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【ITニュース解説】「ゼロトラスト実装」どこから着手すべき? 失敗しない“3つのステップ”とは

2025年09月17日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「「ゼロトラスト実装」どこから着手すべき? 失敗しない“3つのステップ”とは」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

ゼロトラスト実装は段階的なアプローチが鍵だ。エンドポイント対策、ネットワーク構築、ID管理という3つの観点から、初心者でも失敗せずにゼロトラストを実現するための具体的な着手順序を示す。

ITニュース解説

ゼロトラストの基本的な考え方は、従来のセキュリティモデルからの大きな転換を意味する。これまでのセキュリティ対策は、会社のネットワーク内部は安全、外部は危険という前提に立っていた。しかし、現代のIT環境はクラウドサービスの利用拡大やリモートワークの普及により、社員が働く場所やアクセスする情報源が多様化し、この境界線があいまいになった。さらに、高度化するサイバー攻撃や内部不正のリスクも高まり、従来の考え方ではもはや企業の重要な情報資産を守りきれない状況になっている。そこで登場したのが「ゼロトラスト」という概念だ。

ゼロトラストは「決して信頼せず、常に検証する」という原則に基づいている。これは、ネットワークの内外にかかわらず、すべてのユーザーやデバイス、アプリケーションからのアクセス要求を疑い、その都度、厳格に認証・認可を行うという考え方だ。例えば、社内の人間が社内ネットワークから社内システムにアクセスする場合でも、そのアクセスが本当に正当なものなのかを毎回確認する。これにより、たとえ内部に侵入されたとしても、被害の拡大を最小限に抑えることができる。この新しいセキュリティモデルを導入することは、現代の複雑なIT環境において不可欠な取り組みとなっている。

しかし、ゼロトラストは単一の製品を導入すれば実現できるものではなく、複数の要素を組み合わせた継続的なプロセスである。そのため、どこから着手すべきか、どのように進めるべきかという疑問が当然生じる。ゼロトラストの実現に向けた段階的かつ現実的な3つのステップは以下の通りだ。

最初のステップは「エンドポイント対策の強化」である。エンドポイントとは、従業員が仕事で使うパソコンやスマートフォン、タブレット、あるいはサーバーなど、ネットワークに接続されるあらゆる機器のことを指す。これらのエンドポイントは、企業の情報資産への入り口となるため、非常に重要なセキュリティ対策の対象となる。たとえ強固なネットワークセキュリティを構築しても、従業員のパソコンがマルウェアに感染していれば、そこから情報が漏洩したり、社内ネットワークに不正アクセスされたりする可能性がある。

このステップでは、すべてのアンドポイントについて、そのセキュリティ状態を常に健全に保つための仕組みを導入する。具体的には、最新のセキュリティアップデートが適用されているか、不正なソフトウェアが動作していないか、不審なネットワーク通信を行っていないかなどを継続的に監視し、異常を検知した際には迅速に対処できる体制を整える。EDR(Endpoint Detection and Response)のようなツールは、エンドポイント上で発生する不審な挙動を検知し、分析して対応する機能を提供する。エンドポイントのセキュリティを強化することは、情報漏洩やサイバー攻撃の初期段階での防御において最も効果的な手段の一つである。

次のステップは「ネットワークのマイクロセグメンテーション」だ。従来の企業ネットワークは、一度内部に入ってしまえば自由に動き回れるような「フラット」な構造になっていることが多かった。しかし、この構造では、もし一つのエンドポイントが感染すると、その脅威がネットワーク全体に広がりやすいというリスクがあった。

マイクロセグメンテーションは、ネットワークを非常に小さな区画に細かく分割し、それぞれの区画間で厳密なアクセス制御を適用するアプローチだ。例えば、営業部門のサーバーと開発部門のサーバーが、同じ社内ネットワーク内であっても、それぞれ異なるセキュリティポリシーを適用し、必要な通信以外は遮断するといった具合である。これにより、たとえある区画がサイバー攻撃を受けても、その影響が他の区画に波及するのを防ぎ、被害を局所化できる。これは「最小特権の原則」をネットワークレベルで実現するものと言える。各区画の通信を監視し、不審な動きがないか常にチェックすることで、より堅牢なセキュリティ体制を築くことができる。

最後のステップは「ID管理とアクセス制御の徹底」である。ゼロトラスト環境では、誰が、いつ、どこから、どのリソースに、どのようにアクセスできるのかを正確に把握し、制御することが極めて重要となる。これは、ネットワークの内外を問わず、すべてのアクセス要求のたびに、ユーザーの身元とアクセス権限を厳しく確認するというゼロトラストの原則の中核をなす部分だ。

具体的には、多要素認証(MFA)の導入が挙げられる。これは、パスワードだけでなく、スマートフォンに送られるワンタイムコードや生体認証など、複数の異なる種類の認証情報を組み合わせてユーザーの身元を確認する方法だ。これにより、もしパスワードが盗まれても、不正ログインを防ぐことができる。また、シングルサインオン(SSO)も有効な手段である。SSOは一度認証すれば複数のシステムやサービスにログインできるようになる仕組みで、利便性を高めつつ、認証の一元管理を可能にする。

さらに、アクセス権限は常に「最小特権の原則」に基づいて設定・管理する必要がある。これは、ユーザーが業務を遂行するために必要最小限の権限のみを与え、それ以外のアクセスは一切許可しないという考え方だ。そして、一度設定した権限も、組織変更や人事異動などに応じて定期的に見直し、不要になった権限は速やかに削除することが求められる。アクセスログを詳細に記録し、不審なアクセスパターンがないか分析することも、このステップの重要な要素となる。

これらの3つのステップは独立しているわけではなく、相互に関連し合いながらゼロトラストのセキュリティを構築していく。ゼロトラストの導入は一朝一夕で完了するものではなく、企業の現状を把握し、優先順位をつけながら、段階的に推進していく現実的なアプローチが成功の鍵となる。まずは、最もリスクの高い部分や、導入しやすい部分から着手し、徐々に適用範囲を広げていくことが重要だ。継続的な改善と見直しを通じて、企業は現代の脅威に対応できる、より強固なセキュリティ環境を構築できるだろう。

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