実行可能ファイル (ジッコウカノウファイル) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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実行可能ファイル (ジッコウカノウファイル) の読み方

日本語表記

実行可能ファイル (ジッギョウカノウファイル)

英語表記

executable (エグゼキュータブル)

実行可能ファイル (ジッコウカノウファイル) の意味や用語解説

実行可能ファイルとは、コンピュータが直接実行できる形式で記述されたファイルのことだ。プログラムを実行するために必要な命令やデータを含んでおり、オペレーティングシステム(OS)が解釈して実行することで、特定の処理を実行する。 実行可能ファイルは、通常、プログラミング言語で書かれたソースコードをコンパイラと呼ばれるソフトウェアで翻訳し、リンクと呼ばれる処理を経て生成される。ソースコードは人間が理解しやすい形で記述されているが、コンピュータは直接理解できないため、機械語と呼ばれるコンピュータが理解できる形式に変換する必要がある。コンパイラはこの変換を行い、リンクは複数のコンパイルされたファイルやライブラリを結合して、一つの実行可能なファイルを作成する。 実行可能ファイルは、OSの種類によって異なる形式を持つ。例えば、Windowsでは「.exe」拡張子を持つファイルが一般的だ。これは「Executable」の略で、Windows OSが実行できる形式であることを示す。macOSでは、「.app」拡張子を持つアプリケーションバンドルが実行可能ファイルとして機能する。Unix系のOS(Linux、macOSなど)では、拡張子がないファイルや、「.sh」などのシェルスクリプトが実行可能ファイルとして扱われることがある。これらのファイルは、ファイルシステム上で実行権限が付与されている必要がある。 実行可能ファイルは、プログラムの実行に必要な情報、例えば、プログラムの開始アドレス、使用するメモリ領域、必要なライブラリの情報などを含んでいる。OSはこれらの情報に基づいて、プログラムをメモリにロードし、実行を開始する。実行可能ファイルには、プログラムのコードだけでなく、画像や音声などのデータが含まれていることもある。 実行可能ファイルの生成過程をもう少し詳しく見てみよう。まず、プログラマはC、Java、Pythonなどのプログラミング言語を用いてソースコードを作成する。このソースコードはテキストファイルであり、コンピュータは直接実行できない。次に、コンパイラがこのソースコードを機械語に変換する。機械語は、コンピュータのCPUが直接理解できる命令の集まりだ。コンパイラは、ソースコードを解析し、対応する機械語命令を生成する。 しかし、一つのプログラムは通常、複数のファイルに分割されたり、他のプログラムやライブラリの機能を利用したりすることが多い。そこで、リンカと呼ばれるソフトウェアが、コンパイルされた複数のファイルやライブラリを結合し、一つの実行可能ファイルを作成する。リンカは、プログラムが使用する関数や変数のアドレスを解決し、プログラムが正常に動作するように調整する。 実行可能ファイルは、OSの種類やCPUの種類によって異なる形式で生成される。例えば、Windowsで動作するプログラムは、Windows OSのAPI(Application Programming Interface)を利用しているため、Linuxではそのまま動作しない。同様に、x86アーキテクチャのCPUで動作するプログラムは、ARMアーキテクチャのCPUでは動作しないことが多い。 実行可能ファイルを配布する際には、通常、インストーラと呼ばれるプログラムが利用される。インストーラは、実行可能ファイルを適切な場所にコピーしたり、必要な設定を行ったりすることで、プログラムが正常に動作するように支援する。インストーラは、実行可能ファイルだけでなく、プログラムの実行に必要な他のファイル(設定ファイル、データファイルなど)も一緒に配布することが多い。 実行可能ファイルを扱う際には、セキュリティにも注意が必要だ。インターネットからダウンロードした実行可能ファイルには、ウイルスやマルウェアなどの悪意のあるプログラムが含まれている可能性がある。信頼できないソースからダウンロードした実行可能ファイルは、実行する前にウイルス対策ソフトでスキャンすることが重要だ。また、実行可能ファイルの実行権限を不用意に与えないようにすることも、セキュリティ対策として重要だ。 近年では、仮想環境やコンテナ技術の普及により、実行可能ファイルの配布や実行方法も多様化している。例えば、Dockerコンテナは、実行可能ファイルとその依存関係をまとめてパッケージ化し、異なる環境でも同じように動作させることができる。これにより、開発環境と本番環境の違いによる問題を軽減し、アプリケーションのデプロイを容易にすることができる。 このように、実行可能ファイルは、コンピュータがプログラムを実行するための基本的な要素であり、その生成、配布、実行には様々な技術が関わっている。システムエンジニアは、実行可能ファイルの仕組みを理解することで、プログラムの実行に関する問題を解決したり、効率的なアプリケーションのデプロイを実現したりすることができる。

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