【ITニュース解説】The Fourth Leg of the Stool: JavaScript
2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「The Fourth Leg of the Stool: JavaScript」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
JavaScriptはウェブページに動きを作る。AIがJavaScriptコードを生成するため、プログラミング知識がなくても利用可能だ。AIに「何をしたいか」を伝えるだけで、個別フィードバックのような動的な機能を簡単に実装し、AI活用を始められる。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す上で、JavaScriptは避けて通れない技術の一つだ。しかし、「プログラミングは難しい」「自分には無理だ」と感じる人も少なくないだろう。この解説では、JavaScriptが実際に何をするのか、そして、プログラミング経験がない初心者でもAIを活用していかにJavaScriptを使いこなせるようになるかを具体的に説明する。
まず、JavaScriptの基本的な役割を理解しよう。JavaScriptは、ウェブページやアプリケーションにおいて「動的な動き」を実現する技術だ。例えば、ウェブサイトでボタンをクリックしたときに何かが表示されたり、フォームにデータを入力したときに計算結果が出たり、クイズに答えた後に個別のフィードバックが表示されたりする、そういった「インタラクティブな体験」の多くはJavaScriptによって動いている。静的な情報表示だけでなく、ユーザーの操作に応じて変化する部分、それがJavaScriptの主な仕事だ。
記事では、AIを活用して学習コンテンツを構築する際の「4本目の脚」としてJavaScriptが位置づけられている。これまでの3本は、外部サービスと連携するためのAPI、知識を整理するためのMarkdown、そしてAIからの応答を構造化するためのJSONだった。これらを使ってAIから得られた情報、例えばJSON形式で整理されたAIの回答を受け取った時、その情報を実際にユーザーが見る画面上の適切な場所に表示する役割を担うのがJavaScriptなのである。いわば、AIが作成した「整理された情報ボックス」を、ユーザーの目の前に「配達するドライバー」のような存在だと考えると分かりやすい。
多くの人がJavaScriptに対して「難解なコードの羅列」というイメージを持つかもしれないが、実は必ずしもプログラマーになる必要はない。大切なのは、JavaScriptが「何をするのか」を理解し、AIにコードの作成を任せるというアプローチだ。車の運転を例にとると、エンジンの複雑な仕組みを全て理解していなくても、ハンドルやアクセルの操作方法を知っていれば車を運転できるのと同じである。JavaScriptについても、その機能やできることを知っていれば、AIを介して強力なツールとして活用できる。
具体的な例として、学習コースにおけるパーソナライズされたフィードバックのシナリオを考えてみよう。例えば、安全手順に関するコースで、学習者が質問に対して誤った選択肢を選んだとする。一般的なコースでは、「不正解です」といった一律のメッセージが表示されることが多い。しかし、AIを活用すれば、学習者一人ひとりの間違いに合わせた具体的なフィードバックを提供できるようになる。
このプロセスは次のように進行する。まず、学習者が誤った回答をすると、コースはAIに対して「学習者サラは『エネルギー源の除去』を選択したが、正解は『ゼロエネルギー状態の確認』だった。なぜ後者が先行するのかを理解させるフィードバックを生成してほしい」といった情報を送る。AIはこの情報を受け取り、事前にMarkdownで整理されたロックアウト/タグアウトの手順に関する知識ベースを参照する。これにより、人々がなぜ直接エネルギー遮断に進みたがるのか、その背景を理解し、サラに最適なフィードバックを生成する。
AIの応答は、JSON形式で構造化されて返される。例えば、「フィードバックテキスト」「ヒント」「再試行の要否」「説明」といった項目に分かれて、以下のようなデータが返されるだろう。
1{ 2 "feedback": "サラ、惜しいね。重要なステップを特定したけれど、安全のためには除去の前にゼロエネルギーを確認する必要があるよ。", 3 "hint": "どの機器にも触れる前に何を確認する必要があるか考えてみて。", 4 "retry": true, 5 "explanation": "確認は、圧縮されたバネや残留圧力のような蓄積されたエネルギーによる事故を防ぐからだよ。" 6}
ここでJavaScriptの出番だ。JavaScriptはこのJSON形式で整理されたデータを受け取り、それぞれの情報をコース画面上の適切な場所に配置する。サラの画面には、パーソナライズされたフィードバックテキストが表示され、ヒントが現れ、「再試行」ボタンも表示されるといった具合だ。この一連の流れにおいて、あなた自身が複雑なJavaScriptコードを書く必要は全くない。AIに「何をしてほしいか」を指示するだけで、AIがその要求に応じたJavaScriptコードを生成してくれる。
では、実際にAIにどのように指示すればよいのか。それはまるでアシスタントに話すように、平易な言葉で説明するだけでよい。例えば、「Storylineで構築したコースがある。AIからのフィードバックは、フィードバックテキスト、ヒント、再試行の要否、説明の4つの要素で返ってくる。このうち、フィードバックテキストはvFeedbackという変数に、ヒントはvHintに、再試行の要否はvShowRetryに、説明はvExplanationという変数に入れたい。このためのJavaScriptコードを書いてくれないか?」とAIに伝えるのだ。
AIはこの指示を正確に理解し、以下のようなJavaScriptコードを生成する。
1function updateCourseWithFeedback(response) { 2 var player = GetPlayer(); 3 player.SetVar("vFeedback", response.feedback); 4 player.SetVar("vHint", response.hint); 5 player.SetVar("vShowRetry", response.retry); 6 player.SetVar("vExplanation", response.explanation); 7}
このコードの各行は、playerというコースのオブジェクトを通じて、指定された変数("vFeedback"など)に、AIの応答(responseオブジェクト)から対応するデータ(response.feedbackなど)をセットするという単純な処理を行っている。生成されたコードをコピーし、学習コンテンツ作成ツール(Storylineなど)の適切な場所に貼り付けるだけで、この機能が動作するのだ。
このアプローチがなぜ初心者にとって圧倒的ではないのか。それは、プログラミングの構文を学習したり、複雑なコマンドを記憶したりする必要がないからだ。あなたは「この情報をここから取ってきて、あの場所に入れてほしい」と、まるで誰かに道順を伝えるようにAIに指示するだけである。AIは、その指示を具体的なJavaScriptの「道順(コード)」に変換してくれる。JavaScriptのコード自体も、基本的には「この情報を取得し、あの場所に配置する」という、比較的シンプルな構造をしている。
この仕組みを理解すると、様々な可能性が広がる。手動で作成した固定のフィードバックメッセージに限定されず、AIが各学習者のニーズに応じた説明、ヒント、励まし、さらには個別の演習問題まで生成できるようになる。また、どの学習者がどの概念で苦戦しているかを記録したり、管理者にレポートを送ったり、学習管理システム(LMS)の学習者記録を更新したり、組織全体のリアルタイムな進捗状況を示すダッシュボードを構築したりすることも可能だ。
結局のところ、JavaScriptは情報をある場所から別の場所へ移動させる「配達メカニズム」に過ぎない。そして、AIがその配達作業を行うためのコードを書いてくれる。システムエンジニアを目指す上では、JavaScriptそのものの詳細な仕組みを理解することも重要だが、まずは「何を移動させたいのか」「どこへ移動させたいのか」を明確に伝える能力を身につけることが、AIを活用する上で非常に強力な武器となる。API、Markdown、JSON、そしてJavaScriptという4つの要素を理解することで、これまでは難しかったAIを活用した先進的なシステムや学習体験を、プログラミング初心者でも自信を持って構築できるようになるだろう。