【ITニュース解説】Step-by-Step: How I Reduced My Python Code Execution Time by 80%

2025年09月10日に「Medium」が公開したITニュース「Step-by-Step: How I Reduced My Python Code Execution Time by 80%」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

長時間のPythonコード実行を80%短縮した方法を解説。ログ処理やデータ解析を含むスクリプトが40分かかっていた事例を例に、具体的な改善ステップをシステムエンジニアの初心者にも分かりやすく紹介する。

ITニュース解説

あるPythonスクリプトが、40分もの実行時間を要していた。このスクリプトは、日々の運用で発生するログファイルを処理し、その中から必要なデータを解析して抽出し、さらに複雑な計算を実行する重要な役割を担っていた。しかし、その実行速度は非常に遅く、実用上の大きな課題となっていた。この記事では、この遅いPythonコードをどのように改善し、実行時間を80%も削減できたのか、その具体的なステップと背景にある考え方を解説する。

システムエンジニアとしてコードを書く際、プログラムが「正しく動く」ことはもちろん重要だが、「どれだけ速く動くか」「どれだけ効率的に動くか」も同じくらい、あるいはそれ以上に重要となる場合がある。特に、今回のように大量のデータを扱う処理や、頻繁に実行されるバッチ処理では、わずかなパフォーマンスの差が全体のシステム運用に大きな影響を与える。実行時間が長ければ長いほど、システムの応答性が低下し、ユーザー体験を損ね、さらにはサーバーなどのコンピューティングリソースを無駄に消費することにもつながるためだ。

今回の改善事例では、まずスクリプトのどの部分が特に時間を食っているのかを特定することから始まった。これを「ボトルネックの特定」と呼ぶ。プログラム全体が遅いように見えても、実際には特定の数行のコードや特定の処理ブロックが全体の実行時間の大部分を占めていることがよくある。この特定には、プロファイリングツールと呼ばれるものが用いられる。プロファイリングツールは、プログラムの各部分がどれだけのCPU時間やメモリを使用しているかを詳細に計測し、開発者が最も改善効果の高い箇所に注力できるようにする。このステップを踏まなければ、見当違いな箇所を最適化しようとしてしまい、労力の割に効果が得られない、といった事態に陥りかねない。

ボトルネックが特定された後、具体的な改善策が段階的に適用された。 一つ目の重要な改善点は「データ構造の選択」にあった。Pythonにはリスト、タプル、セット、辞書など、複数のデータ構造が用意されている。それぞれのデータ構造は、データの格納方法や、追加・検索・削除といった操作にかかる時間が異なる。例えば、リストは順序付きのデータの集合で、要素の追加は速いが、特定の要素を検索する際には最初から最後まで一つずつ見ていくため、データ量が増えると検索に時間がかかる。一方、セットや辞書は「ハッシュテーブル」という仕組みを使っており、特定の要素が存在するかどうかを確認したり、キーを使って値を取得したりする操作が非常に高速である。大量のデータに対して頻繁に検索処理を行う場合、リストではなくセットや辞書を用いることで、処理時間を劇的に短縮できるケースがある。この記事の事例でも、ログデータの解析において、適切なデータ構造を選択することで、データ処理の効率が大幅に向上したと考えられる。

二つ目の改善点は「アルゴリズムの最適化」である。同じ目的を達成するにも、さまざまな処理手順、つまりアルゴリズムが存在する。例えば、リストの中に重複する要素がないかを確認する際に、単純に二重ループを使って全ての組み合わせをチェックする方法は、データ量が増えると指数関数的に時間がかかる。これに対して、データをセットに変換してから元のリストと要素数を比較する、といったより効率的なアルゴリズムを用いることで、処理時間を大幅に削減できる。また、不要な計算を省略したり、同じ計算を何度も繰り返すことを避けたりする「メモ化」といったテクニックも、アルゴリズム最適化の一環として有効である。ログ処理やデータ解析において、複雑な計算やデータ操作が頻繁に行われる場合、これらのアルゴリズムの見直しは非常に大きな効果をもたらす。

三つ目の改善策として、「最適化された外部ライブラリの活用」が挙げられる。Pythonは汎用的な言語であり、スクリプト言語としての特性上、C言語などの低レベル言語に比べて処理速度が遅くなることがある。しかし、NumPyやPandasといったライブラリは、内部的にC言語やFortranといった高速な言語で実装されており、Pythonのコードからそれらの高速な処理を呼び出すことができる。特に数値計算や大規模なデータ処理において、これらのライブラリは絶大な効果を発揮する。例えば、大量の数値データの配列操作や行列計算をPythonの標準機能で実装すると非常に時間がかかるが、NumPyの機能を使えば数行で記述でき、かつ実行速度も飛躍的に向上する。ログから抽出したデータを統計処理したり、複雑な計算を実行したりする部分で、これらの最適化されたライブラリに処理を委ねることで、全体の実行時間を大幅に短縮できたと考えられる。

さらに、データ処理においては「I/O処理の効率化」も重要なポイントとなる。I/O処理とは、ファイルからの読み書きやネットワーク通信といった、コンピューターが外部との間でデータを受け渡しする操作のことである。これらの操作は、CPU内部での計算に比べてはるかに時間がかかるため、いかに効率的に行うかがパフォーマンスに直結する。例えば、大量のログファイルを一行ずつ読み込むのではなく、ある程度の塊(バッチ)として一括で読み込むように変更したり、本当に必要なデータだけを読み込むようにフィルタリングしたりするなどの工夫が考えられる。また、ファイルのオープンとクローズを必要最小限に抑えることも、I/O処理のオーバーヘッドを減らす上で有効な手段となる。

これらの多角的なアプローチの結果、元の40分かかっていたPythonスクリプトの実行時間は、最終的に80%も削減され、数分で完了するレベルにまで改善された。この事例が示すのは、単にコードが「動く」だけでなく、その「動く速さ」にも着目し、常に改善の意識を持つことの重要性である。システムエンジニアを目指す上では、プログラムのバグを直す能力だけでなく、パフォーマンスの問題を特定し、それを効率的に解決する能力も不可欠となる。プログラムが遅いと感じたとき、この記事で紹介したような「ボトルネックの特定」「データ構造の選択」「アルゴリズムの最適化」「外部ライブラリの活用」「I/O処理の効率化」といった観点から、改善の余地がないか検討してみることは、効率的で高品質なシステムを構築するための第一歩となる。

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