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【ITニュース解説】Infracost (YC W21) Is Hiring First Product Manager to Shift FinOps Left

2025年09月10日に「Hacker News」が公開したITニュース「Infracost (YC W21) Is Hiring First Product Manager to Shift FinOps Left」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Infracostは、クラウドのコスト最適化(FinOps)を開発初期から進める「シフトレフト」を実現するため、初のプロダクトマネージャーを募集している。これにより、効率的なシステム運用を目指す。

ITニュース解説

Infracostがプロダクトマネージャーの募集を発表したというニュースは、現代のクラウドシステム開発において非常に重要なキーワードをいくつか含んでいる。特に「FinOps Left」という言葉は、システムエンジニアを目指す人にとって、これからのキャリアを考える上で知っておくべき概念だ。

まず、現代のシステム開発では、多くの企業がAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といったクラウドサービスを利用している。クラウドは、必要な時に必要な分だけITリソースを使える柔軟性があり、初期投資を抑えられるメリットがあるため、急速に普及した。しかし、クラウドは使った分だけ料金が発生する従量課金制のため、利用状況を適切に管理しないと、コストが予想以上に膨らんでしまうという課題も抱えている。開発者が気軽にリソースを立ち上げられる反面、そのコストを意識せずに利用し続けると、知らず知らずのうちに予算をオーバーしてしまうケースが少なくない。

このような背景から生まれたのが「FinOps(フィノップス)」という考え方だ。FinOpsは、Finance(財務)とOperations(運用)を組み合わせた造語で、クラウドコストを組織全体で最適化するための文化、プラクティス、およびフレームワークを指す。単に「コストを削減する」だけでなく、クラウド利用のコスト効率を最大化し、ビジネス価値を高めることを目的としている。開発者、運用担当者、財務担当者など、組織内のさまざまな部門が協力し、クラウドコストの透明性を高め、データに基づいた意思決定を行い、継続的にコストを最適化していくというアプローチだ。

そして、このFinOpsの考え方をさらに発展させたのが、「Shift FinOps Left(シフト・フィノップス・レフト)」という概念である。ここで出てくる「Shift Left」とは、システム開発の世界で広く使われる言葉で、品質保証やセキュリティ対策といった活動を、開発プロセスのより早い段階(左側)に前倒しして行うことを意味する。なぜなら、問題が開発の終盤で発見されると、修正にかかる時間やコストが大幅に増大してしまうからだ。例えば、システムの設計段階でセキュリティの脆弱性を見つけられれば簡単に修正できるが、運用開始後に見つかれば大がかりな改修が必要になる。

この「Shift Left」の考え方をFinOpsに適用したのが「Shift FinOps Left」だ。つまり、クラウドインフラの設計や開発の初期段階から、コストを意識し、見積もり、最適化していくことを指す。具体的には、Infrastructure as Code(IaC)という手法でインフラをコードとして定義する際に、そのコードがデプロイされた場合にどれくらいのクラウド費用が発生するのかを事前に予測し、コスト効率の良い設計を初期段階で行うというものだ。これまでのクラウドコスト管理は、インフラをデプロイした後でコストを監視し、高額な利用があれば調整するという「事後対応」が中心だった。しかし、「Shift FinOps Left」は、デプロイする前にコストを予測し、問題があればその段階で修正するという「事前対応」を可能にする。これにより、予期せぬ高額なコストの発生を防ぎ、手戻りを減らし、開発全体の効率性を高めることができる。

Infracostは、まさにこの「Shift FinOps Left」を実現するためのツールを提供する企業だ。Infracostのツールは、TerraformのようなIaCツールで書かれたコードを解析し、それがクラウド上に展開された場合の概算コストを開発者に提示する。これにより、開発者はインフラコードを書く段階で、リアルタイムにコストへの影響を確認できるため、よりコスト効率の良いインフラ設計を早期に行うことができる。これまでのように、コードをデプロイしてから初めてコストがわかる、という状況を避けることが可能になるわけだ。これは、クラウドコストの透明性を高め、開発チーム全体でコスト意識を共有する上で非常に強力な助けとなる。

今回の求人である「プロダクトマネージャー」という職種は、Infracostのような企業において非常に重要な役割を担う。プロダクトマネージャーは、製品やサービスの全体的な責任者として、市場のニーズや顧客の課題を深く理解し、それを解決するための製品戦略を立案し、新機能の企画、開発ロードマップの作成、そして開発チームとの連携を通じて製品を実現していく。Infracostのプロダクトマネージャーは、FinOpsの専門知識を持ち、開発者やFinOpsエンジニアがどのようなコスト管理の課題を抱えているのかを深く掘り下げ、その解決策となるようなツール機能やサービスを企画・推進することが求められるだろう。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、これらの概念は非常に重要だ。これからの時代、クラウドはシステム開発の基盤であり続ける。そのため、技術的な知識だけでなく、クラウドのコスト構造を理解し、いかに効率的に利用するかというコスト意識は、すべてのシステムエンジニアにとって不可欠なスキルとなる。FinOpsやShift Leftの考え方は、あなたが将来どのような分野のシステムエンジニアになったとしても、必ず役立つ知識だ。Infracostのようなツールや、それを生み出す企業の考え方を知ることは、技術とビジネスの両面からシステムを捉える目を養う一助となるだろう。単にコードを書くだけでなく、そのコードがビジネスに与える影響、特にコスト面での影響を理解し、最適化に貢献できるエンジニアこそが、これからのIT業界で求められる人材となる。

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