ゾーニング (ゾーニング) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ゾーニング (ゾーニング) の読み方

日本語表記

ゾーニング (ゾーニング)

英語表記

zoning (ゾーニング)

ゾーニング (ゾーニング) の意味や用語解説

ゾーニングとは、ITシステムにおいて、特定の基準に基づいてネットワークやストレージへのアクセス経路を論理的に分割し、管理する技術またはその概念を指す。この技術は主に、ストレージエリアネットワーク(SAN)の分野と、一般的なネットワークセキュリティの分野で用いられる。文脈によって指す対象は異なるが、いずれも「区画を分ける」ことで、アクセス制御を厳格化し、セキュリティの向上、パフォーマンスの維持、管理性の向上を実現するという共通の目的を持つ。 まず、ストレージエリアネットワークにおけるゾーニングについて解説する。SANは、複数のサーバーとストレージ装置を、ファイバーチャネル(FC)という高速なプロトコルを用いて接続する専用のネットワークである。このSAN環境において、どのサーバーがどのストレージ領域にアクセスできるかを制御するのがゾーニングの役割である。物理的にはすべてのサーバーとストレージがFCスイッチを介して接続されている状態であっても、ゾーニングを設定することで、論理的なアクセス経路を限定できる。例えば、人事部門のサーバーは人事データベースが格納されたストレージにのみアクセスでき、経理部門のサーバーは経理システムのストレージにのみアクセスできるように設定することが可能となる。これにより、関係のないサーバーからの意図しないアクセスや誤操作によるデータ破壊を防ぎ、セキュリティを大幅に向上させることができる。また、不要なサーバーとストレージ間の通信を遮断することで、ネットワーク全体のトラフィックを抑制し、パフォーマンスの安定化にも寄与する。ゾーニングの設定は、FCスイッチ上で行われるのが一般的であり、各機器のポートに固有に割り当てられたWWN(World Wide Name)という識別子を利用して、アクセスを許可するサーバーとストレージの組み合わせを「ゾーン」としてグループ化する。このWWNを用いた方法はソフトゾーニングと呼ばれ、物理的な配線変更を伴わずに柔軟に構成を変更できるため、現在主流となっている。 次に、ネットワークセキュリティにおけるゾーニングについて解説する。こちらは、企業などの内部ネットワークを、セキュリティレベルやサーバーの役割に応じて複数のセグメント(ゾーン)に分割し、ゾーン間の通信をファイアウォールなどで厳密に制御する設計思想を指す。このアプローチの最大の目的は、多層防御を実現し、万が一システムの一部がサイバー攻撃などによって侵害されたとしても、被害をそのゾーン内に封じ込め、組織全体の情報資産を守ることにある。代表的なゾーンの構成例として、インターネットゾーン、DMZ、内部ネットワークゾーンの三層構造が挙げられる。インターネットゾーンは、外部の信頼できないネットワーク全体を指す。DMZ(DeMilitarized Zone、非武装地帯)は、Webサーバーやメールサーバーなど、外部に公開する必要があるサーバーを設置するための中間的な領域である。インターネットからのアクセスを受け付けるが、直接内部ネットワークには接続させない緩衝地帯としての役割を持つ。そして、内部ネットワークゾーンは、業務で利用するPCや、顧客情報などの機密データを保持するデータベースサーバーなどが配置される、最も信頼性が高く、厳重に保護されるべき領域である。これらのゾーン間の通信は、ファイアウォールによって厳格に管理される。例えば、インターネットからDMZへの通信はWebアクセスのための特定のプロトコルのみを許可し、DMZから内部ネットワークへの通信は、Webサーバーからデータベースサーバーへの必要最小限の通信のみを許可する。逆に、信頼レベルの高い内部ネットワークから信頼レベルの低いインターネットへの通信は比較的緩やかに許可されることが多い。このようにネットワークをゾーニングすることで、不正な通信が内部の重要な領域へ到達することを防ぎ、セキュリティリスクを大幅に低減させることが可能となる。 以上のように、ゾーニングは、利用される分野は異なるものの、システムを論理的に分割して管理するという基本思想は共通している。無秩序な接続状態を避け、明確な境界線を設けてアクセス制御を行うことで、現代の複雑なITシステムに不可欠なセキュリティ、安定性、管理性を提供する重要な技術である。

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