LFF(エルエフエフ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LFF(エルエフエフ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

ロングフォームファクタ (ロングフォームファクタ)

英語表記

Large Form Factor (ラージフォームファクター)

用語解説

LFFとは、Large Form Factorの略称であり、コンピュータに搭載されるハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)といったストレージデバイスの物理的なサイズ、すなわち形状規格の一つを指す言葉である。具体的には、幅が3.5インチ(約101.6mm)のドライブを指すのが一般的で、主にサーバーやストレージシステム、デスクトップコンピュータなどで利用される。システムエンジニアがインフラ設計を行う際、サーバーやストレージ装置の仕様を決定する上で、このLFFという規格を理解することは極めて重要となる。対義語として、より小型の2.5インチドライブを指すSFF(Small Form Factor)が存在し、両者は用途や特性に応じて使い分けられる。LFFは、その物理的な大きさからくる特性を活かし、特に大容量データの保存とコスト効率が重視される領域で中心的な役割を担っている。

LFF、すなわち3.5インチというサイズは、古くからデスクトップコンピュータ用のHDDとして広く普及してきた歴史を持つ。その実績と信頼性、そして製造技術の成熟から、企業向けのサーバーやストレージシステムにおいても標準的な規格として採用され続けてきた。LFFの最大の特徴は、その物理的な大きさに起因する大容量化への優位性にある。ドライブの筐体が大きい分、内部に搭載するデータを記録するための円盤、すなわちプラッタを大きく、あるいは複数枚搭載することが可能となる。これにより、SFFのドライブと比較して、一つのドライブで実現できる最大記憶容量が大きくなる傾向がある。例えば、HDD市場においては、十数テラバイトを超える大容量モデルの多くがLFFとして提供されている。この特性は、ギガバイトやテラバイトあたりの単価、いわゆる容量単価を低く抑えることにも繋がり、大規模なデータを経済的に保存したいというニーズに合致する。したがって、バックアップデータの長期保管、監視カメラ映像のアーカイブ、大容量のファイルサーバー、ビッグデータ分析基盤におけるデータレイクといった、膨大なデータを低コストで保持する必要があるシステムにおいて、LFFのHDDは第一の選択肢となることが多い。

一方で、LFFにはその大きさゆえのデメリットも存在する。まず、物理的にサイズが大きいため、サーバーの筐体やストレージ装置の限られたスペースに搭載できるドライブの数がSFFに比べて少なくなる。例えば、同じ高さのサーバーであれば、SFFドライブは24台搭載できるのに対し、LFFドライブは12台しか搭載できないといったケースが一般的である。これは、システムの集積度や拡張性に直接影響するため、データセンターのラックスペースを効率的に利用したい場合には不利な点となる。また、一般的にLFFのドライブはSFFのドライブよりも消費電力が大きく、発熱量も多くなる傾向がある。これは、大きなプラッタを回転させるためにより強力なモーターが必要になることなどが要因である。多数のLFFドライブを搭載したシステムでは、冷却や電力供給の設計にも十分な配慮が求められ、運用コストの増大に繋がる可能性も考慮しなければならない。さらに、性能面、特にHDDにおけるランダムアクセス性能においてもSFFに劣る場合がある。ランダムアクセス性能はIOPS(Input/Output Operations Per Second)という指標で表され、1秒間に何回の読み書き処理ができるかを示す。LFFのHDDはプラッタが大きいため、データの読み書きを行う磁気ヘッドが目的の場所まで移動するのに時間がかかり、SFFの高速回転モデル(10,000回転/分や15,000回転/分)と比較してIOPSが低くなる傾向がある。このため、データベースのトランザクション処理のように、頻繁なランダムアクセスが求められる高性能なアプリケーションには不向きとされることが多い。

システムエンジニアは、これらの利点と欠点を総合的に評価し、構築するシステムの要件に応じてLFFとSFFを適切に選択する必要がある。大容量とコストパフォーマンスを最優先するならLFF、設置密度やランダムアクセス性能を重視するならSFF、という基本的な使い分けが設計の出発点となる。近年では、LFFのドライブベイに専用のアダプタやマウンタを使用することでSFFのドライブを搭載できるサーバーも多く、柔軟な構成が可能になっている。ただし、その逆、つまりSFFのベイにLFFのドライブを搭載することは物理的に不可能であるため、将来的な容量拡張の可能性も踏まえて、初期のシャーシ選定は慎重に行う必要がある。SSDの普及により、M.2やU.2といった新しいフォームファクタも登場しているが、サーバー向けストレージの世界では、依然としてLFFとSFFが物理ドライブの主要な規格であり、それぞれの特性を理解しておくことは、最適なシステムを構築するための基礎知識と言える。

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