【ITニュース解説】Token Payout based on Private Information: Golf Barbecue Coin (GBC)
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Token Payout based on Private Information: Golf Barbecue Coin (GBC)」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Golf Barbecue Coin (GBC)は、ゴルフのプライベートな成績を基にトークンを自動精算するシステム。Midnight Networkの技術を活用し、個人のホールデータを公開せずトークン残高を更新することで、プライバシーを守りつつ罰則を管理するプロトタイプを開発した。
ITニュース解説
この記事は、ブロックチェーンの新たな可能性を追求する「Midnight Network」の「プライバシー第一」チャレンジで発表された「Golf Barbecue Coin (GBC)」というプロジェクトについて解説する。このプロジェクトは、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、プライバシー保護技術とブロックチェーンの具体的な応用事例として非常に興味深い内容を含んでいる。
GBCは、ゴルフ仲間同士が互いの腕前向上を目的としたユニークなインセンティブシステムを、ブロックチェーン上で実現しようとする試みである。プロジェクトの発案者は、友人たちとゴルフをする中で、特定のペナルティ条件(例えば、ミスショットや規定打数オーバーなど)を設けていた。このペナルティを金銭ではなく、特別なトークンで管理することで、夏の終わりにそのトークン残高に応じてバーベキュー費用を出し合うというルールを設けていたのだ。これまでこのトークン管理は手作業で行われていたが、各自が自分のゴルフの成績(例えば、各ホールでの打数や結果)をプライベートな情報として入力するだけで、ペナルティに応じたトークン残高が自動的に更新される仕組みを求めていた。これがGBCプロジェクトの出発点である。
このシステムが目指すのは、個人のゴルフ成績というプライベートな情報を、その詳細を公開することなく、ペナルティ条件の達成を証明し、トークンの支払いや徴収を行うことである。ここで、Midnight Networkの技術、特に「Compact」というプログラミング言語が重要な役割を果たす。Midnightは、情報の内容を公開することなく、その情報が特定の条件を満たしていることを検証できる、ゼロ知識証明という技術を基盤としたプライバシー保護機能を持つブロックチェーンである。GBCプロジェクトは、まさにこのMidnightの強みを活用し、「プライベート情報を開示せずにトークン支払いの資格を証明する」というユースケースの模範となる。
具体的なシステムの仕組みは次のようになる。まず、各ゴルファーは、自分のスマートフォンなどから、その日のゴルフの各ホールでの詳細な結果(例えば、何打でそのホールを終えたか、どのようなミスがあったかなど)をシステムに入力する。この入力されたデータは、あくまで個人にとってプライベートな情報であり、他の人や外部のシステムに詳細が知られることはない。次に、このプライベートなデータに基づいて、事前に定められたペナルティ条件(例えば、「特定のホールで規定打数を超えたら1GBCのペナルティ」など)が満たされているかどうかを判定する処理が行われる。この判定は、情報を公開せずに検証するMidnightの技術によって行われるため、入力されたゴルフの詳細データが外部に漏れることはない。
この判定結果、つまり「ペナルティ条件を満たした」という事実そのものが、「witness」(証人)と呼ばれる形で生成される。このwitnessは、プライベートな情報から導き出された「特定の条件が満たされた」という簡潔な証明であり、元になったプライベートな情報を一切含まない。そして、このwitnessがMidnightブロックチェーン上の「Compactコントラクト」(GBCのルールを記述したプログラム)に送られる。コントラクトはwitnessを受け取ると、その正当性を検証し、正しければ、該当するゴルファーのGBCトークン残高を自動的に更新する。これにより、手作業なしに、しかもプライバシーが保護された状態で、ペナルティに基づくトークンの自動精算が実現されるわけだ。
プロジェクト開発の過程では、いくつかの技術的な挑戦があったと筆者は述べている。特に難しかったのは、ユーザーが入力するゴルフの成績という「動的に変化するプライベートなデータ」に基づいて、ペナルティ発生の「証拠」となるwitnessを生成し、それをブロックチェーン上のコントラクトに適切に連携させる部分だったという。筆者はCompact言語を使ってgbc.compactというコントラクトを記述し、またcreate-midnight-appというツールを使ってCLI(コマンドラインインターフェース)のひな形を生成するなど、Midnightの開発環境を積極的に活用した。しかし、UI(ユーザーインターフェース)から実際のデプロイされたコントラクトを呼び出す部分や、より堅牢なトークン機能を実装するために既存の標準的なトークン規格(OpenZeppelinのFungibleToken)を組み込む部分については、さらなる開発が必要な「TODO」(未完了の作業)として挙げられている。
このGBCプロジェクトは、単にゴルフ仲間との遊びのためのトークンシステムに留まらない、より広い意味でのデータ保護とブロックチェーンの可能性を示している。ユーザーの個人的な行動データやプライベートな情報が、その詳細を明かすことなく、特定の条件を満たしていることを証明し、その証明に基づいてシステムが自動的に機能する。これは、健康データ、金融取引の履歴、個人の認証情報など、あらゆるプライベートな情報を、セキュアかつ匿名で利用できる未来を示唆している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このGBCプロジェクトは、プライバシー保護技術と分散型アプリケーション開発の具体的な実装例として、非常に学ぶべき点の多いものだと言えるだろう。
プロジェクトのセットアップ方法も詳細に記述されており、興味を持った読者が実際にMidnight開発環境に触れて、CompactコントラクトのビルドやCLI、UIの動作を体験できるようになっている。これにより、概念だけでなく、実際に動くコードを通じて、プライバシー保護型ブロックチェーンの仕組みを深く理解する第一歩となるだろう。