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HID(エイチアイディー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

HID(エイチアイディー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ヒューマンインターフェースデバイス (ヒューマンインターフェースデバイス)

英語表記

Human Interface Device (ヒューマンインターフェースデバイス)

用語解説

HID (Human Interface Device) は、コンピュータと人間が直接やり取りするための入力・出力デバイスを指す規格であり、主にUSBやBluetoothといったインターフェース上で動作する。この規格の主な目的は、キーボード、マウス、ゲームコントローラー、タッチスクリーンといった多種多様なヒューマンインターフェースデバイスを、コンピュータが特別なデバイスドライバなしに汎用的に認識し、利用できるようにすることである。つまり、デバイスを接続するだけで即座に使用できる「プラグ&プレイ」を実現するための基盤を提供する。ユーザーが新しい周辺機器を購入した際に、面倒なドライバのインストール作業をほとんど行うことなく、すぐに使い始められるのは、このHID規格のおかげである。これにより、デバイスメーカーは各OS向けに個別のドライバを開発する手間を省け、ユーザーはデバイス選択の自由度が増し、ITシステム全体の利便性と互換性が飛躍的に向上した。

HID規格は、元々USBデバイスの多様な入力装置を効率的に扱うために、USBインプリメンターズ・フォーラム (USB-IF) によって策定された。しかし、その高い汎用性と利便性から、Bluetoothを始めとする他の通信インターフェースでも広く採用されている。

この規格の核心にあるのは、「レポートディスクリプタ」と呼ばれる情報である。HIDデバイスは、自身がどのような機能を持つデバイスであるか、例えばキーボードであればどのキーが押されたか、マウスであればX/Y軸の動きやボタンの状態などを、このレポートディスクリプタによってホストコンピュータ(PCやスマートフォンなど)に通知する。レポートディスクリプタには、デバイスの入力項目や出力項目、それらのデータの形式やサイズなどが詳細に記述されている。

ホストコンピュータは、デバイスが接続された際にこのレポートディスクリプタを読み取り、その情報を解析する。これにより、OSに標準で組み込まれている汎用HIDドライバが、デバイスの具体的な種類や機能を知り、個別の専用ドライバがなくてもデバイスと適切に通信し、その機能を制御できるようになる。たとえば、キーボードであれば、押されたキーの情報をレポートという形式でホストに送信し、ホストはそのレポートを解釈して、画面上に文字を表示するといった処理を行う。

HIDプロトコルにおけるデータ通信は、「レポート」という単位で行われる。主なレポートの種類には、デバイスの状態変化をホストに伝える「入力レポート」、ホストがデバイスに設定やコマンドを送る「出力レポート」、デバイスの特定の機能状態をホストに問い合わせたり設定したりする「フィーチャレポート」がある。これらのレポートを介して、デバイスとホストは協調して動作する。

HID規格の最大のメリットは、その「プラグ&プレイ」性にある。ユーザーはデバイスを接続するだけでOSが自動的に認識し、特別な設定なしに利用を開始できる。これは、多様なメーカーの様々な種類のデバイスを、OSに標準で搭載されている一つの汎用ドライバで対応できるためである。デバイスメーカーにとっても大きな利点があり、各OSプラットフォーム(Windows, macOS, Linux, Androidなど)向けに膨大な数の専用ドライバを開発・保守する手間が省け、製品開発のコストと期間を大幅に削減できる。結果として、より多くの革新的なヒューマンインターフェースデバイスが市場に投入されることに繋がった。

HIDが適用される範囲は非常に広い。一般的なPCの周辺機器であるキーボード、マウス、ゲームコントローラー、ジョイスティックはもちろんのこと、バーコードリーダー、磁気カードリーダー、タッチスクリーン、ペンタブレット、さらには医療機器の入力インターフェース、産業用制御機器の操作パネル、POSシステム、スマート家電の一部といった組み込みシステムにおいても利用されている。近年のゲーミングデバイスやVR/ARコントローラー、ドローンやロボットの操作インターフェースなど、多岐にわたる分野で人間の直感的な操作を実現するためにHID規格が活用されている。

しかし、HID規格はすべてのデバイスに対応できるわけではない。例えば、グラフィックカードや高性能プリンター、スキャナーといった、非常に複雑な機能や高いデータ転送速度を必要とするデバイス、あるいはOSの深いレベルで特殊な制御を行う必要があるデバイスは、HIDの枠組みではカバーしきれない。これらの場合は、依然としてデバイス固有の専用ドライバが必要となる。だが、人間の入力や簡単な出力、状態表示を行うデバイスのほとんどはHID規格によって効率的に管理されており、現代のデジタル環境におけるユーザビリティとシステムの柔軟性を支える不可欠な技術基盤となっている。

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