multipart/mixed(マルチパートミックスド)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

multipart/mixed(マルチパートミックスド)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

マルチパート/ミックスド (マルチパート/ミックスド)

英語表記

multipart/mixed (マルチパートミックスド)

用語解説

multipart/mixedは、MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)という仕組みで定義されるコンテンツタイプの一つである。これは、電子メールやHTTPなどのプロトコルにおいて、複数の異なる種類のデータを一つのメッセージとして送信・受信するために使用される。具体的には、テキスト、画像、音声、PDFドキュメントといった、性質の異なる複数のデータをそれぞれ独立した部分(パート)としてまとめ、全体として一つのメッセージとして扱うことを可能にする。

このmultipart/mixedが利用される最も典型的な例は、電子メールにファイルを添付する場合である。メールの本文(通常はプレーンテキスト)と、それに添付された画像ファイルや文書ファイルは、それぞれが異なるデータ形式を持つ。これらの異なるデータを、メール全体として整合性のある形で送信するために、multipart/mixedが用いられる。各パートは個別のContent-Typeヘッダを持ち、そのパートがどのような種類のデータであるかを明示する。これにより、受信側のアプリケーションは各パートの内容を正確に識別し、適切に処理できるようになる。

電子メールが初期に設計された際、その主な目的はプレーンテキストのメッセージを交換することであった。しかし、インターネットの普及とともに、テキストだけでなく画像、音声、動画、各種ドキュメントといった多様な種類のデータをメールで送りたいというニーズが高まった。従来のSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は8ビット長のデータをそのまま送ることができず、またメッセージの構造も単純なテキストに限定されていたため、これらの要件を満たすことができなかった。この問題を解決するために登場したのがMIMEである。

MIMEは、電子メールのメッセージに非ASCII文字、非テキストデータ、複数パートのメッセージボディ、ヘッダ内の非ASCII情報を含めるための標準を定義する。MIMEはメッセージのヘッダにいくつかの追加フィールドを導入し、その中でも特に重要なのがContent-Typeヘッダである。このヘッダは、メッセージ全体の、またはメッセージを構成する個々のパートのデータタイプを示す。

multipart/mixedは、Content-Typeヘッダの値の一つであり、メッセージボディが複数の独立したパートから構成されていることを示す。この際、メッセージ全体を示すContent-Typeヘッダには、必ずboundaryパラメータが付加される。例えば、Content-Type: multipart/mixed; boundary="----=_Part_1234_5678.90123456789"のような形式で記述される。

boundaryパラメータの値は、メッセージボディ内の各パートを区切るための特殊な文字列である。この文字列は、メッセージボディ中のいかなるデータとも重複しないように、通常は乱数やタイムスタンプなどを用いて一意に生成される。

multipart/mixedメッセージの構造は以下のようになる。まず、メッセージ全体のヘッダにContent-Type: multipart/mixed; boundary="境界文字列"が指定される。次に、メッセージボディでは、--境界文字列という行が各パートの開始を示し、--境界文字列--という行がメッセージ全体の終了を示す。

各パートもまた独自のヘッダとボディを持つ。各パートのヘッダには、そのパートがどのような種類のデータであるかを示すContent-Typeヘッダが必須となる。例えば、プレーンテキストの本文であればContent-Type: text/plain; charset="utf-8"、JPEG画像であればContent-Type: image/jpeg、PDFファイルであればContent-Type: application/pdfなどが指定される。

さらに、Content-Transfer-Encodingヘッダが使用されることも多い。これは、そのパートのデータがどのようにエンコードされているかを示す。例えば、バイナリデータや非ASCII文字を含むデータは、メールシステムを通じて安全に送信するためにbase64quoted-printableといった方式でエンコードされることが一般的である。Content-Transfer-Encoding: base64と指定されていれば、受信側のメールクライアントはそのデータをbase64デコードしてから処理する。

また、Content-Dispositionヘッダも頻繁に用いられる。これは、そのパートをどのように表示・処理すべきかを受信側に指示するもので、主にinline(メッセージの本文中に表示されるべきデータ、例: メール本文中に埋め込まれる画像)かattachment(添付ファイルとして扱われ、保存や別のアプリケーションでの開示が推奨されるデータ)のいずれかが指定される。電子メールの添付ファイルの場合、通常はContent-Disposition: attachment; filename="example.pdf"のようにファイル名も指定される。

このように、multipart/mixedは異なる種類のデータを順序付けて一つのメッセージにまとめ、それぞれのデータを独立したエンティティとして扱うことができるため、非常に汎用性が高い。

MIMEにはmultipart/mixed以外にも、いくつかのサブタイプが存在する。例えば、multipart/alternativeは、同じ内容を複数の異なる形式(例: プレーンテキストとHTML)で提供し、受信側が最適なものを選んで表示できるようにする。multipart/relatedは、HTMLドキュメントとそのドキュメント内で参照される画像ファイルのように、相互に関連するリソースをまとめる。これらのサブタイプと比較して、multipart/mixedは、それぞれのパートが独立しており、必ずしも相互に関連している必要がなく、単に異なる種類のデータをまとめて送る場合に最も適している。そのため、電子メールの添付ファイルの送信など、非常に多くの場面で利用される基本的なmultipartタイプとして位置づけられる。

システムを開発する上で、multipart/mixedを扱う際には、boundary文字列の一意性の確保、各パートのContent-TypeおよびContent-Transfer-Encodingの適切な設定が重要である。これらの設定が不適切だと、受信側でメッセージの内容が正しく解釈されず、データが破損したり、添付ファイルが開けなかったりする問題が発生する可能性がある。また、HTTPプロトコルにおいても、ファイルアップロードなどで複数のデータを一度に送信する際にmultipart/form-dataというmultipartサブタイプが利用されるが、これもmultipart/mixedの概念を基盤としている。multipart/mixedは、インターネット上で多様なデータを効率的かつ確実に送受信するための基盤技術として、現代のITシステムにおいて不可欠な役割を担っている。

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