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【ITニュース解説】Instagram fixed an issue that caused posting multiple Stories to tank your reach

2025年09月13日に「Engadget」が公開したITニュース「Instagram fixed an issue that caused posting multiple Stories to tank your reach」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Instagramは、複数ストーリーズを投稿すると閲覧数(リーチ)が減少するバグを修正した。これまでクリエイターから不満が多かったこの問題が解決し、今後は複数投稿してもリーチが低下する負の影響はなくなる。

ITニュース解説

Instagramが最近、ある重要なバグを修正したというニュースがあった。これは、多くのシステムエンジニア志望者にとって、大規模なWebサービスがどのように構築され、運用されているか、そしてそこでどんな問題が起こりうるのかを理解する良い機会となるだろう。

今回の問題は、Instagramの「ストーリーズ」機能に関するものだった。ストーリーズは、24時間で消える短い動画や画像コンテンツを投稿する機能で、多くのユーザー、特に自分の投稿を通じてフォロワーを増やしたり、収益を得たりしているクリエイターにとって非常に重要なツールだ。そのストーリーズで、ユーザーが1日に複数のコンテンツを投稿すると、なぜかその投稿が見られる人数、つまり「リーチ」が減少してしまうという不具合が発生していた。

この問題は、Instagramの責任者であるアダム・モッセーリ氏も「意図しない動作」であったと認めている。本来であれば、ユーザーがより多くのコンテンツを積極的に投稿することは、プラットフォーム全体の活性化につながり、アルゴリズムもそれを奨励するはずだ。しかし実際には、投稿すればするほど見てもらえる機会が減ってしまうという、クリエイターにとっては逆効果な状況が生じていた。これは、頻繁に投稿するモチベーションを奪い、結果的にストーリーズの利用をためらわせる原因となっていたのである。

システムエンジニアの視点から考えると、このようなバグはいくつかの原因が考えられる。まず、Instagramのアルゴリズムは、膨大な数のユーザーが投稿する無数のコンテンツの中から、個々のユーザーにとって最も関連性が高く、興味を引くであろうものを選択し、表示する役割を担っている。このアルゴリズムは非常に複雑で、例えばユーザーの過去の行動履歴(どの投稿を見たか、いいねしたか、スキップしたか)、投稿時間、コンテンツの種類など、様々な要素を組み合わせてコンテンツの優先順位を決定している。

今回のバグは、この複雑なアルゴリズムのどこかのロジックに問題があった可能性が高い。例えば、「同じユーザーが短時間に多数のストーリーズを投稿した場合、ユーザー体験の飽和を防ぐために、一部の投稿の表示優先度を下げる」といったロジックが、過剰に働くように設計されていたか、あるいは意図しないバグとして組み込まれてしまっていたのかもしれない。あるいは、複数のストーリーズが連続して投稿された際に、システムがそれらを個別のコンテンツとして適切に評価せず、まとめて一つのセッションとして処理してしまい、そのセッション全体のリーチを調整する際に問題が生じた、といったケースも考えられる。

「リーチが減少する」という現象の裏側には、さらに技術的な側面がある。Instagramは、ユーザーがストーリーズを視聴するたびに、その視聴完了率や途中でスキップされたかどうか、といった様々なデータを収集している。これらのデータは、アルゴリズムが今後のコンテンツ表示を最適化するための重要なインプットとなる。もし、バグによって特定の条件で投稿のリーチが不当に制限されていたとすれば、そのアルゴリズムの計算ロジックや、それを実行するバックエンドシステムに不具合があったことを意味する。これはデータベースからのデータ取得、データの加工、アルゴリズムによるスコアリング、そして最終的なコンテンツ配信といった一連の処理の中で発生した可能性がある。

今回のバグ修正は、Instagramのような巨大なWebサービスにおいて、ソフトウェア開発が単に機能を追加するだけでなく、既存のシステムの挙動を継続的に監視し、改善していくことがいかに重要であるかを示している。バグの特定には、ユーザーからのフィードバックが大きな役割を果たす。多くのクリエイターが「複数投稿でリーチが落ちる」と訴えていたことが、問題を浮き彫りにし、開発チームがその原因を調査し、修正へと動くきっかけとなった。

修正のプロセスは、一般的には以下のようなステップを踏む。まず、問題の再現手順を特定し、バグの原因となっているコードや設定を特定する。次に、その問題を解決するためのコード修正や設定変更を行い、開発環境でテストを実施する。単体テスト、結合テスト、そしてシステム全体での回帰テストなど、様々なテストをクリアした後、実際のユーザーが利用する本番環境へとデプロイ(展開)される。Instagramのような大規模なサービスでは、全世界のユーザーに影響が及ぶため、段階的にデプロイを行ったり、A/Bテストを実施して修正の効果を検証したりすることもあるだろう。

今回の修正により、1日に複数のストーリーズを投稿しても、それが全体のリーチに悪影響を与えることはなくなったとされている。特に、最初のストーリーズが不当に扱われることもなくなったという点は重要だ。これは、クリエイターが安心して、より自由にコンテンツを投稿できるようになることを意味し、結果としてプラットフォーム全体のコンテンツ量と質を高めることにもつながる。

このニュースはまた、ソーシャルメディアプラットフォームの進化についても示唆している。かつては友人とのカジュアルな交流が中心だったInstagramも、今や多くの人々がコンテンツを通じて生計を立てる「プロフェッショナルなプラットフォーム」へと変化している。このような環境では、アルゴリズムのわずかな調整やバグの存在が、クリエイターの収入やキャリアに直接的な影響を与えるため、その透明性と公平性が極めて重要となる。システムエンジニアは、単にコードを書くだけでなく、そのコードがユーザー体験やビジネスに与える影響まで深く理解し、責任を持って開発に携わる必要があることを、この事例は教えてくれている。

新機能の追加は目に見えやすいが、既存機能の裏側で行われるアルゴリズムの微調整こそが、ユーザーの行動やコンテンツ戦略を根本から変える力を持っている。システムエンジニアとして、このような大規模かつ影響力の大きなシステムに携わることは、非常にやりがいのある挑戦となるだろう。常にユーザーの視点に立ち、システムの意図せぬ挙動を防ぎ、より良いサービスを提供するための技術を追求していくことが求められる。

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