キーバリューストア (キーバリューストア) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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キーバリューストア (キーバリューストア) の読み方

日本語表記

キーバリューストア (キーバリューストア)

英語表記

Key-value store (キーバリューストア)

キーバリューストア (キーバリューストア) の意味や用語解説

キーバリューストアは、データを「キー」と「バリュー」のペアで格納・管理するデータベースの一種だ。伝統的なリレーショナルデータベースとは異なり、テーブル構造やSQLのような複雑なクエリ言語を持たない。そのシンプルさから、高速な読み書き性能が求められる場面で広く利用されている。 キーバリューストアの基本的な概念は非常にシンプルだ。すべてのデータは、一意なキーに対応するバリューとして格納される。キーはデータの識別子として機能し、バリューはキーに関連付けられた実際のデータとなる。バリューの形式は様々で、文字列、数値、JSONドキュメント、バイナリデータなど、アプリケーションの要件に合わせて自由に選択できる。 キーバリューストアの主な操作は、データの「登録(PUT/SET)」、「取得(GET)」、「更新(UPDATE)」、「削除(DELETE)」の4つだ。キーを指定してバリューを登録し、同じキーを指定してバリューを取得する。キーが存在すればバリューを更新でき、キーを指定してデータそのものを削除することも可能だ。これらの操作は非常に高速に実行できるため、大量のデータを扱うWebアプリケーションやキャッシュシステムに適している。 キーバリューストアは、リレーショナルデータベースと比較して、スキーマの定義が不要であるという特徴を持つ。リレーショナルデータベースでは、事前にテーブルの構造(カラム名、データ型など)を定義する必要があるが、キーバリューストアでは、キーとバリューのペアを自由に追加できる。これにより、データの構造が頻繁に変化する場合や、様々な種類のデータを柔軟に扱いたい場合に有効だ。ただし、スキーマレスであるため、データの整合性を保つためには、アプリケーション側で適切なデータ管理を行う必要がある。 キーバリューストアは、データの永続化方法によって、大きくインメモリ型とディスクベース型に分類できる。インメモリ型キーバリューストアは、データを主記憶装置(RAM)に格納するため、非常に高速な読み書き性能を実現できる。しかし、電源を切るとデータが失われるため、主にキャッシュやセッション管理などの一時的なデータの保存に利用される。代表的なインメモリ型キーバリューストアとしては、RedisやMemcachedが挙げられる。 一方、ディスクベース型キーバリューストアは、データをハードディスクやSSDなどのストレージに格納するため、データの永続性を保証できる。インメモリ型と比較して読み書き性能は劣るものの、大規模なデータを安全に保存できるという利点がある。ディスクベース型キーバリューストアとしては、LevelDBやRocksDBなどが挙げられる。 キーバリューストアは、分散システムとして構成することも可能だ。データを複数のサーバに分散して格納することで、単一のサーバに負荷が集中することを防ぎ、システムの可用性とスケーラビリティを向上させることができる。分散キーバリューストアでは、データの整合性を保つために、コンシステントハッシュなどの技術が用いられる。代表的な分散キーバリューストアとしては、Amazon DynamoDBやCassandraなどが挙げられる。 キーバリューストアは、Webアプリケーションのセッション管理、キャッシュシステム、設定情報の保存、IoTデバイスからのデータ収集など、様々な用途で利用されている。そのシンプルさと高速性から、マイクロサービスアーキテクチャにおけるデータストアとしても注目されている。しかし、複雑なクエリ処理やトランザクション処理には向かないため、アプリケーションの要件に応じて適切なデータベースを選択することが重要だ。 キーバリューストアを効果的に利用するためには、キーの設計が重要となる。キーはデータの識別子として機能するため、一意であり、かつ検索しやすいように設計する必要がある。例えば、ユーザIDをキーとしてユーザ情報を格納する場合、ユーザIDは一意である必要があり、また、特定のユーザの情報を取得するために、ユーザIDを効率的に検索できる必要がある。キーの設計を誤ると、データの検索性能が低下したり、データの整合性が損なわれたりする可能性があるため、注意が必要だ。 また、キーバリューストアは、必ずしもすべてのデータベースの代替となるわけではない。リレーショナルデータベースが得意とする複雑なデータ構造やリレーションシップを扱う場合には、キーバリューストアよりもリレーショナルデータベースの方が適している場合もある。アプリケーションの要件を十分に理解し、キーバリューストアの特性を考慮した上で、適切なデータベースを選択することが重要だ。

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