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Rambus DRAM(ランバス ドラム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Rambus DRAM(ランバス ドラム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ランバスDRAM (ランバスディーラム)

英語表記

Rambus DRAM (ランバス ドラム)

用語解説

Rambus DRAM(ランバスディーラム、RDRAM)は、従来のSDRAMと比較して圧倒的なデータ転送速度を実現するために、1990年代後半に米Rambus社が開発した独自のメモリ技術である。この技術は、当時の主流であったメモリの性能限界を打破し、次世代の高速コンピュータシステムを実現する切り札として期待された。しかし、その高コスト、複雑なシステム設計、特許料の問題などから市場の支持を得られず、最終的にはDDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)にその座を奪われ、主流となるには至らなかった歴史を持つ。RDRAMは、メモリ技術の進化の過程で、高速化へのアプローチと、それが市場に受け入れられるための課題を象徴する存在であった。

RDRAMの最大の特徴は、Rambus Channelと呼ばれる独自の高速インターフェースを採用した点にある。これは、メモリコントローラとメモリチップ間を狭いバス幅(通常は16ビット)で接続し、非常に高い周波数(高クロック)でデータをシリアル転送することで、従来の広バス幅・低クロックのSDRAMを凌駕する帯域幅を実現した。当時のSDRAMが最大133MHz程度のクロックで動作していたのに対し、RDRAMは最初から400MHz、後には800MHzといった高クロックで動作し、16ビット幅ながら実質的に最大1.6GB/sといった驚異的なデータ転送速度を誇った。この高速化は、特に高いメモリ帯域幅を要求するグラフィック処理やマルチメディア処理において大きな優位性をもたらすと期待された。

RDRAMは、従来のDIMM(Dual In-line Memory Module)とは異なるRIMM(Rambus In-line Memory Module)という専用モジュールとして提供された。RIMMモジュールは、マザーボード上のメモリコントローラから信号が送られ、モジュールを介して他のモジュールや終端抵抗へと流れる「デイジーチェーン」方式を採用していた。この方式では、メモリコントローラから送られた信号が正しく終端されなければ、信号の反射が発生しシステムが不安定になるため、未使用のメモリスロットには必ず「ダミーモジュール(CRIMM: Continuity RIMM)」と呼ばれる信号終端用のモジュールを装着する必要があった。これは、ユーザーにとってメモリの増設や構成変更を複雑にする要因の一つとなった。また、高クロック動作に伴う発熱もRDRAMの課題であったため、RIMMモジュールには金属製のヒートスプレッダが装着され、放熱対策が施されていた。

技術的な面では、高速シリアル転送を実現するための複雑な信号処理回路がメモリチップやコントローラに必要とされ、これが製造コストを押し上げる要因となった。さらに、Rambus社が保有する多数の特許に対するロイヤリティ(特許使用料)が上乗せされるため、RDRAMモジュールは同容量のSDRAMやDDR SDRAMと比較して非常に高価であった。RDRAMは高いピーク帯域幅を持つ一方で、レイテンシ(メモリにアクセスしてからデータが返ってくるまでの遅延時間)が大きいという欠点も抱えていた。これは、データをまとめて高速に転送することに特化していたためで、ランダムな小容量データへのアクセスでは、かえって遅延が大きくなる傾向があった。通常のアプリケーションでは、ピーク帯域幅の大きさよりもレイテンシの小ささが体感性能に大きく影響する場合が多く、特に低価格帯のシステムではその優位性が発揮されにくかった。

市場での展開において、RDRAMは一時期、Intelが次世代の高性能PC向けメインメモリとして強力に推進したことで注目を集めた。特にPentium 4プロセッサの初期世代向けに、高い帯域幅を要求する新しいプロセッサの性能を最大限に引き出すため、Intel 820および850チップセットがRDRAMのみをサポートする形で登場した。これにより、IntelはRDRAMをPCの標準メモリとして確立しようと試みたが、前述の高価格、複雑なシステム構成、そして性能対コスト比の問題から、一般ユーザーやPCメーカーからの強い反発に直面した。同時期に登場したDDR SDRAMが、既存のSDRAM技術をベースとしながらも高い性能向上と低いコストを実現したことで急速に普及し、RDRAMは劣勢に立たされた。

結局、Intelは市場の声に押される形でRDRAMのサポートを段階的に縮小し、DDR SDRAMおよびDDR2 SDRAMへと移行していくことを決定した。これにより、PCにおけるメインメモリとしてのRDRAMの時代は短命に終わった。しかし、RDRAMの技術は、PlayStation 2のような一部のゲーム機や、NVIDIA製のグラフィックカードのメモリなどで採用され、その高速性を特定の用途で活かす道を見出した事例も存在する。これらの特殊な用途では、メモリ帯域幅の最大化がシステムの性能に直接影響するため、RDRAMの特性が評価されたのである。Rambus DRAMは、メモリ技術の歴史において、先駆的な高速化技術でありながら、市場のニーズとコストパフォーマンスのバランスに翻弄され、主流にはなり得なかった特殊なメモリとして記憶されている。

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