KB(ケイビー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

KB(ケイビー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

キロバイト (キロバイト)

英語表記

KB (ケイビー)

用語解説

KBは、コンピュータが扱うデジタルデータの量を表す単位の一つである。キロバイトと読み、アルファベット大文字のKとBを組み合わせて表記される。これは、データ量の基本単位であるバイト(B)に、量を表す接頭辞であるキロ(K)を付けたものである。主に、テキストファイルや小さな画像ファイルのサイズ、メモリやキャッシュの容量、データ転送速度などを表現する際に用いられる。システムエンジニアとしてキャリアを始めるにあたり、このKBという単位、さらにはその背景にあるデータ量の考え方を正確に理解することは、ハードウェアの仕様読解からソフトウェアの設計、パフォーマンスの評価に至るまで、あらゆる場面で必須の基礎知識となる。

KBを詳細に理解するためには、まずその基本となる単位について知る必要がある。コンピュータ内部では、すべての情報が「0」と「1」の組み合わせ、すなわち2進数で表現される。この「0」か「1」かの情報を格納する最小単位をビット(bit)と呼ぶ。しかし、ビット単体では表現できる情報量が極めて小さいため、実用上はビットを複数個まとめた単位が用いられる。その代表がバイト(B)であり、一般的に8ビットを1バイトとする。この1バイトという単位によって、アルファベットの半角文字1字や、数字、記号などを表現することができる。コンピュータの世界におけるデータ量の議論は、このバイトを基本単位として展開される。KBは、このバイトが約千個集まった量を示す単位である。

KBにおける最も重要かつ注意すべき点は、「キロ(K)」が指し示す数値が、文脈によって二通りに解釈されることである。一つ目の解釈は、日常生活でも使われるメートルやグラムと同様に、国際単位系(SI)に基づいて10の3乗、すなわち1000倍として扱う考え方である。この定義によれば、1KBは正確に1000バイトとなる。この1000倍を基準とする表記は、主にハードディスクドライブ(HDD)やSSD、USBメモリといったストレージデバイスの製品カタログや、ネットワークの通信速度(kbpsなど)を表す際に採用されることが多い。製造メーカーが製品容量を分かりやすく示すために、切りが良い10進数に基づいた表記を用いている。

二つ目の解釈は、コンピュータの仕組みに由来するもので、2の10乗、すなわち1024倍として扱う考え方である。コンピュータは内部処理を2進数で行うため、2のべき乗で量を扱う方が設計上、都合が良い。2の10乗である1024は、1000に非常に近い値であるため、古くからこれを「キロ」と呼び、1KBを1024バイトとして扱う慣習が定着した。この1024倍を基準とする使われ方は、特にオペレーティングシステム(OS)がファイルサイズを表示する場合や、コンピュータのメインメモリ(RAM)の容量を示す際に一般的である。例えば、WindowsやmacOSでファイルのプロパティを確認すると、ここでのKBは1024バイトを基準として計算された値が表示される。

この二つの定義の混在は、特に初心者を混乱させる原因となり得る。例えば、500GBと表記されたハードディスクをコンピュータに接続すると、OS上では約465GBと表示されることがある。これは、メーカーが1GBを1000MB、1MBを1000KB、1KBを1000Bとして計算しているのに対し、OSは1GBを1024MB、1MBを1024KB、1KBを1024Bとして計算するため、その差が容量が大きくなるほど顕著に現れるからである。この混乱を解消するため、国際電気標準会議(IEC)は、1024倍を表す単位として、明確に2進数であることを示す接頭辞を定めた。それによれば、1024バイトは1キビバイト(KiB)と表記されるべきである。しかし、この表記はまだ十分に浸透しておらず、多くの現場では慣習的にKBが1024バイトの意味で使われ続けているのが実情である。そのため、システムエンジニアは、あるKBという表記が1000バイトと1024バイトのどちらを指しているのかを、その文脈から正しく判断する能力が求められる。

KBが示す具体的なデータ量としては、半角の英数字が1文字1バイトであるため、1KB(1024バイトと仮定)はテキストデータであれば約1000文字分に相当する。一般的なビジネスメールのテキスト部分や、ごく簡単なWebページのHTMLソースコードなどが数KBから数十KBの範囲に収まる。一方、写真や動画、音声などのマルチメディアデータは情報量が格段に大きくなるため、KBよりもさらに大きな単位であるMB(メガバイト、KBの約1000倍)、GB(ギガバイト、MBの約1000倍)、TB(テラバイト、GBの約1000倍)といった単位が用いられる。システム開発においては、扱うデータの種類や量に応じて、これらの単位を適切に使い分ける必要がある。KBの正確な理解は、より大きな単位を理解するための第一歩であり、データ量の規模感を掴む上で不可欠な基礎となる。