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【ITニュース解説】7 WebFlux Mistakes That Are Secretly Killing Your Performance

2025年09月17日に「Medium」が公開したITニュース「7 WebFlux Mistakes That Are Secretly Killing Your Performance」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

WebFluxは非同期処理で高い性能が期待できるが、使い方を誤ると、裏でスレッドを無駄に消費し、サービスのパフォーマンスを著しく低下させる。この記事では、WebFlux利用時に避けるべき7つの間違いを解説する。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指すあなたがWebアプリケーション開発に興味を持つなら、近年注目されている「WebFlux」というフレームワークについて知っておく価値がある。従来のWebアプリケーションは、リクエストごとにスレッドを割り当て、そのスレッドがデータベース問い合わせや外部サービス通信などの処理を順に行い、完了するまで待機する「同期型」が主流だった。しかし、この方式では、処理の待機中にスレッドがブロックされ、その間は他のリクエストを処理できないため、多数のリクエストが同時に来るとスレッドが不足し、システム全体のパフォーマンスが低下するという課題があった。

WebFluxは、この課題を解決するため、Spring Frameworkの一部として提供された技術である。これは「非同期ノンブロッキング」という考え方に基づき、リクエスト処理中にスレッドが待機状態になるのを極力避ける。例えば、データベース問い合わせを発行したら、結果を待たずに次のリクエスト処理に移り、結果が返ってきたらその続きの処理を行う、という流れだ。これにより、少数のスレッドで非常に多くのリクエストを効率的に処理できるようになり、スケーラビリティが向上するとされている。WebFluxでは「リアクティブプログラミング」というパラダイムを採用し、データの流れや変化に反応して処理を進めることで、複雑な非同期処理をより直感的に記述できる特徴を持つ。

しかし、WebFluxも万能ではない。その特性を十分に理解せず、誤った使い方をしてしまうと、せっかくのパフォーマンス上のメリットが失われ、かえってシステムの動作が遅くなることがある。まさに「隠れたパフォーマンス低下」につながるWebFluxのよくある間違いがいくつか指摘されているため、一つずつ見ていこう。

一つ目の間違いは「ブロッキング操作の混入」だ。WebFluxの最大の利点は非同期ノンブロッキングであるにもかかわらず、その中に同期的な処理、つまりスレッドをブロックする操作を混ぜてしまうと、WebFluxの恩恵は台無しになる。例えば、データベースアクセスや外部APIの呼び出しに、ブロッキングするライブラリやメソッドを使ってしまうと、その処理が終わるまでスレッドは待機状態となり、他のリクエストを処理できなくなる。これは従来の同期型アプリケーションと同じ状態になり、WebFluxを使う意味がなくなってしまうため、全てのI/O操作がノンブロッキングであることを徹底する必要がある。

二つ目は「subscribe()の早期呼び出し」だ。リアクティブプログラミングでは、データの発行元と購読者の関係で処理が進む。subscribe()メソッドは、このデータストリームの実行を実際に開始させる役割を持つが、適切なタイミングで呼ばないと、意図しない副作用を引き起こしたり、本来は遅延して実行されるべき処理が早まってしまったりすることがある。WebFluxアプリケーションでは、通常、コントローラーが返すMonoFluxオブジェクトはSpring WebFluxフレームワークが最終的に購読するため、開発者が明示的にsubscribe()を呼ぶことは稀だ。不必要にsubscribe()を呼ぶことで、期待しない動作やリソースの無駄遣いにつながる可能性があるため注意が必要だ。

三つ目は「Mono.just()Flux.just()の誤用」だ。これらのメソッドは、既に手元にある確定した値をリアクティブストリームとして発行する際に利用される。しかし、計算に時間のかかる処理の結果をjust()で包んでしまうと、その時間のかかる計算自体はjust()が呼ばれる前に実行されてしまい、非同期ノンブロッキングのメリットを活かせない。時間のかかる処理やI/O操作をリアクティブストリームに組み込む場合は、実際にデータが必要になったときに初めて処理を実行する「遅延評価」の仕組みを持つメソッドを使うべきだ。

四つ目は「並列処理の過剰な利用」である。WebFluxではparallel()オペレータを使って処理を並列化できるが、これをむやみに使いすぎると逆効果になることがある。システムが持つCPUコア数以上の並列度で処理を実行しようとしても、実際にはCPUリソースは限られているため、処理が速くなるどころか、スレッドの切り替え(コンテキストスイッチ)のオーバーヘッドが増大し、かえってパフォーマンスが低下する。並列処理は、適切なタイミングと適切な並列度で利用することが重要であり、闇雲に多用すれば良いものではない。

五つ目は「バックプレッシャーの不理解・無視」だ。バックプレッシャーはリアクティブストリームの重要な概念で、データを生成する側が、データを消費する側の処理能力に合わせて、データの供給速度を調整する仕組みを指す。もしデータの供給が消費を上回ると、消費側が処理しきれなくなり、メモリが溢れたり、システム全体が不安定になったりする可能性がある。WebFluxは多くのケースでバックプレッシャーを自動的に処理するが、自分でカスタムのリアクティブコンポーネントを実装する際などには、この概念を正しく理解し、適切に扱うことがパフォーマンスと安定性の維持に不可欠となる。

六つ目は「シーケンシャルなWebクライアント呼び出し」だ。複数の外部サービスやAPIを呼び出す必要がある場合、それぞれの呼び出しを一つずつ順番に待ってから次の呼び出しを行う「シーケンシャル」な方法をとってしまうと、全ての呼び出しが完了するまでに時間がかかってしまう。WebFluxは非同期処理が得意なため、複数のWebクライアント呼び出しを「並行して」実行し、全ての結果が出揃った時点で処理を進めることができるオペレータを提供している。これにより、全体の処理時間を大幅に短縮し、効率を向上させることが可能だ。

最後の七つ目は「ロギングの過剰な使用」だ。開発段階では詳細なログ出力はデバッグに役立つが、本番環境でこれをそのままにしてしまうと、パフォーマンスに大きな影響を与える。ログ出力はディスクI/Oや文字列処理、ネットワーク転送など、多くのリソースを消費する操作だからだ。デバッグレベルの詳細なログを常に本番環境で出力していると、そのオーバーヘッドが積み重なり、アプリケーション本来の処理速度が低下してしまう。本番環境では、必要な情報に絞ったロギングレベルを設定し、過剰なログ出力を避けることが、安定したパフォーマンスを維持するために重要だ。

WebFluxは、高いスケーラビリティと効率的なリソース利用を実現するための強力なツールだが、その特性を正しく理解し、非同期ノンブロッキングという思想を常に意識して設計・実装することが不可欠である。これらの間違いを避けることで、WebFluxの真の力を引き出し、高性能なWebアプリケーションを構築できるようになるだろう。

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