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NOR回路(ノーるかいろ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

NOR回路(ノーるかいろ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ノア回路 (ノアカイロ)

英語表記

NOR gate (ノーゲート)

用語解説

NOR回路は、デジタル電子回路における基本的な論理ゲートの一つである。論理ゲートとは、ブール代数に基づいた論理演算を行い、入力される電気信号(通常は電圧の高低で「真(1)」または「偽(0)」を表現する)の組み合わせに応じて特定の出力信号を生成する素子のことである。NOR回路は、その名称が示す通り「NOT OR」を意味し、日本語では「否定論理和」と訳される。これは、OR回路の出力に対してNOT回路(否定)の操作を加えたものと等価な機能を持つ論理ゲートである。

NOR回路の基本的な挙動は非常に単純だが、デジタル回路のあらゆる場所でその特性が利用されている。具体的には、NOR回路の全ての入力が論理的な「偽(0)」である場合にのみ、出力が論理的な「真(1)」となる。反対に、入力の少なくとも一つが「真(1)」である場合は、出力は必ず「偽(0)」となる。この特性は、コンピュータやデジタルデバイスが情報を処理し、記憶するための基盤となる二値論理(0と1)を扱う上で極めて重要である。現代のコンピュータ内部では、トランジスタなどの半導体素子を用いて、このような論理ゲートが物理的に実現され、電圧の高低によって0と1の情報を操作している。

さらに詳しくNOR回路の動作を見ていくと、その機能は真理値表によって完全に定義される。2入力NOR回路を例にとると、入力Aと入力B、およびそれに対する出力Yの関係は以下のようになる。

入力A入力B出力Y
001
010
100
110

この真理値表が示すように、入力Aと入力Bがともに0(偽)の場合にのみ、出力Yが1(真)となる。それ以外の入力パターン、つまり入力のどちらか一方あるいは両方が1(真)である場合は、出力Yは常に0(偽)となる。この論理的な振る舞いは、デジタルシステムが複雑な計算やデータ処理を行うための基礎となる。回路図記号では、ORゲートのシンボル(半円状の入力側と尖った出力側)の出力側に小さな丸(反転を示す)が付いた形で表現される。

NOR回路の特に重要な特徴の一つとして、「普遍ゲート(Universal Gate)」である点が挙げられる。普遍ゲートとは、その論理ゲートを単独で複数組み合わせるだけで、AND、OR、NOTといった他の全ての基本的な論理ゲートを構成できる能力を持つゲートのことである。この性質により、集積回路の設計において、NORゲートのみを用いて回路全体を構成することが可能となり、設計の簡素化や製造プロセスの統一化に貢献する。

具体的に、NOR回路を用いて他の基本的なゲートを構成する方法は以下の通りである。

  • NOTゲートの構成: NOR回路の全ての入力を同じ信号源に接続することで、NOTゲートとして機能させることができる。例えば、2入力NOR回路の入力Aと入力Bを両方とも同じ信号Xに接続した場合、出力はNOT Xとなる。これは、Xが0のときにのみ(0 NOR 0 = 1)出力が1となり、Xが1のときには(1 NOR 1 = 0)出力が0となるためである。
  • ORゲートの構成: NOR回路の出力をNOTゲート(すなわち、別のNORゲート)に通すことで、ORゲートを構成できる。例えば、AとBのNOR結果をさらにNOTゲートで反転させると、A OR Bと等価な論理が得られる。
  • ANDゲートの構成: 二つの入力信号それぞれをNOTゲートに通し、その反転結果をNORゲートに入力することで、ANDゲートを構成できる。具体的には、(NOT A) NOR (NOT B)はA AND Bと等価になる。これはド・モルガンの法則に基づいた関係である。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、NOR回路そのものを直接設計する機会は、今日のソフトウェア中心のシステム開発においては稀かもしれない。しかし、コンピュータやデジタルシステムの根幹を理解するためには、NOR回路のような基本的な論理ゲートの知識が不可欠である。なぜなら、マイクロプロセッサの内部、記憶素子であるフリップフロップ、各種レジスタ、カウンタなど、デジタル回路のあらゆる構成要素は、突き詰めればNOR回路のような基本ゲートの組み合わせで実現されているからである。

ハードウェアの論理的な動作原理を理解していることは、組み込みシステムの開発、ハードウェアと密接に関わる低レベルプログラミング、あるいはシステムのトラブルシューティングにおいて、深い洞察と問題解決能力をもたらす。NOR回路の理解は、単にプログラミング言語の構文やフレームワークの利用法を覚えるだけでなく、その背後にあるハードウェアがどのように情報を処理し、システムがなぜそのように動作するのかという根源的な問いに答えるための重要な第一歩となる。これは、システム全体を俯瞰し、より堅牢で効率的なシステムを構築するために必要な、基盤となる知識なのである。

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