【ITニュース解説】Headless Raspberry Pi 3B Setup, Benchmarking & Backup – A Developer’s Guide
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「Headless Raspberry Pi 3B Setup, Benchmarking & Backup – A Developer’s Guide」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Raspberry Pi 3Bをモニターなしでセットアップし、効率的な開発環境を構築する手順を紹介。OS導入からSSH接続、開発ツールのインストール、性能測定、設定のバックアップと復元まで、開発に必要な手順を網羅する。
ITニュース解説
Raspberry Pi 3Bは、1GBのRAMと4コアのARM CPUを搭載した小型コンピュータである。スペック自体は控えめだが、グラフィカルなデスクトップ環境を持たない軽量な「Raspberry Pi OS Lite」を導入し、「ヘッドレス」でセットアップすることにより、リソースを最大限に活用した効率的な開発マシンとして機能させることが可能だ。ヘッドレスとは、モニター、キーボード、マウスなどを直接接続せず、ネットワーク経経由で別のコンピュータから遠隔操作する運用方法を指す。これにより、サーバーや自動化ツールの実行基盤として場所を取らずに利用できる。
まず、セットアップの第一歩として、microSDカードにOSを準備する必要がある。Raspberry Pi OS Liteのイメージファイルを公式サイトからダウンロードし、「Raspberry Pi Imager」や「balenaEtcher」といったツールを使ってmicroSDカードに書き込む。このプロセスはOSのインストールに相当する。書き込みが完了したら、ヘッドレス運用のための重要な設定を行う。具体的には、microSDカードの「boot」と表示される領域に、二つのファイルを手動で作成する。一つは「ssh」という名前の空ファイルで、これを作成するだけで、遠隔操作プロトコルであるSSHが有効化される。もう一つは「wpa_supplicant.conf」というファイルで、この中に使用するWi-Fiのネットワーク名(SSID)とパスワードを所定の形式で記述する。これにより、Raspberry Piは起動時に自動でWi-Fiに接続する。この準備が整ったmicroSDカードをRaspberry Piに挿入し、電源を接続すると、数分で起動してネットワークに接続される。接続後は、ssh pi@raspberrypi.localといったコマンドを使い、手元のPCからSSH経由でログインする。
Raspberry Piに初めてログインした後は、セキュリティと基本設定を確実に行うことが重要だ。最初に、初期設定のパスワードをpasswdコマンドで必ず変更する。次に、sudo apt updateとsudo apt upgrade -yというコマンドを実行し、インストールされているソフトウェアパッケージをすべて最新の状態に更新する。これはセキュリティ脆弱性を解消し、システムの安定性を保つために不可欠な作業である。その後、sudo raspi-configコマンドで設定ツールを起動し、言語や地域設定(ロケール)、タイムゾーン、ネットワーク上での識別名となるホスト名などを自分の環境に合わせて設定する。
基本的な設定が完了したら、開発に必要なツールをインストールして開発環境を構築する。sudo apt install -yコマンドに続けてインストールしたいパッケージ名を列挙することで、複数のソフトウェアを一度に導入できる。例えば、バージョン管理システムのgit、ファイルの送受信に用いるcurlやwget、プログラムのコンパイルに必要なbuild-essential、そして主要なプログラミング言語であるpython3やnodejsなどが挙げられる。また、サーバー上でテキストファイルを編集するためのvimやnano、複数のターミナルセッションを管理するtmux、システムの稼働状況を監視するhtopなどもインストールしておくと作業効率が向上する。
セットアップしたRaspberry Piの性能を客観的に把握するために、ベンチマーク測定を行うことも有益だ。sysbenchのようなツールを使えば、CPUの計算速度やメモリの転送速度を数値で評価できる。また、hdparmやddコマンドは、microSDカードの読み書き性能を測定するために使用される。これらの測定結果は、システムのボトルネックを特定したり、設定変更による性能向上を確認したりする際の重要な指標となる。特に長時間高負荷な処理を行う場合は、vcgencmd measure_tempコマンドでCPU温度を監視し、熱による性能低下が起きていないかを確認することも大切だ。
最後に、時間と労力をかけて構築したこの環境を保護するため、バックアップを作成する。バックアップの対象は、主に個人用の設定ファイル、手動でインストールしたソフトウェアのリスト、そしてシステム全体の設定ファイルである。~/.bashrcのようなホームディレクトリにある設定ファイル(ドットファイル)や、apt-mark showmanualコマンドで出力されるパッケージリスト、/etcディレクトリ以下にあるシステム設定などを一つのフォルダにまとめておく。そして、tarコマンドを使ってこれらのファイルを一つの圧縮ファイルにアーカイブすれば、持ち運びや保管が容易になる。万が一、microSDカードが破損したり、システムを初期化したくなった場合でも、このバックアップがあれば、新しい環境にファイルをコピーし、パッケージリストを使ってソフトウェアを再インストールする簡単なスクリプトを実行するだけで、迅速に元の環境を復元できる。このように、ヘッドレスでセットアップし、環境を整え、その状態をバックアップする一連の流れを習得することは、サーバー管理の基礎を学ぶ上で非常に実践的な経験となる。