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【ITニュース解説】Harvard Law to AI: MarqVision lands $48M to combat brand abuse

2025年09月15日に「TechCrunch」が公開したITニュース「Harvard Law to AI: MarqVision lands $48M to combat brand abuse」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

MarqVisionは、AI技術を使いブランド品の偽物や悪用を防ぐLAのスタートアップだ。このたび4800万ドルの資金調達を完了し、デジタル上でのブランド保護をさらに強化する。

ITニュース解説

今回のニュースは、インターネット上に存在するブランド侵害という深刻な問題に対して、人工知能(AI)を活用して解決に挑むスタートアップ企業MarqVisionが、4800万ドル(日本円で約70億円超)という大規模な資金調達に成功したというものだ。この出来事は、IT技術がどのように社会の具体的な課題を解決し、新しいビジネスを創造していくかを示す優れた事例であり、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、技術が持つ可能性と今後のキャリアパスを考える上で貴重な情報を提供する。

まず、MarqVisionが解決しようとしている「ブランド侵害」について説明しよう。これは、企業や個人が長い時間をかけて築き上げてきたブランド名、ロゴ、製品デザイン、著作物などが、正規の許可なく模倣されたり、悪用されたりする行為全般を指す。例えば、人気ブランドのバッグや時計、キャラクターグッズなどが、本物と見分けがつかないほど精巧に作られ、インターネット上のECサイトやソーシャルメディアで安価に販売される「偽造品」がその典型だ。これ以外にも、ブランド名を騙る詐欺サイトの運営や、企業のコンテンツを無断でコピーして公開する行為など、その形態は多岐にわたる。これらの侵害行為は、消費者を騙すだけでなく、ブランドを所有する企業の信用を傷つけ、売上を奪い、最終的には企業の競争力を損なう深刻な問題なのだ。

これまで、このようなブランド侵害への対策は、主に法律専門家や調査員による手作業に頼る部分が大きかった。しかし、インターネットの普及により、偽造品や侵害コンテンツは日々膨大な数が生成され、世界中に瞬時に拡散されるようになった。この圧倒的な量に対し、人間の目と手だけでは追いつくことが不可能となり、非常に非効率的でコストのかかる作業となっていたのだ。

ここにAIが介入する余地が生まれた。MarqVisionは、この困難な課題に対し、AIを駆使した革新的なソリューションを提供している。彼らのシステムは、世界中のECサイト、オンラインマーケットプレイス、ソーシャルメディア、広告プラットフォームなど、インターネット上のあらゆる場所を常時監視している。そして、登録されているブランドの製品やコンテンツと照合し、ブランドを侵害する可能性のある偽造品や不正利用の兆候を自動的に検出し、識別する。

具体的なAIの仕組みを見てみよう。MarqVisionのシステムの中核には、「画像認識」と「自然言語処理」という二つの主要なAI技術が使われている。画像認識AIは、大量の正規品の画像データと、これまでに発見された偽造品の画像データを学習することで、商品の写真やロゴ、パッケージデザインなどから偽造品特有の特徴を捉える。たとえば、ロゴの微妙な歪み、色味の違い、縫製の粗さといった、人間が見落としがちな細かな差異をAIは識別できる。一方、自然言語処理AIは、商品の説明文やキーワード、ユーザーのレビューなどを分析し、偽造品によく見られる不自然な表現や怪しい単語の組み合わせを検知する。これらのAI技術を組み合わせることで、MarqVisionのシステムは、人間では到底不可能な規模と速度でブランド侵害を発見し、企業に報告する能力を持っているのだ。

さらに、検出されたブランド侵害に対しては、自動的に該当コンテンツの削除要請を行う機能も備えている。多くのオンラインプラットフォームでは、権利侵害の報告を受けた場合、コンテンツを削除する仕組みがあるが、MarqVisionのシステムは、このプロセスを自動化することで、ブランド侵害への対応を劇的に迅速化し、企業の手間とコストを大幅に削減できる。

このようなサービスは、一般的に「Software as a Service (SaaS)」というビジネスモデルで提供される。SaaSとは、ソフトウェアをインターネットを通じてサービスとして利用する形態を指す。顧客企業は、MarqVisionがクラウド上に構築したシステムにウェブブラウザや専用インターフェースを通じてアクセスするだけで、複雑なAI機能を自社で開発したり、高価なサーバーを購入・運用したりすることなく、高度なブランド保護サービスを利用できる。このSaaSモデルとクラウドコンピューティングの活用は、MarqVisionが世界中の膨大なデータを処理し、AIモデルを継続的に学習・改善するためのスケーラビリティ(拡張性)と安定性を提供する上で不可欠な技術基盤となっている。

システムエンジニアは、このような先進的なサービスを開発・運用する上で中心的な役割を担う。具体的には、AIモデルの設計・開発・最適化を行う「機械学習エンジニア」や、AIが学習するためのデータを収集・加工・管理する「データエンジニア」。そして、検出された情報を顧客企業が分かりやすく確認し、対応を指示できるような使いやすいウェブアプリケーションを開発する「フロントエンドエンジニア」や「バックエンドエンジニア」。さらに、これら全てのシステムが安定して稼働し続けるためのクラウドインフラの構築・運用・監視を行う「インフラエンジニア」や「SRE(Site Reliability Engineer)」など、多岐にわたる専門家が協力し合い、MarqVisionのサービスを支えている。

MarqVisionの創業者がハーバード大学のロースクール出身であるという点も非常に興味深い。これは、法律という伝統的な専門分野と、AIという最先端のIT技術が融合した「リーガルテック」という新しい領域の可能性を示している。リーガルテックは、法律業務の効率化や高度化を目指す分野であり、システムエンジニアが活躍できる新たなフロンティアの一つだ。法律に関する深い知識とIT技術を組み合わせることで、これまで解決が困難であった法的課題に対し、革新的なソリューションを提供できる可能性を秘めている。

今回の4800万ドルという巨額の資金調達は、MarqVisionが提供するAIソリューションの価値と、ブランド侵害対策市場における将来性が投資家から高く評価された結果だ。この資金は、さらなるAI技術の研究開発、サービスの機能拡充、そしてグローバル市場への展開など、MarqVisionの成長戦略を加速させるために活用されるだろう。より多くの優秀なエンジニアやデータサイエンティスト、ビジネス専門家を迎え入れ、技術力とサービス提供体制を強化することで、MarqVisionはブランド保護の分野において、より重要なプレイヤーとなることを目指すはずだ。

このニュースは、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、IT技術が社会の様々な課題にどのように貢献できるか、そしてAI、クラウド、SaaSといった技術が、これからも社会やビジネスのあり方を大きく変えていくということを強く示唆している。その変化の最前線で、技術を通じて新しい価値を創造し、社会に貢献できるのがシステムエンジニアなのだ。

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