RAID 2(レイドツー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
RAID 2(レイドツー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
レイドツー (レイドツー)
英語表記
RAID 2 (レイドツー)
用語解説
RAID 2は、複数のハードディスクを連携させてデータの冗長性や性能向上を図るRAID(Redundant Array of Independent Disks または Redundant Array of Inexpensive Disks)技術の一つであり、ビット単位でのデータストライピングとハミングコードを用いたエラー訂正機能が特徴である。このRAIDレベルは、データを格納する複数のデータディスクと、エラー訂正コードであるハミングコードを格納する複数のパリティディスク(ハミングコードディスク)で構成される。RAID 2は、非常に高度なエラー訂正能力を持つものの、その複雑性と導入コストの高さから、一般的なストレージシステムとしては広く普及しなかった歴史的なRAIDレベルであり、現代ではほとんど利用されていない。
RAID 2の設計思想を理解するためには、当時の技術背景に目を向ける必要がある。RAID技術の初期の目標は、個々の安価なディスクを多数組み合わせることで、高価な大型ディスクに匹敵する、あるいはそれを超える性能と信頼性を実現することであった。RAID 2は、特にデータのエラー訂正能力と信頼性の向上に注力して考案された。データの書き込み時には、データをビット単位で複数のデータディスクに分割し、それぞれ異なるディスクに同時に書き込む「ビット単位のストライピング」を行う。例えば、あるデータの最初のビットは1台目のデータディスクに、2番目のビットは2台目のデータディスクに、といった具合である。これにより、複数のディスクへの並列アクセスが可能となり、高いデータ転送速度を実現することを目指した。
RAID 2の最も特徴的な点は、エラー検出・訂正コードとして「ハミングコード」を利用していることにある。ハミングコードは、情報理論において、単一ビットのエラーを自動的に訂正し、かつ二重ビットのエラーを検出できる能力を持つことで知られている。RAID 2システムでは、データディスクに書き込まれるビット列からハミングコードを計算し、その結果を専用のパリティディスク群に書き込む。データの読み出し時、ディスクに物理的なエラーが発生してビットが反転していたとしても、データディスクから読み出されたデータとパリティディスクから読み出されたハミングコードを比較することで、エラーが発生したディスクと具体的なビット位置を特定し、自動的に正しいデータに訂正できる仕組みである。これは、ディスクドライブ自体のエラー検出・訂正能力がまだ十分でなかった時代において、データの堅牢性を大幅に高める画期的なアプローチであった。
しかし、RAID 2には実用上いくつかの大きな課題があり、広く普及するには至らなかった。第一に、エラー訂正用ディスクの必要台数が非常に多いという問題があった。ハミングコードの性質上、処理対象となるデータビットの数が増えるほど、それに付随して計算されるパリティビットの数、すなわちパリティディスクの数も増加する。例えば、データディスクが10台の場合、一般的には4台程度のパリティディスクが必要とされた。これは、ストレージ容量の多くの部分をパリティのために消費することになり、データ格納効率が著しく低下し、システム全体のコストを大幅に押し上げる要因となった。RAIDが「安価なディスク」という思想を掲げていたことを考えると、この高コストは矛盾していた。
第二に、RAID 2のビット単位ストライピングは、ディスクコントローラの設計と実装を非常に複雑なものにした。全てのディスクがビット単位で厳密に同期して動作する必要があるため、高度な制御ロジックと高速な処理能力がコントローラに求められた。この複雑性は、システム全体のコストと信頼性に悪影響を及ぼした。さらに、現代のハードディスクドライブは、ドライブ内部に強力なエラー検出・訂正(ECC: Error Correcting Code)機能を標準で搭載している。ディスクからデータを読み出す際にエラーが発生した場合、ほとんどの場合、ドライブ自身がそれを検出し、訂正することができる。このようなドライブ側の技術進歩により、RAIDレベルでハミングコードのような複雑なビット単位のエラー訂正を行う必要性が根本的に失われた。
加えて、RAID 2のビット単位ストライピングは、ディスクI/O性能、特にランダムアクセス性能において効率的ではない場面が多かった。全てのディスクが同期的に動作する必要があるため、ディスクアレイ全体の性能は、最も遅いディスクの性能に大きく左右される傾向があった。また、細かいデータアクセスパターンに対しては、処理のオーバーヘッドが大きくなる課題も抱えていた。このため、よりシンプルでコスト効率が良く、かつ同等以上の冗長性を提供するパリティベースのRAIDレベル(RAID 3, RAID 4, RAID 5など)が開発され、主流となっていった。これらの後続のRAIDレベルは、ブロック単位やバイト単位でデータをストライピングし、より少ないパリティディスクで効率的な冗長化を実現した。
結論として、RAID 2は、ディスクドライブ自体のエラー検出・訂正能力が未成熟だった時代において、非常に先進的で強力なエラー訂正メカニズムを提供しようとした意欲的なRAIDレベルである。その技術的な思想は、ストレージシステムの信頼性向上への貢献を目指したが、多すぎるパリティディスクによるコスト効率の悪さ、コントローラの複雑性、そしてハードディスクドライブ自体のエラー訂正機能の急速な進化という技術的・経済的な課題に直面した。これらの理由により、RAID 2は実用的なストレージソリューションとして広く普及することなく、今日ではほとんど使われることのない歴史的なRAIDレベルとして認識されている。RAID 2の経験は、技術の先進性だけでなく、実用性、コスト効率、そして技術全体の進化を見据えた設計が重要であることを示す教訓となった。