【ITニュース解説】How to self-host a web font from Google Fonts
2025年09月15日に「Hacker News」が公開したITニュース「How to self-host a web font from Google Fonts」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Webサイトで使うGoogle Fontsのフォントを、外部サービスからではなく自分のサーバーに置いて使う「セルフホスト」の方法を解説。フォントの導入を検討するシステムエンジニア初心者が、具体的にどう設定すればよいか学べる記事だ。
ITニュース解説
Webサイトを開発する際、見た目を大きく左右する要素の一つが「フォント」だ。多くのWebサイトでは、閲覧者のパソコンにインストールされている「システムフォント」ではなく、特定のデザインのために用意された「Webフォント」が使われている。Webフォントを使うと、どの環境でアクセスしてもデザイナーが意図したフォントで表示され、サイトの一貫性やブランドイメージを保つことができる。
Webフォントを提供するサービスはいくつかあるが、中でも「Google Fonts」は非常に有名で、無料で豊富な種類のフォントを提供しており、多くの開発者に利用されている。通常、Google Fontsを利用する場合、HTMLファイル内に特別なコードを記述することで、Googleが管理するサーバー(CDN: Contents Delivery Network)からフォントファイルを読み込む。この方法は非常に手軽で便利だが、サイトのパフォーマンスやプライバシーに関して、より高度な管理を求める場合、「セルフホスト」という選択肢が浮上する。
セルフホストとは、Google Fontsのフォントファイルを、Googleのサーバーからではなく、自分のWebサイトが動作しているサーバー、つまり「自分自身でホストする」ことを指す。これは、フォントファイルをダウンロードして、自分のWebサーバーに配置し、そこから閲覧者に提供する方法だ。このアプローチには、いくつかの重要なメリットとデメリットがあるため、システムエンジニアを目指す初心者も理解しておくべきだ。
セルフホストの主なメリットは以下の通りだ。
まず「パフォーマンスの向上」が挙げられる。通常のGoogle Fonts利用では、ブラウザはGoogleのサーバーにフォントファイルを要求する。これは、閲覧者があなたのサイトにアクセスする際に、あなたのサーバーとGoogleのサーバーの二つの場所に接続することになり、その分の時間(DNSルックアップ、TLSハンドシェイクなど)が発生する。セルフホストすることで、全てのコンテンツ(HTML、CSS、JavaScript、画像、そしてフォント)を単一のサーバーから提供できるため、ブラウザは一度の接続で全ての必要なリソースを取得でき、サイトの読み込み速度が向上する可能性がある。特にHTTP/2のような新しいプロトコルでは、単一ドメインからのリソース取得がより効率的に行われる。また、GoogleのCDNが一時的に遅延した場合でも、あなたのサイトの表示に影響が出ないという信頼性も得られる。
次に「プライバシー保護」の強化がある。Google FontsをCDN経由で利用すると、閲覧者のIPアドレスやブラウザの種類などの情報がGoogleに送信される。これは、Googleがフォントの利用状況を把握したり、地域ごとに最適なフォントを提供したりするために行われるが、プライバシー意識の高いユーザーや、GDPR(一般データ保護規則)のような個人情報保護規制を厳格に遵守する必要がある場合、このデータ送信を避けたいと考えることがある。フォントをセルフホストすれば、これらの情報がGoogleに送信されることはなく、サイトのプライバシーポリシーをより簡単に管理できる。
さらに「コントロールと一貫性の確保」もメリットだ。Google Fontsは定期的にフォントファイルの更新を行うことがある。これは通常良いことだが、稀にフォントのメトリクス(文字の幅や高さなど)が変更され、サイトのレイアウトに予期せぬ影響を与える可能性もゼロではない。セルフホストしていれば、フォントファイルのバージョンを自分で管理できるため、サイトの表示が安定し、意図しない変更による影響を回避できる。また、もしGoogle Fontsのサービスが何らかの理由で利用できなくなった場合でも、セルフホストされたフォントは引き続き機能する。
一方で、セルフホストにはデメリットも存在する。
最も大きなデメリットは「手間と管理の複雑さ」だ。Google FontsのCDN利用は、HTMLに数行追加するだけで済む非常に簡単な方法だが、セルフホストでは、まず必要なフォントファイルをGoogle Fontsからダウンロードするか、フォント変換ツールを使って取得する必要がある。そして、そのファイルを自分のWebサーバーの適切なディレクトリにアップロードし、さらにCSSファイルに@font-faceルールを記述して、ブラウザにフォントファイルの場所や種類、スタイルを指示しなければならない。フォントファイルには、WOFF2、WOFF、TTFなど複数の形式があり、ブラウザの互換性を考慮して複数用意することが推奨されるため、その管理も増える。フォントが更新された場合も、手動で再ダウンロードしてアップロードし直す必要がある。
また「サーバーリソースの消費」も考慮に入れる必要がある。フォントファイルは通常数キロバイトから数十キロバイトと比較的小さいが、多くの種類のフォントを使用したり、大規模なサイトでアクセスが集中したりすると、その分のサーバーの帯域幅やストレージが消費されることになる。
では、具体的にセルフホストはどのように行うのか、その概念的な手順を説明する。
最初のステップは「フォントファイルの取得」だ。Google Fontsのサイトには直接ダウンロードボタンがない場合が多いが、サードパーティのツールやスクリプトを利用することで、必要なフォントをWOFF2やWOFFといったモダンなWebフォント形式でダウンロードできる。WOFF2は最新のブラウザで最も効率的に動作する形式であり、WOFFは少し古いブラウザ向けに用意されることが多い。
次に、取得したフォントファイルを「Webサーバーに配置」する。例えば、Webサイトのルートディレクトリにfontsというフォルダを作成し、その中にダウンロードしたフォントファイルを置くのが一般的だ。
そして「CSSでフォントを定義」する。CSSファイルに@font-faceルールを記述し、ブラウザにカスタムフォントの情報を教える。このルールの中で、font-familyでフォントの名前(任意で設定)、srcでフォントファイルのパスとフォーマットを指定する。font-weight(太さ)、font-style(斜体)などもここで定義する。
ここで特に重要なのが、font-displayプロパティだ。例えばfont-display: swap;と設定すると、ブラウザはカスタムフォントの読み込みが完了するまでの間、一時的にシステムフォントでテキストを表示し、フォントの読み込みが終わり次第、カスタムフォントに切り替える。これは、フォントの読み込みに時間がかかりすぎた場合に、ユーザーが空白の画面を見続けるのを防ぎ、ユーザー体験を損なわないための重要な設定だ。
さらにサイトの読み込み速度を向上させるために、「プリロード」を活用することもできる。HTMLの<head>セクションに<link rel="preload" href="/fonts/MyCustomFont-Regular.woff2" as="font" type="font/woff2" crossorigin>のようなタグを追加することで、ブラウザに「このフォントファイルはページの表示に不可欠だから、他のリソースよりも優先して先に読み込んでおいてほしい」と指示できる。これにより、フォントが表示されるまでの時間をさらに短縮できる可能性がある。
セルフホストを検討する際には、いくつか注意すべき点がある。一つは「ライセンス」だ。Google Fontsのフォントは多くがオープンソースライセンスで提供されているが、利用する前に必ずライセンスを確認し、商用利用などの条件に合致しているかを確認する必要がある。また、フォントファイルを「サブセット化」することも有効な手段だ。これは、フォントに含まれる全ての文字(例えば、日本語フォントであれば膨大な漢字)の中から、実際にWebサイトで使用する文字だけを抜き出して、ファイルサイズを大幅に削減する方法だ。これにより、サイトの読み込み速度をさらに最適化できる。
このように、Google Fontsのセルフホストは、パフォーマンスやプライバシー、サイトのコントロールを向上させる強力な手段だが、その分、設定や管理に手間がかかる。システムエンジニアを目指す上では、それぞれの方法のメリットとデメリットを理解し、プロジェクトの要件や目的に応じて最適な選択ができるようになることが重要だ。どちらの方法も一長一短があり、Webサイトの特性と、開発者がどこまでコントロールしたいかによって最適なアプローチは変わってくるだろう。