J2SE(ジェイツーエスイー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
J2SE(ジェイツーエスイー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ジェイツーエスイー (ジェイツーイー)
英語表記
J2SE (ジェイツーエスイー)
用語解説
J2SEは、Java 2 Platform, Standard Editionの略称であり、Javaプログラミング言語を用いてアプリケーションを開発し、実行するための基本的なプラットフォームを指す。現在では、このプラットフォームは一般的に「Java SE」という名称で知られているが、その歴史的経緯から、特に古い技術文書やライブラリの文脈においてJ2SEという用語が今なお使用されることがある。J2SEは、Javaの技術体系の中核を成すものであり、デスクトップ上で動作するアプリケーションや、より大規模なエンタープライズシステムの基盤となるサーバーサイドアプリケーションの開発に用いられる。システムエンジニアを目指す者にとって、Javaを学ぶ上での出発点となる最も重要なエディションである。
J2SEは、大きく分けて二つの主要なコンポーネントから構成されている。一つはJava Development Kit、通称JDKと呼ばれる開発キットであり、もう一つはJava Runtime Environment、通称JREと呼ばれる実行環境である。JDKは、プログラマがJavaアプリケーションを開発するために必要なツール一式を含んでいる。その中核となるのが、人間が記述したJavaのソースコードをコンピュータが解釈できる形式に変換する「コンパイラ(javac)」である。このコンパイルによって生成されるのは、特定のオペレーティングシステム(OS)に依存しない中間コードである「バイトコード」である。JDKには他にも、プログラムの誤りを発見し修正するための「デバッガ(jdb)」や、関連する複数のファイルを一つのファイルにまとめる「アーカイバ(jar)」、ソースコード内のコメントから自動的に仕様書を生成する「ドキュメンテーションツール(javadoc)」などが含まれており、開発作業を総合的に支援する。
一方、JREは、JDKによって開発されたJavaアプリケーションを実際に動かすために必要な環境を提供する。開発者だけでなく、一般の利用者がJavaアプリケーションを実行する際にも、このJREがコンピュータにインストールされている必要がある。JREの最も重要な構成要素は、Java Virtual Machine、すなわちJVM(Java仮想マシン)と、Java API(Application Programming Interface)である。JVMは、Javaの最大の特徴である「Write Once, Run Anywhere」(一度書けば、どこでも動く)という思想を実現するための核となる技術である。前述のコンパイラが生成したプラットフォーム非依存のバイトコードは、このJVMによって解釈され、各OSが理解できるマシン語に変換されて実行される。つまり、Windows、macOS、Linuxといった異なるOS上でも、それぞれに対応したJVMが存在すれば、同じJavaアプリケーションを修正することなく動作させることができる。JVMがOS間の差異を吸収する緩衝材の役割を果たすことで、開発者は特定の環境に縛られることなく開発に専念できる。
もう一つの主要な構成要素であるJava APIは、開発者が頻繁に利用するであろう基本的な機能をあらかじめ部品化した、膨大なクラスライブラリの集合体である。例えば、文字列の操作、ファイルの読み書き、ネットワークを介したデータ通信、日付や時刻の処理、さらにはグラフィカルなユーザインターフェース(GUI)を作成するための機能などが標準で提供されている。開発者はこれらのAPIを利用することで、車輪の再発明をすることなく、複雑な機能を簡単かつ迅速に実装することが可能となり、アプリケーションの品質と開発効率を大幅に向上させることができる。
J2SEという名称が使われていた背景には、Javaのバージョンアップの歴史が関係している。Javaのバージョンが1.1から1.2に移行する際に、プラットフォームの機能が大幅に拡充されたことを強調するため、マーケティング上の名称として「Java 2」というブランド名が導入された。それに伴い、Standard Editionは「J2SE」、大規模システム向けのEnterprise Editionは「J2EE」、組み込み機器向けのMicro Editionは「J2ME」と呼ばれるようになった。この呼称はバージョン1.4まで続いたが、バージョン1.5からは内部バージョン番号と製品名を統一する方針となり、「Java 5」としてリリースされた。このタイミングでプラットフォームの名称も「Java SE 5」と改められ、以降は「Java SE」という呼称が標準となった。したがって、J2SEとJava SEは、バージョンによる呼称の違いこそあれ、デスクトップおよびサーバーアプリケーション開発の基盤となる標準プラットフォームという本質的な役割は同じである。Javaを学習する際は、このJava SEをまず習得し、その知識を土台として、必要に応じてWebアプリケーションや大規模システム開発に特化したJava EEの技術へとステップアップしていくのが一般的である。J2SE、すなわち現在のJava SEは、Javaという広大な技術世界の根幹を支える、すべての開発者にとって必須の知識体系と言える。