【ITニュース解説】Headless Raspberry Pi 4B (2GB RAM) Setup for Docker, k3s & API Hosting
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「Headless Raspberry Pi 4B (2GB RAM) Setup for Docker, k3s & API Hosting」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
小型PC「Raspberry Pi 4B」をモニターなしで設定し、Dockerや軽量Kubernetes(k3s)を導入する手順を解説。Web APIなどを動かすコンテナ実行環境(マイクロサーバー)として活用する方法がわかる。(107文字)
ITニュース解説
安価で省電力な小型コンピュータであるRaspberry Pi 4Bは、適切な設定を行えば、コンテナ技術を活用したWeb APIサーバーとして十分に機能する。特にモニターやキーボードを接続しない「ヘッドレス」という運用形態を採用し、リソース消費の少ないOSを選ぶことで、2GBのメモリでも安定した動作が可能になる。ここでは、Raspberry Piを自分だけの小さなクラウドサーバーとしてセットアップし、APIを公開するまでの一連の手順を解説する。
まず初めに行うのは、Raspberry Piの基本ソフトウェアであるOSの準備である。サーバー用途では、グラフィカルなデスクトップ環境は不要なリソースを消費するため、コマンドライン操作のみで構成される軽量な「Raspberry Pi OS Lite」の64ビット版を選択する。このOSイメージをRaspberry Pi Imagerなどのツールを使ってmicroSDカードに書き込む。この際、ヘッドレス運用のために二つの重要な設定を事前に行う。一つは、カードのbootパーティションに「ssh」という名前の空ファイルを作成し、SSH(Secure Shell)による遠隔操作を有効にすること。もう一つは、「wpa_supplicant.conf」というファイルにWi-Fiの接続情報を記述しておくことだ。これにより、Raspberry Piは初回起動時から自動的にネットワークに接続し、別のコンピュータから遠隔で操作できる状態になる。
OSを書き込んだカードを挿して電源を入れたら、SSHクライアントを使い、指定されたホスト名またはIPアドレスでRaspberry Piに接続する。接続後は、セキュリティの基本である初期パスワードの変更と、システム全体を最新の状態に保つためのアップデートを実行する。さらに、raspi-configという設定ツールを用いて、システムのホスト名やタイムゾーンなどを自分の環境に合わせて設定する。
次に、アプリケーション開発やサーバー運用に必要なツールを導入する。ソースコードのバージョン管理に不可欠なgit、ファイルのダウンロードに使うcurlやwget、そしてAPI開発で利用するプログラミング言語Pythonとその関連ツールをインストールする。特にPythonでは、プロジェクトごとにライブラリのバージョンを独立させて管理するための「仮想環境」を作成することが推奨される。これにより、複数のプロジェクトが互いに影響を及ぼすことなく、安定して動作させることが可能になる。
続いて、現代的なアプリケーション開発の根幹をなすコンテナ技術を導入する。コンテナとは、アプリケーションとその実行に必要なライブラリや設定を一つのパッケージにまとめ、どんな環境でも同じように動かすことを可能にする技術である。これにより、開発環境と本番環境の違いによる問題を大幅に削減できる。選択肢は二つある。一つは、最も普及しているコンテナ管理ツールである「Docker」だ。Dockerをインストールすれば、docker runコマンド一つで様々なアプリケーションを手軽に実行できる。もう一つは、より高度なコンテナ管理を目指すための「k3s」である。k3sは、複数のコンテナを協調させて大規模なシステムを運用するためのオーケストレーションツール「Kubernetes」を、リソースの限られた環境向けに軽量化したものだ。単体のAPIサーバーであればDockerで十分だが、将来的に複数のサービスを連携させるマイクロサービスのような構成を考えているなら、k3sが強力な選択肢となる。
サーバーの基盤が整ったら、いよいよWeb APIを開発し、公開する。ここではPythonのWebフレームワークであるFastAPIやFlaskを利用する。まずPythonの仮想環境を有効にし、必要なライブラリをインストールする。そして、特定のURLにアクセスがあった場合に「Hello World」のような簡単なメッセージを返すだけのAPIコードを作成する。このAPIプログラムをuvicornのようなWebサーバープログラムを通じて実行すると、Raspberry Piは指定されたポートでリクエストを待ち受けるようになり、同じネットワーク内の他のコンピュータからアクセスできるようになる。さらに安定した運用を目指すなら、このAPIプログラムを「Systemdサービス」として登録することが望ましい。サービスとして登録することで、Raspberry Piの起動時にAPIが自動で起動するようになり、万が一プログラムが異常終了しても自動的に再起動させることができる。
最後に、構築した環境を維持管理するための重要な作業として、バックアップの作成方法も知っておくと良い。自分で変更した設定ファイルや、インストールしたソフトウェアのリストをファイルに保存し、一つの圧縮ファイルにまとめておく。こうすることで、microSDカードが故障した際や、新しいRaspberry Piに環境を移行したい場合に、保存しておいたバックアップから設定やソフトウェアを素早く復元することが可能になる。これにより、時間と労力をかけて構築したサーバー環境を安全に保護できる。これらの手順を経て、Raspberry Piはコンテナ技術を活用したAPIホスティングが可能な、多機能なマイクロサーバーへと生まれ変わる。