LCコネクタ(エルシーコネクタ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LCコネクタ(エルシーコネクタ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

LCコネクタ (エルシーコネクタ)

英語表記

LC connector (エルシー コネクタ)

用語解説

LCコネクタは、光ファイバーケーブルをネットワーク機器に接続するために使用される、主要な光コネクタの一種である。Lucent Technologies社(現Nokia Bell Labs)によって開発されたことから、Lucent Connectorの頭文字を取ってLCコネクタと名付けられた。その最大の特徴は、従来のコネクタと比較して非常に小型である点にあり、これにより機器のポートを高密度に実装することが可能となった。現代のデータセンターや企業内ネットワークで広く採用されており、特にSFP(Small Form-factor Pluggable)トランシーバーをはじめとする小型光モジュールとの接続に標準的に用いられている。プッシュプル型のラッチ機構を備えているため、着脱が容易でありながら確実な接続を保証する。これらの特徴から、高速・大容量通信が求められる今日のITインフラにおいて、LCコネクタは不可欠なコンポーネントとなっている。

LCコネクタの構造と特性について詳細に解説する。まず物理的な特徴として、小型化を実現している中心部品であるフェルールが挙げられる。フェルールは光ファイバーの先端を精密に保持するためのセラミック製の円筒部品であり、LCコネクタではその直径が1.25mmとなっている。これは、かつて主流であったSCコネクタのフェルール径2.5mmの半分であり、この小型化によってコネクタ全体のサイズも大幅に縮小された。結果として、同じスペースにより多くのポートを配置できる高密度実装が可能となり、データセンターにおけるラックスペースの有効活用やネットワーク機器の小型化に大きく貢献している。また、LCコネクタはラッチと呼ばれる爪を備えたプッシュプル機構を採用している。ケーブルを抜き差しする際に、コネクタ本体をつまんで操作するだけでラッチが解除・固定されるため、高密度に実装されたポートでも指が届きやすく、作業性に優れている。LCコネクタには、1本の光ファイバーを接続するシンプレックス(単心)タイプと、送信用と受信用の2本の光ファイバーを一体化させたデュプレックス(2心)タイプが存在する。デュプレックスタイプは、クリップで2つのシンプレックスコネクタを連結した構造になっており、送受信のペアを間違えることなく一度に接続できるため、多くのネットワーク機器で利用されている。

次に、光学的特性について説明する。光通信においてコネクタの性能を評価する指標として、接続損失(Insertion Loss)と反射減衰量(Return Loss)がある。接続損失は、コネクタで光ファイバーを接続した際に生じる光信号のパワーの低下量を示す値であり、小さいほど性能が高いことを意味する。反射減衰量は、接続点で反射して送信元に戻る光のパワーを示す値で、大きいほど反射が少なく性能が高いことを意味する。LCコネクタは精密な設計により、これらの値が非常に良好で、安定した高品質な通信を実現する。この光学的特性は、フェルールの先端の研磨方式によっても左右される。LCコネクタには主にUPC(Ultra Physical Contact)研磨とAPC(Angled Physical Contact)研磨の2種類が存在する。UPC研磨は、フェルール端面を垂直に、かつ球面状に磨き上げることで、ファイバー同士の物理的な接触を確実にして反射を抑える方式である。コネクタのハウジング(外殻)の色は一般的に青色で、データセンターやLANなどの一般的なデータ通信で広く用いられる。一方、APC研磨は、フェルール端面を8度といったわずかな角度をつけて斜めに研磨する方式である。これにより、接続点で発生した反射光がファイバーのコアに戻らず、外側のクラッド層に抜けていくため、反射の影響を極限まで低減できる。反射に非常に敏感なアナログ映像伝送や、FTTH(Fiber to the Home)などの長距離通信システムで利用されることが多く、ハウジングの色は緑色で区別される。UPCとAPCは物理的に互換性がなく、異なる研磨方式のコネクタを接続すると、通信品質が著しく低下したり、機器を損傷させたりする可能性があるため、取り扱いには注意が必要である。

LCコネクタは、使用される光ファイバーの種類によっても分類される。長距離・高速通信に適したシングルモードファイバー(SMF)用と、比較的短距離の通信に用いられるマルチモードファイバー(MMF)用がある。これらはコネクタやケーブルの色で識別されることが多い。LCコネクタが広く普及した背景には、SCコネクタとの比較が挙げられる。SCコネクタはプッシュプル方式で着脱が容易なため広く使われていたが、LCコネクタの登場により、そのサイズの大きさが高密度化の妨げとなった。LCコネクタはSCコネクタと同等の光学性能を維持しつつ、サイズを半分に小型化したことで、ネットワークインフラの集約化という時代の要求に応える形で標準的な地位を確立した。現代では、さらに高密度な接続が求められる場面で、12心や24心といった複数のファイバーを一度に接続できるMPO/MTPコネクタも使用されているが、MPO/MTPコネクタから各機器へ接続を分配するためのブレークアウトケーブルの先端には、依然としてLCコネクタが用いられることが多い。最後に、LCコネクタを取り扱う上での注意点を述べる。光コネクタの先端は非常にデリケートであり、わずかな塵や油分が付着するだけで通信障害の原因となる。そのため、接続前には専用のクリーナーでフェルール端面を清掃することが極めて重要である。また、未使用時には必ず保護キャップを取り付け、端面を保護する必要がある。

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