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【ITニュース解説】Google confirms hackers gained access to law enforcement portal

2025年09月16日に「BleepingComputer」が公開したITニュース「Google confirms hackers gained access to law enforcement portal」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Googleは、法執行機関がデータ請求に使うシステムで、ハッカーが不正アカウントを作成し侵入したことを確認した。この問題により、警察などによるGoogleへの公式な情報リクエストが悪用される可能性があった。

ITニュース解説

Googleが提供するサービスを利用している我々にとって、セキュリティは非常に重要な問題だ。今回のニュースは、Googleのシステムがハッカーによる不正アクセスの標的になったという内容で、特に「法執行機関向けデータリクエストシステム(LERS)」という、警察や捜査機関が犯罪捜査のためにGoogleにデータ開示を要請する際に使う特別なシステムが狙われた事件だ。この出来事について、システムエンジニアを目指す人にもわかりやすく解説する。

まず、LERSとはどのようなシステムなのか。GoogleのGmailやGoogleドライブ、YouTubeなど、我々が日常的に使う様々なサービスには、個人のデータが保存されている。もし犯罪捜査の過程で、これらのデータが犯人特定や証拠収集に必要になった場合、警察などの法執行機関は、いきなりGoogleに「データを出してほしい」と要求することはできない。必ず法的な手続きを経て、Googleに対して正式な要請を行う必要がある。この正式な要請を受け付け、管理するための窓口がLERSだ。Googleは、緊急性が高い要請には迅速に対応する一方で、通常の要請には裁判所の令状など厳格な法的根拠を求めるという、データのプライバシー保護と犯罪捜査協力のバランスを取っている。

今回、ハッカーたちはこのLERSを狙った。彼らの目的は、正規の法執行機関になりすまし、Googleからユーザーの個人情報を不正に入手することだった。ハッカーたちは、詐欺的な、つまり偽装されたアカウントをLERS上に作成し、その偽アカウントを使ってGoogleにデータ開示のリクエストを送ったのだ。これは非常に巧妙な手口で、Googleのシステム自体の脆弱性を直接的に突くというよりも、システムを利用する「人」や「組織」の信頼関係を悪用する「社会工学(ソーシャルエンジニアリング)」という手法に近い。具体的には、ハッカーが正規の法執行機関の担当者であるかのように装い、Googleの担当者を騙して、偽のアカウントが本物であると信じ込ませようとしたと考えられる。

Googleは、この不正アクセスを検知し、偽のアカウントによるデータリクエストが実行される前に、そのアカウントへのアクセスを停止するという迅速な対応を取った。これにより、不正に多くのユーザーデータが開示される事態は避けられたとGoogleは説明している。しかし、万が一に備えて、影響を受けた可能性のあるユーザーには個別に通知を行っている。これは、自分のデータが犯罪者に利用されるかもしれないという不安をユーザーに与えないためにも重要な措置だ。

このような法執行機関を装った不正アクセスは、今回が初めてではない。過去にも同様の事件が発生しており、ロシアの政府支援型ハッキンググループである「APT28」(別名Fancy Bear)の関与が疑われている。彼らは、サイバー攻撃や情報収集活動を国家レベルで行う、非常に高度な技術と組織力を持つ集団だ。彼らが今回も関与している可能性が指摘されており、この事件の背景には、単なる金銭目的ではない、より政治的・戦略的な意図があるかもしれない。

今回の事件は、Googleのような巨大な企業であっても、外部からの巧妙な攻撃に対して常に警戒を怠れないという現実を我々に突きつける。システムエンジニアを目指す皆さんは、システムの設計段階からセキュリティを考慮すること、そして運用が始まってからも不正アクセスや異常な挙動を検知するための監視体制を整えることの重要性を学ぶべきだ。また、我々ユーザー側も、企業からの通知や個人情報の取り扱いには常に注意を払い、不審な情報には安易に反応しないといった心構えが求められる。システムを構築する側も利用する側も、セキュリティ意識を高めることが、サイバー空間での安全を守るための第一歩となるだろう。

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