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【ITニュース解説】The Day I Built a Program That Surprised Me Back

2025年09月20日に「Medium」が公開したITニュース「The Day I Built a Program That Surprised Me Back」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

自分で書いたプログラムが予想外の賢い振る舞いをすることがある。これはコードが意図せぬ方法で結果を出す体験であり、開発者自身が驚かされる。SEを目指す人にとって、プログラミングの奥深さを知り、新たな発見や成長に繋がる貴重な経験となる。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、日々のニュース記事は技術トレンドや実践的な事例を知る貴重な情報源となる。今回紹介する記事は、自身が作ったプログラムが予想外の挙動を見せ、開発者自身を驚かせたという興味深い出来事について記されている。これは、システム開発において単にコードを書くだけでなく、その裏側にある複雑なシステム間の連携や、予期せぬ相互作用を理解することの重要性を示す良い教訓となる話だ。

記事の著者は、AWS(アマゾンウェブサービス)というクラウドサービスを利用して、社内のテスト環境を自動的に管理するプログラムを開発した。テスト環境とは、新しいソフトウェアや機能が正しく動作するかを確認するための仮想的な場所のことで、開発プロセスには欠かせない。しかし、このテスト環境が使われていない時間も稼働していると、その分だけコストがかかってしまう。そこで著者は、使われていないテスト環境を自動でシャットダウン(停止)し、必要な時に自動で起動(開始)させることで、コストを削減しようと考えた。

この自動管理システムの中核を担ったのは、主に二つのAWSサービスである。一つは「AWS Lambda」だ。これは、サーバーの準備や管理をすることなく、コードを実行できるサービスで、特定のイベント(ここでは、テスト環境をシャットダウンする時間になった、といったイベント)に応じてコードが実行される。もう一つは「AWS Step Functions」で、これは複数のAWSサービスを組み合わせた一連の処理(ワークフロー)を定義し、その実行を管理するサービスである。著者はこれらのサービスを使い、どのテスト環境をシャットダウン・起動するかの判断には、AWSリソースに付けられた「タグ」という目印を利用した。タグは、リソースの用途や所有者などを識別するためのもので、これにより特定の環境だけを効率的に操作できる。

システムは順調に稼働し、期待通りにコスト削減に貢献しているように見えた。しかし、ある日、予期せぬ出来事が発生する。著者が手動で特定のテスト環境をシャットダウンしたにもかかわらず、その環境がすぐに自動で起動してしまうという現象が起きたのだ。まるで、誰かがこっそり裏で起動ボタンを押しているかのようだった。自分の作ったシステムが意図しない挙動を示すことは、エンジニアにとって非常に困惑することであり、そして原因究明への強いモチベーションとなる。

著者はこの謎の挙動の原因を探るため、詳細な調査を開始した。まず、システムのログを調べ、何がトリガーとなって環境が起動したのかを確認した。そして、その過程で「AWS Security Hub」という別のAWSサービスの存在が浮上した。AWS Security Hubは、AWSアカウント全体のセキュリティ状態を監視し、セキュリティ上の問題(脆弱性や設定ミスなど)を検知するとアラートを出すサービスである。さらに、このサービスには、検知した問題を自動的に修正する「自動修復」機能が備わっている場合がある。

調査の結果、判明したのは、シャットダウンしたテスト環境が属するAWSアカウントに、「管理者」権限を持つユーザーがログインしていると、AWS Security Hubの自動修復機能が働き、環境を「起動」してしまうという事実だった。具体的には、テスト環境が停止状態にあることを「セキュリティ上の問題」と判断し、その問題を「修正」するために環境を起動し直していたのだ。著者の作った「シャットダウンするプログラム」と、AWSの既存機能である「セキュリティ監視と自動修復機能」が、互いの存在を知らずに、しかし密接に関係し合う形で衝突していたのである。著者のプログラムはシャットダウンを試み、Security Hubはそれを「問題」と見なして起動に戻すという、まるでいたちごっこのような状況が起きていたわけだ。

この経験は、システムエンジニアを目指す皆さんに非常に重要な教訓を与える。第一に、現代のシステムは単体で動作するものではなく、多数のサービスやコンポーネントが複雑に連携し合って成り立っているという現実だ。AWSのようなクラウドサービスでは特に、個々のサービスが持つ豊富な機能が、互いに影響し合う可能性がある。第二に、既存のサービスや機能が、意図しない形で自身のプログラムの挙動に影響を与える可能性があるということだ。今回のケースでは、セキュリティを強化するための機能が、コスト削減のための自動化プログラムと衝突した。これは、設計段階で予測が難しい側面もあるが、だからこそ全体像を把握し、潜在的な相互作用や副作用を考慮することの重要性が浮き彫りになる。

また、問題解決のプロセスも重要だ。予期せぬ挙動が発生した際には、まずログを詳細に確認し、何がいつ、どのような状況で発生したのかを正確に把握することが重要となる。そこから仮説を立て、一つずつ検証していくことで、真の原因にたどり着くことができる。これは、バグの特定やシステムの障害対応において不可欠なスキルだ。

システムが複雑になればなるほど、今回のような予測不可能な事態が発生する可能性は高まる。エンジニアは、自身のコードが及ぼす直接的な影響だけでなく、それが周囲のシステム環境全体にどのように影響するか、あるいは周囲の環境からどのように影響を受けるかを深く考える必要がある。既存のドキュメントを読み込み、関連するサービスの挙動を理解し、常に「もしこのサービスがこう動いたら、自分のプログラムはどうなるだろうか?」という視点を持つことが求められるのだ。

最終的に、著者はこの予期せぬ挙動を通じて、自身のシステム設計に対する理解を深めた。これは単なるトラブルシューティングを超え、より堅牢で予測可能なシステムを構築するための貴重な学びとなったはずだ。自分の書いたコードが、まるで知性を持ったかのように予期せぬ振る舞いを見せる体験は、エンジニアリングの面白さと奥深さ、そして難しさを同時に教えてくれる出来事と言えるだろう。このような経験を積み重ねることで、より高度なシステムエンジニアへと成長していくことができる。

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