インテグレーション(インテグレーション)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

インテグレーション(インテグレーション)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

インテグレーション (インテグレーション)

英語表記

integration (インテグレーション)

用語解説

インテグレーションとは、英語の「integration」が語源であり、「統合」や「融合」を意味する言葉である。IT分野においては、複数の異なるシステム、ソフトウェア、ハードウェア、サービスなどを組み合わせて連携させ、一つのまとまったシステムとして機能させることを指す。現代の企業活動や社会インフラは、単一の巨大なシステムで全てを賄うのではなく、特定の機能に特化した複数の要素を連携させることで成り立っている。例えば、顧客情報を管理するシステム、商品の在庫を管理するシステム、会計処理を行うシステムがそれぞれ独立して存在するが、これらを連携させることで、注文から発送、請求までの一連の業務プロセスを自動化し、効率化できる。このように、個々の要素を適切に統合し、全体としてより大きな価値や機能を生み出すための技術や手法、あるいはそのプロセス全体がインテグレーションである。その目的は、業務効率の向上、データの一元管理と活用、既存システムの有効活用、新たなサービスの創出など多岐にわたる。

インテグレーションの中で最も広く知られているのが、システムインテグレーション(SI)である。これは、顧客の業務上の課題を解決するために、様々なハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データベースなどを組み合わせて、最適な情報システムを企画、設計、開発、導入、運用、保守まで一貫して請け負うサービスを指す。この事業を手掛ける企業はシステムインテグレーター(SIer)と呼ばれる。システムエンジニアが活躍する主要な舞台の一つであり、顧客の要求をヒアリングし、それを技術的に実現可能なシステムの形に落とし込む要件定義や設計、そしてプロジェクト全体の管理など、幅広い知識とスキルが求められる。例えば、ある企業が新しいオンラインストアを立ち上げたい場合、Webサーバー、データベースサーバーといったハードウェアの選定と構築、ECサイトを動かすためのソフトウェア開発、クレジットカード決済システムとの連携、そしてこれら全てを繋ぐネットワークの設計など、多岐にわたる要素を統合して一つのサービスとして提供することがシステムインテグレーションの具体的な業務内容となる。

データインテグレーションは、企業内に散在する様々な形式のデータを収集し、統合して利用しやすい形に加工、提供することに特化したインテグレーションである。多くの企業では、販売管理システム、顧客管理システム、人事システムなど、部署や目的ごとに異なるシステムが稼働しており、データもそれぞれのシステム内に分散して保管されている。これらのデータを横断的に分析し、経営判断に活かすためには、データを一か所に集めて統合する必要がある。このプロセスでは、各システムからデータを抽出(Extract)、利用目的に合わせて変換・加工(Transform)、そしてデータウェアハウスなどの分析用データベースに格納(Load)するという、ETLと呼ばれる手法が一般的に用いられる。データインテグレーションを実現することで、企業は全社的な視点でのデータ分析や、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを活用した経営状況の可視化などが可能となり、データに基づいた迅速な意思決定を支援する。

アプリケーションインテグレーションは、異なるアプリケーションソフトウェア同士を連携させ、データや機能を相互に利用できるようにすることである。これにより、手動でのデータ入力や情報の二重管理といった非効率な作業をなくし、業務プロセスを自動化できる。この連携を実現するために中心的な役割を果たすのがAPI(Application Programming Interface)である。APIとは、あるソフトウェアの機能やデータを、外部の他のソフトウェアから呼び出して利用するための手順や規約を定めた窓口のようなものである。例えば、自社の勤怠管理アプリケーションと、外部のチャットツールをAPI連携させることで、出退勤時刻を自動的にチャットで通知する、といったことが可能になる。また、複数のクラウドサービスを組み合わせて業務フローを構築する際にも、このアプリケーションインテグレーションが不可欠となる。EAI(Enterprise Application Integration)は、企業内の様々なアプリケーションを連携させるための仕組みやミドルウェアを指し、より大規模で複雑な連携を実現するために利用される。

インテグレーションのプロジェクトは、一般的に要件定義、設計、開発・構築、テスト、導入・運用という流れで進められる。特に重要なのが、異なる要素を繋ぎ合わせる部分の設計とテストである。各システムの仕様やデータの形式、通信プロトコルなどを正確に理解し、どのように連携させるかを詳細に設計しなければならない。そして、結合テストの段階で、連携部分が意図通りに動作するかを徹底的に検証することが、システム全体の品質を保証する上で極めて重要となる。インテグレーションの最大の利点は、ゼロから全てを開発するのではなく、既存の優れた製品やサービスを組み合わせることで、高品質なシステムを比較的短期間かつ低コストで構築できる点にある。しかし、異なるベンダーの製品を組み合わせる際には、互換性の問題や、連携部分の複雑化による障害発生リスクといった課題も存在する。これらの技術的な課題を解決し、顧客のビジネスに貢献する価値あるシステムを創り上げることが、インテグレーションに携わるシステムエンジニアの重要な役割である。

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