情報通信技術 (ジョウホウツウシンギジュツ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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情報通信技術 (ジョウホウツウシンギジュツ) の読み方

日本語表記

情報通信技術 (ジョウホウツウシンギジュツ)

英語表記

Information and Communication Technology (インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)

情報通信技術 (ジョウホウツウシンギジュツ) の意味や用語解説

情報通信技術とは、コンピュータを中心とする情報技術(IT)と、ネットワークなどの通信技術を統合した総称である。英語ではInformation and Communication Technologyと表記され、その頭文字を取ってICT(アイシーティー)と呼ばれることが多い。従来の情報技術(IT)が情報の処理や蓄積に主眼を置いていたのに対し、ICTは通信技術を活用して情報を伝達し、共有することに重点を置く概念である。つまり、コンピュータで作成・処理した情報を、インターネットなどを通じていかに効率的かつ効果的に他者や他のシステムに届けるか、という視点が強く意識されている。この二つの用語は厳密に区別されることもあるが、現代においてはコンピュータと通信は不可分な関係にあるため、同義的に使われる場面も少なくない。システムエンジニアを目指す上で、このICTの全体像を把握することは、システム開発の根幹を理解するための第一歩となる。 ICTを構成する技術は多岐にわたるが、大きくは情報処理を担う要素と、通信を担う要素、そしてそれらを支える周辺技術に分類できる。まず、情報処理の核となるのがコンピュータのハードウェアとソフトウェアである。ハードウェアは、CPUやメモリ、ストレージといった物理的な機器を指し、計算や記憶の基盤を提供する。ソフトウェアは、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムのことであり、ハードウェアを制御して具体的な処理を実行する。データベース技術もこの領域に含まれ、大量のデータを効率的に管理・操作するために不可欠な要素である。次に、通信を担う技術として、インターネットが挙げられる。インターネットは、世界中のコンピュータを相互に接続する巨大なネットワークであり、TCP/IPという標準化された通信規約(プロトコル)によって成り立っている。このインターネットに接続するための具体的な技術には、光ファイバーを用いる固定回線や、5Gに代表されるモバイル通信、Wi-Fiなどの無線通信技術がある。これらの通信インフラが、情報の高速かつ安定的な伝達を可能にしている。 情報処理技術と通信技術を結びつけるのがネットワーク技術である。ルーターやスイッチといったネットワーク機器は、データが目的地まで正しく届けられるよう、交通整理の役割を果たす。また、情報がネットワーク上を安全に行き来するためには、セキュリティ技術が極めて重要となる。外部からの不正なアクセスを防ぐファイアウォール、通信内容を第三者に読み取られないようにする暗号化技術、利用者の正当性を確認する認証技術などが、ICTシステム全体の信頼性を担保している。 現代のICTは、これらの基盤技術の上に成り立った、より高度な応用技術によってその価値を飛躍的に高めている。その代表例がクラウドコンピューティングである。これは、従来は手元のコンピュータで処理していたデータやソフトウェアを、インターネット経由で提供される外部のサーバー上で利用する形態を指す。利用者は自身で大規模な設備を保有することなく、必要な時に必要な分だけ計算能力やストレージを利用できる。また、あらゆるモノがインターネットに接続されるIoT(Internet of Things)も重要な応用分野である。家電製品や工場の機械、自動車などに搭載されたセンサーが収集したデータをインターネット経由で集約・分析することで、遠隔操作や状態監視、自動制御といった新たなサービスが生まれる。さらに、こうしたIoTデバイスなどから得られる膨大なデータ、すなわちビッグデータを解析し、新たな知見や価値を創出するためにAI(人工知能)技術が活用されている。AIは、データの中に潜むパターンや法則を学習し、将来の予測や最適な判断を行う。これらの先端技術は、いずれも強力な情報処理能力と高速な通信ネットワークというICTの基盤があって初めて実現可能となる。 システムエンジニアは、顧客が抱える課題や要望をヒアリングし、これら多岐にわたるICTの要素技術を最適に組み合わせて、課題解決のためのシステムを設計・構築・運用する専門職である。そのため、特定のプログラミング言語やデータベースの知識だけでなく、ネットワーク、セキュリティ、クラウドといった幅広いICTの技術要素に対する深い理解が求められる。技術は日々進化し続けており、新しいサービスや概念が次々と登場するため、常に最新の動向を追いかけ、学び続ける姿勢が不可欠である。情報通信技術は、現代社会のあらゆる活動を支える神経網であり、その構築と維持を担うシステムエンジニアの役割はますます重要性を増している。

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