XFS (エックスエフエス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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XFS (エックスエフエス) の読み方

日本語表記

エックスエフエス (エックスエフエス)

英語表記

XFS (エックスエフエス)

XFS (エックスエフエス) の意味や用語解説

XFSは、Silicon Graphics社が開発した高性能なジャーナリングファイルシステムである。1990年代初頭に開発され、当初は同社のIRIXオペレーティングシステムで利用されていた。その後、Linuxカーネルに移植され、現在では多くのLinuxディストリビューションで標準的に利用可能なファイルシステムの一つとなっている。 XFSの最大の特徴は、そのスケーラビリティとパフォーマンスにある。大規模なファイルシステムや大量のファイルを効率的に扱えるように設計されており、特に大容量ストレージ環境での利用に適している。具体的には、数テラバイトから数十ペタバイト規模のファイルシステムをサポートし、非常に大きなファイル(理論上は8EiBまで)も扱うことができる。 XFSが提供する主な機能は、ジャーナリング、エクステントベースのアロケーション、遅延アロケーション、マルチスレッドによる処理、オンラインでの拡張性などである。これらの機能が組み合わさることで、高い信頼性とパフォーマンスを実現している。 ジャーナリングは、ファイルシステムへの変更を記録する仕組みである。XFSでは、メタデータ(ファイルやディレクトリの情報)への変更をジャーナルと呼ばれる領域に記録する。これにより、システムがクラッシュした場合でも、ジャーナルに記録された情報に基づいてファイルシステムを迅速に復旧させることができる。ジャーナリングには、メタデータのみを記録する「メタデータジャーナリング」、メタデータとデータを両方記録する「フルジャーナリング」など、いくつかの種類がある。XFSは通常、メタデータジャーナリングを使用し、パフォーマンスを向上させている。 エクステントベースのアロケーションは、ファイルデータを連続した領域(エクステント)に割り当てる方式である。従来のブロック単位のアロケーションと比較して、ファイルシステムの断片化を抑制し、ディスクアクセスを効率化できる。XFSは、可変長のエクステントを使用するため、ファイルサイズの増減に合わせて柔軟に領域を割り当てることができる。 遅延アロケーションは、ファイルへの書き込み時にすぐにはディスク領域を割り当てず、一定のデータが蓄積されるか、ファイルがクローズされるまで割り当てを遅らせる方式である。これにより、ファイルシステムはより最適な領域を選択して割り当てることができ、断片化を減らすことができる。また、連続した領域にデータを書き込む可能性が高まるため、パフォーマンスも向上する。 XFSは、ファイルシステムの操作を複数のスレッドで並行して処理することができる。これにより、複数のユーザーやアプリケーションが同時にファイルシステムにアクセスする場合でも、高いスループットを維持することができる。特に、マルチプロセッサシステムや大容量ストレージ環境において、この並行処理の能力が有効に働く。 XFSの大きな利点の一つは、ファイルシステムをオンラインで拡張できることである。つまり、ファイルシステムをアンマウントすることなく、容量を拡張することができる。これにより、システムを停止させることなく、ストレージ容量の需要に対応することができる。これは、サービスを継続的に提供する必要がある環境にとって非常に重要な機能である。 XFSの利用は、特に大容量ストレージ、データベース、メディア編集、仮想化などの分野で推奨される。これらの分野では、高いパフォーマンスと信頼性が求められるため、XFSの特性が最大限に活かされる。 ただし、XFSにはいくつかの注意点もある。例えば、ext4などの他のファイルシステムと比較して、ファイルシステムチェック(fsck)に時間がかかる場合がある。また、ファイルシステムの縮小はオフラインで行う必要があり、オンラインでの縮小はサポートされていない。 XFSを使用する際には、適切なパーティション分割とマウントオプションを設定することが重要である。例えば、stripe unitとstripe widthの値を適切に設定することで、RAID構成されたストレージデバイス上でのパフォーマンスを最適化することができる。また、noatimeオプションを設定することで、ファイルアクセス時間の更新を抑制し、パフォーマンスを向上させることもできる。 XFSは、mkfs.xfsコマンドを使用して作成する。mkfs.xfsコマンドには、様々なオプションがあり、ファイルシステムの特性を細かく設定することができる。例えば、inodeサイズの変更、ブロックサイズの変更、ジャーナルサイズの変更などを行うことができる。 XFSは、その高いスケーラビリティ、パフォーマンス、信頼性から、大規模なシステムやデータセンターにおいて広く利用されている。Linux環境で高性能なファイルシステムを必要とする場合には、XFSは非常に有力な選択肢となる。

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