let文(レットブン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

let文(レットブン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

レツト文 (レットぶん)

英語表記

let statement (レット ステートメント)

用語解説

let文は、プログラミング言語において変数を宣言するために使用されるキーワードである。主にJavaScript、Swift、Kotlin、Rustといった、比較的新しい言語やバージョンで採用されている。その基本的な役割は、特定の有効範囲、すなわちスコープ内でのみ存在する変数を定義することにある。let文は、かつて主流であった変数宣言の方法が抱えていたいくつかの問題を解決し、より安全で予測可能なコードを書くために導入された。システムエンジニアを目指す上で、このlet文の特性を正確に理解することは、現代的なソフトウェア開発における必須の知識と言える。

let文の最も重要な特徴は、ブロックスコープを持つことである。スコープとは、宣言された変数が参照できる有効範囲のことを指す。ブロックスコープは、波括弧 {} で囲まれたブロックの内側のみを有効範囲とする。例えば、if文、forループ、あるいは単に波括弧で区切られたコードブロックの中でletを用いて変数を宣言した場合、その変数はそのブロックの内部でのみ生存し、ブロックの外側からアクセスしようとするとエラーが発生する。これは、古いJavaScriptで使われていたvarキーワードが関数スコープを持っていたことと対照的である。関数スコープでは、変数は関数全体のどこからでもアクセスできてしまうため、ループ処理などで意図せず同じ名前の変数の値を上書きしてしまったり、ループ終了後も変数がメモリに残り続けてしまったりする問題があった。let文のブロックスコープは、変数の影響範囲を最小限に限定することで、こうした意図しない副作用や名前の衝突を防ぎ、コードの可読性と保守性を大幅に向上させる。

次に、let文の挙動は言語によって意味合いが異なる場合がある点に注意が必要である。特に、再代入の可否が大きな違いとなる。JavaScriptやTypeScriptにおいて、letは再代入が可能な変数を宣言するために使われる。つまり、一度値を代入した後でも、プログラムの実行中に別の値を代入し直すことができる。一方で、Swift、Kotlin、Rustといった言語では、letは再代入が不可能な定数、すなわち一度値を設定したら二度と変更できない値を宣言するために使用される。これらの言語で再代入可能な変数を宣言する場合は、varなどの別のキーワードを用いるのが一般的である。このように、letが不変の値を扱うことを基本とする言語設計は、プログラムの状態が意図せず変更されることを防ぎ、バグの発生を抑制し、処理の流れを追いやすくするという思想に基づいている。したがって、let文を使用する際は、自身が扱っているプログラミング言語の仕様を正しく把握することが不可欠である。

さらに、let文は変数の「巻き上げ(Hoisting)」の挙動においても、従来の宣言方法とは異なる特徴を持つ。巻き上げとは、宣言された変数がそのスコープの先頭に引き上げられるように扱われる言語の仕組みである。varで宣言された変数は、宣言前にアクセスしてもエラーにならず、undefinedという未定義値が返る。これは、宣言部分だけが巻き上げられ、値の代入は元の位置で行われるためである。この挙動は、時にプログラムの実行順序を混乱させ、予期せぬバグの原因となった。対して、letで宣言された変数は、巻き上げは行われるものの、宣言の行に到達するまで初期化されない。この、スコープの先頭から宣言位置までの間は「一時的デッドゾーン(Temporal Dead Zone, TDZ)」と呼ばれ、この期間中に該当の変数にアクセスしようとすると、undefinedが返るのではなく、明確な参照エラー(ReferenceError)が発生する。この仕組みにより、プログラマは変数が宣言される前に使用してしまうという間違いを犯すことを未然に防ぐことができる。

以上の特性から、let文は現代のプログラミングにおいて、より堅牢で安全なコードを記述するための基本的な構文として位置づけられている。スコープを局所化することでプログラムの見通しを良くし、一時的デッドゾーンによって宣言前の不正なアクセスを禁止し、言語によっては不変性を強制することで、ヒューマンエラーに起因する多くの問題を構造的に解決する。システム開発の現場では、コードの品質と保守性が極めて重要視されるため、let文の持つこれらの利点を最大限に活用することが求められる。

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