【ITニュース解説】Can logic assembly replace low-level programming in automation?
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Can logic assembly replace low-level programming in automation?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
自動化開発では、柔軟なマイコンは複雑で、高価なPLCは融通が利かない。そこで、標準PCを基盤に、ビジュアルなロジックエディターとモジュール式ハードウェアで開発を効率化する新しいIDEが提案されている。低レベルなプログラミング作業を減らし、中小規模の自動化ニーズに応える狙いだ。
ITニュース解説
自動化やロボット技術が私たちの社会に深く浸透する中で、それらを開発するための技術も日々進化している。しかし、現在の開発手法にはそれぞれ得意なことと苦手なことがあり、開発者は常に最適なツール選びに頭を悩ませているのが現状だ。今回紹介する新しいコンセプトは、そうした課題を解決し、より手軽で効率的な自動化システム開発を目指すものだ。
現在の自動化システム開発において、主に用いられるツールは大きく三つに分けられる。一つは「マイクロコントローラ」だ。これはArduinoやSTM32、ESPといった小さなコンピューターチップのことで、例えば家電製品やIoTデバイスの内部で特定のタスクを制御するために使われている。マイクロコントローラは非常に柔軟性が高く、開発者が思い通りの動きを実現しやすいという大きな利点がある。しかし、その裏側では「ファームウェア」と呼ばれる専用のプログラムをゼロから書き、さらにチップ内部の「レジスタ」と呼ばれる記憶領域を直接操作するなど、非常に低レベルで専門的な知識が要求される。少しのミスがシステム全体に影響を与えかねないため、「デバッグ」、つまりバグを見つけて修正する作業も非常に手間がかかる。初心者にとっては敷居が高いと感じるかもしれない。
二つ目のツールは「PLC」(プログラマブルロジックコントローラ)だ。これは主に工場などの産業現場で使われる、信頼性と耐久性に優れた専用のコンピュータだ。工場内の機械を正確かつ安全に制御するために設計されており、一度設定すれば安定して稼働し続けるという強みがある。また、多くの製造業で標準的に採用されているため、異なるシステム間での連携も比較的容易だ。しかし、PLCは一般的に非常に高価であり、さらに特定のメーカーが提供する「プロプライエタリなソフトウェア」、つまりそのメーカー独自の開発環境やツールに縛られることが多い。これにより、システム全体が高コストになり、開発の自由度が制限されるという側面がある。
三つ目のツールとして、Raspberry Piのような「DIYやホビー向けのソリューション」がある。これらは手軽に入手でき、様々な機能を試すための「プロトタイプ」開発には非常に適している。しかし、産業用途のような厳しい環境下での長期的な信頼性や、大規模なシステムを構築するための拡張性には限界がある。つまり、趣味のプロジェクトには十分でも、本格的な工場や研究施設で使うには物足りないということだ。
このように、現在の自動化開発には「柔軟性はあるが複雑」「信頼性はあるが高価で閉鎖的」「手軽だが本格利用には不十分」というそれぞれ異なる課題が存在する。このギャップを埋めるべく提案されたのが、今回紹介する「新しいIDE(統合開発環境)のコンセプト」だ。このIDEは、マイクロコントローラの柔軟性とPLCの信頼性のちょうど中間を狙う。
この新しいIDEの中核にあるのは、私たちが普段使っているような「標準的なx86 PC」だ。なぜPCを基盤にするのかというと、PCは高い処理能力を持ち、幅広いソフトウェアや周辺機器と連携できる汎用性があるからだ。さらに、PCには豊富な開発ツールやコミュニティが存在するため、開発者は既存の資産を活用しやすい。
このPCに、自動化に必要なセンサーやモーターなどを接続するための「モジュール式のハードウェアインターフェース」を組み合わせる。これにより、必要な機能だけを選んで追加できるため、無駄を省きながらシステムを構築できる。
そして最も特徴的なのが、「ビジュアルロジックエディタ」だ。これは、文字でプログラムを記述するのではなく、図形や線を使ってシステムの動作ロジックを視覚的に組み立てるツールだ。具体的には、「ソフトPLC」というソフトウェアでPLCの機能を実現する技術と、「有限状態機械」というシステムの状態変化を表現するモデルを基にしている。ビジュアルでロジックを組めるため、低レベルなプログラミングの知識がなくても、直感的にシステム設計を行える。これにより、開発者は複雑なコードと格闘する時間から解放され、より本質的な問題解決に集中できるため、開発期間の大幅な短縮と、低レベルコーディングに伴う定型作業の削減が期待されている。
これまでに、このコンセプトに基づいていくつかの要素が実際に実装されている。例えば、「有限状態機械」の機能が使えるようになり、システムの状態遷移を明確に定義できるようになった。また、USB経由でPCから「GPIO(汎用入出力ピン)」を制御できる機能も実現している。GPIOとは、センサーからの信号を受け取ったり、モーターなどのアクチュエーターを動かすための基本的なインターフェースのことで、これらをPCから直接操作できることで、柔軟なハードウェア制御が可能になる。さらに、一般的な自動化タスクで頻繁に利用される機能をまとめた「既製モジュール」も用意されているため、ゼロからすべてを作る手間が省ける。そして、驚くべきことに、AIモデルと統合することで、システムの「ドキュメント生成」や「ロジックテンプレート」の生成も可能になっている。これにより、開発者はより効率的にプロジェクトを進められるようになるだろう。
この新しいIDEが活躍すると考えられているのは、多岐にわたる分野だ。例えば、様々な業界の自動化プロジェクト、精密な実験が求められる研究室、新製品を開発するためのR&Dテストリグ、農業分野での新しい技術を試すアグリテックのパイロットプロジェクト、そしてPLCを導入するにはコストが高すぎるが、マイクロコントローラでは開発に時間がかかりすぎるような「小規模な生産セル」などだ。これらの分野では、既存のツールが抱える課題が顕著であり、この新しいアプローチが大きなメリットをもたらす可能性を秘めている。
開発チームは、このPCベースのアプローチが組み込みシステムや自動化分野でどれほどの潜在能力を秘めているのか、また、本当にマイクロコントローラが依然としてほとんどのタスクにおいて唯一の選択肢なのか、あるいはモジュール式のI/O(入出力)を持つPCがより効果的なツールとなり得る特定の「ニッチな領域」があるのかについて、専門家の意見を求めている。この「中間地帯」を狙うコンセプトが本当に正当性を持つのか、そしてプロトタイプ(試作品)から実際に動作するソリューションへの移行をどれだけ簡素化できるのか、今後の議論が注目される。