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【ITニュース解説】WSIC (Why Should I Care) - Discover what matters most

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「WSIC (Why Should I Care) - Discover what matters most」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

「WSIC」は、どんな情報も学習体験に変えるWebアプリだ。開発者はAmazonの新IDE「Kiro」のAI機能(Spec Driven Development、コード生成など)を活用し、わずか3週間で完成させた。Kiroは開発を効率化し、高品質なアプリを短期間で実現する未来の開発環境の可能性を示す。

ITニュース解説

情報があふれる現代において、本当に重要な情報を見つけることや、特定のテーマについて深く学ぶことは意外と難しい。そんな課題を解決するために「WSIC (Why Should I Care)」というウェブアプリケーションが開発された。これは単なるコンテンツプラットフォームではなく、どんなに専門的で分かりにくいトピックでも、洗練されたインタラクティブな教育体験に変えることを目指した「学習エンジン」である。開発者はわずか3週間でWSICの動作するバージョンを構築した。この驚異的なスピードでの開発を可能にしたのが、Amazonが提供する新しい統合開発環境(IDE)である「Kiro」だ。Kiroは単なるコードエディタではなく、開発を劇的に変える可能性を秘めた強力なツール群を搭載した「開発者コパイロット」として機能した。

WSICは、新しいトピックを探求し、魅力的なコンテンツを通じて理解を深める手助けをすることを目的とした最新のウェブアプリケーションだ。その核となる機能はいくつかある。まず「スマート検索」機能は、通常のテキスト検索と、意味的な関連性を理解する「セマンティックベクトル検索」を組み合わせることで、ユーザーが求めている情報をより正確に見つけ出すことを可能にする。次に「新しいコンテンツの生成」機能では、Google ADKを使って開発された「マルチエージェントAIパイプライン」が、指定されたトピックに基づいて新しい学習モジュールを自動的に作成する。このパイプラインは、まるで複数の専門家が協力し合うように、調査、コンテンツ生成、事実確認、そして最終的なコンテンツの組み立てといった一連のプロセスをこなす。生成されたコンテンツは「インタラクティブな学習モジュール」として提供され、クイズ、単語の並べ替え問題、フラッシュカード、さらにはそのトピックが現実世界に与える影響や応用例といった多様な形式で学ぶことができるため、単調になりがちな学習をより楽しく、効果的にする。また、ユーザーが快適に利用できるよう、見た目も美しく、使いやすさを追求した「モダンなUI/UX」が採用されており、スマートフォンからパソコンまで、あらゆるデバイスで最適に表示されるよう設計されている。さらに、ユーザーは「パーソナルダッシュボード」を通じて、保存したトピックを管理したり、閲覧数、いいねの数、共有数といった学習活動の指標を確認したりできる。

このWSICがなぜわずか3週間という短期間で実現できたのか、その鍵はKiroのユニークな機能にある。Kiroの「Spec Driven Development(スペック駆動開発)」は、開発者がWSICのアイデアを最初に思いついた際、その全貌を計画するのに役立った。これにより、開発の初期段階でシステムのアーキテクチャ(全体の設計図)を明確に定義し、API(アプリケーション同士が通信するための規約)設計やフロントエンド(ユーザーが操作する部分)の構造に一貫性を持たせることができた。この初期段階での明確な設計は、後工程での手戻りを減らし、開発時間を大幅に削減する効果があった。

コードベースが拡大していく中で、「Agent Steering(エージェントステアリング)」機能は、アプリケーション全体でUI(ユーザーインターフェース)の一貫性を保ち、新しいAIエージェントがコードを生成する際にもコーディングスタイルが崩れないようにする役割を果たした。これは、短期間で質の高いアプリを開発する上で、見た目と品質の統一感を保つために非常に価値のある機能だった。

「MCP (Model Context Protocol)」は、KiroをリアルタイムデータベースであるConvex DBと直接接続するために使われた。これにより、開発の早い段階で実際のデータフローを試行錯誤し、検索機能やユーザーセッション(ユーザーがアプリを利用する一連の流れ)がテスト環境で正しく動作するかを検証できた。プロトタイプ作成時の複雑な一時的な回避策を避け、スムーズな開発を可能にした。

「Agent Hooks(エージェントフック)」は、開発プロセス中に自動的に技術ドキュメントを作成するエンジンとして機能した。開発者が特定の操作を行うと、システムの詳細な説明、コンテンツ生成パイプラインのような重要な処理の流れ、さらには新しい開発者がプロジェクトに参加する際のオンボーディングガイドなどが自動的に生成された。これは、手動でドキュメントを作成する手間を省き、情報の鮮度を保つ上で非常に有用だった。

Kiroの全機能の中で、開発者が最も活用し、高く評価したのが「Vibe Mode(バイブモード)」だ。この機能は、特に高性能なAIモデルであるClaude 4と組み合わせて使用された際、これまでにIDEで見た中で最もクリーンで信頼性の高いコードを生成したという。平均して、中程度の複雑さを持つ機能であれば、わずか7〜8回の反復(イテレーション)で完成させることができた。最も印象的だったのは、ハッカソンの最終日に、アプリケーションの主要部分である検索ページをわずか10〜11回の反復で開発し、完璧に動作させたことだ。

Kiroは、エージェントステアリング、フック、スペック駆動開発、MCPといった独自の機能の組み合わせにより、単なるコード生成を超え、開発プロジェクト全体のライフサイクルを管理する能力を提供した。他のAI統合開発環境と比較しても、Kiroが生み出すコードの品質は一貫して高く、10回未満の反復で堅牢な中程度の複雑な機能を完成させられるため、開発時間を劇的に短縮できた。Kiroは単にコードを書くだけでなく、開発者がどのようにアプリケーションを構築したいかを理解しているかのように感じられたという。

改善点としては、異なる開発フェーズ(例えば、要件定義にはGemini、コーディングにはClaude、ドキュメントやテストにはOpenAIのような)で複数のAIモデルをサポートする「マルチモデルアーキテクチャ」の導入が挙げられる。また、Kiroのコード理解能力がさらに向上すれば、すでに存在する機能に対して不必要な重複コードを生成するのを減らし、エージェントの賢さをさらに高めることができるだろう。

WSICのアーキテクチャと機能の約85%はKiroによって生成された。検索システムは、テキスト検索とセマンティックベクトル検索を組み合わせている。コンテンツパイプラインは、調査、生成、事実確認、組み立てを行うマルチエージェントで構成され、MVP(実用最小限の製品)は既に完成している。インタラクティブモジュールは、クイズ、フラッシュカード、現実世界との関連性を含み、既に機能している。ダッシュボードは、Google OAuthによる認証、メトリック追跡、保存トピックの管理といった基本的な機能を持つ。フロントエンドとUXは、Next.jsとTailwind CSSを使用し、ガラスのような透明感のある「グラスモーフィズム」デザインを取り入れ、レスポンシブ(あらゆる画面サイズに対応)で洗練されている。バックエンドは、PostgresとConvex DBをデータベースとして利用し、非同期処理のためのジョブキュー(QStash)、ワーカー(Render)、そしてGoogle Cloud RunとVercelでホスティングされている。これらは全てデプロイ済みだ。

3週間の開発タイムラインは、最初の1週間で「基盤」を固め、スペック駆動によるセットアップ、Next.jsのボイラープレート(ひな形コード)、認証機能、データベースの連携を行った。2週目には「AIパイプライン」に焦点を当て、エージェントの構築、単語の埋め込み(エンベディング)処理、クイズ機能、事実確認機能の統合を進めた。そして最後の3週目には「仕上げとデプロイ」を行い、ダッシュボードの完成、検索ページの改良、UXの細かな調整、そして最終的なアプリケーションのデプロイメントを完了させた。

WSICをたった3週間で開発するという挑戦は非常に野心的だったが、Kiroがそれを可能にした。Kiroのスペック駆動による堅固な基盤、一貫性を保つエージェントステアリング、データベーステストのためのMCP、ドキュメント自動生成のためのエージェントフック、そして何よりもClaude 4と連携したVibe Modeは、アイデアを記録的な速さで動作するMVPへと具現化するためのツールを提供した。この結果は、単なるハッカソンのプロジェクトを超え、コラボレーションが容易で、スペックに基づき、複数のAIエージェントが協調し、最高のAIモデルによって駆動される、未来の開発の姿を垣間見せるものだったと言える。

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