本である。git stashは、開発作業中に発生する様々な中断要因に柔軟に対応するための強力なツールである。作業の中断と再開をスムーズに行うことで、開発者は目の前のタスクに集中しやすくなる。基本的なコマンドである「stash」、「list」、「apply」、「pop」を使いこなすことで、日々の開発効率は大きく向上するだろう。この機能を正しく理解し、適切な場面で活用することは、システムエンジニアとしてバージョン管理を効果的に行う上で非常に重要なスキルの一つと言える。