【ITニュース解説】Agent vs Agentless ITAM: What’s the Difference?
2025年10月01日に「Dev.to」が公開したITニュース「Agent vs Agentless ITAM: What’s the Difference?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
IT資産管理(ITAM)には、デバイスにソフトを入れる「エージェント型」と、ネットワークで情報を収集する「エージェントレス型」がある。エージェント型は詳細データ収集やリモート対応に強いが管理が手間。エージェントレス型は手軽に導入できるが、収集情報は限定的でネットワーク接続が必要。用途で使い分けが重要だ。
ITニュース解説
企業が保有するIT資産、例えばパソコン、サーバー、ソフトウェアなどを効率的に管理することは、ビジネスを円滑に進める上で非常に重要だ。この管理活動はIT資産管理(ITAM)と呼ばれ、IT資産の状態を正確に把握し、最適に利用し、セキュリティや法規制(コンプライアンス)を遵守するために不可欠である。ITAMを実現する方法には主に「エージェント方式」と「エージェントレス方式」の二つがあり、それぞれ異なる仕組みと特性を持つ。
まず、エージェント方式ITAMとは、管理したいそれぞれのデバイスに「エージェント」と呼ばれる小型のソフトウェアプログラムをインストールする方法である。このエージェントはデバイスのバックグラウンドで静かに動作し、そのデバイスに関する詳細な情報を継続的に収集する。具体的には、ハードウェアの仕様、インストールされているオペレーティングシステムの種類やバージョン、導入されているアプリケーション、ソフトウェアの利用状況、セキュリティパッチの適用状況、セキュリティ設定など、多岐にわたるデータが含まれる。
エージェント方式の大きな利点は、エージェントがデバイス上に常駐しているため、そのデバイスが企業ネットワークに接続されていない状態、つまりオフラインの状態や、リモートワークで自宅から使用している場合でも、活動状況を追跡し続けられる点だ。デバイスが再びネットワークに接続されると、収集されたデータはITAMシステムへ自動的に送信され、分析や報告に利用される。この仕組みにより、ITチームは資産の状態を非常に高い精度で把握でき、リアルタイムに近い情報に基づいて、変化を検知したり、コンプライアンス上の問題を特定したり、潜在的なリスクを迅速に発見したりできる。特にリモートワークやハイブリッドワークを導入している組織、厳しい規制要件を持つ業界、複数の拠点に分散したデバイスの詳細な追跡が必要な場合に、エージェント方式は大きな効果を発揮する。
しかし、エージェント方式にも課題はある。まず、管理対象となるすべてのデバイスにエージェントをインストールし、さらにその後のアップデートやメンテナンスも必要となる。これはITチームにとって追加の作業負荷となることがある。また、エージェントがバックグラウンドで動作することで、ごくわずかではあるが、デバイスのパフォーマンスに影響を与える可能性もゼロではない。
次に、エージェントレス方式ITAMについて説明する。この方式では、個々のデバイスに専用のソフトウェアをインストールする必要がない。代わりに、ネットワークスキャン、既存のシステム連携(例えば、Active Directoryやクラウドプラットフォーム)、または認証情報を使用して、ネットワーク上にあるデバイスを発見し、その情報を収集する。エージェントをインストールする手間がないため、導入が非常に迅速に行えるのが特徴だ。
エージェントレス方式で収集されるデータは、ハードウェアの詳細、インストールされているアプリケーション、システム設定、そしてデバイスがネットワークに接続されている間の利用状況などが含まれる。この方式の最大のメリットは、導入の容易さと保守のシンプルさにある。ソフトウェアのインストールや更新が不要なため、ITチームの管理負担が少なく、デバイスのパフォーマンスに影響を与えることもない。オフィス内にある多くのデバイスや、データセンター内のサーバー群のように、常に同じネットワークに接続されている資産を管理する組織にとって理想的なアプローチだと言える。
一方で、エージェントレス方式にはいくつかの制約がある。収集できるデータの詳細度はエージェント方式に比べて劣る場合が多い。また、データの収集はネットワークスキャンや定期的なポーリングに依存するため、リアルタイム性に欠けることがある。最も重要なのは、デバイスがネットワークから切断されている場合や、適切にネットワークに認識されていない場合には、そのデバイスの情報を収集できない点だ。そのため、オフラインのデバイスやリモートで利用されている資産を見落としてしまう可能性があり、資産の完全な可視性を得るのが難しい場合がある。
エージェント方式とエージェントレス方式の主な違いは、導入方法、データの詳細度、リアルタイム性、そして保守・管理の手間に集約される。エージェント方式は、初期導入に手間がかかるものの、一度導入すれば詳細なデータをリアルタイムで、ネットワークの接続状況に左右されずに収集できる。これに対し、エージェントレス方式は導入が迅速で管理が容易だが、データはネットワーク接続時に限定され、詳細度もエージェント方式ほどではない。
どちらのITAMアプローチが最適かは、企業の具体的な環境と優先事項によって大きく異なる。従業員がリモートで作業することが多い、または頻繁に外出するような企業では、デバイスがオフラインでも追跡できるエージェント方式が適していることが多い。一方、ほとんどのデバイスがオフィスやデータセンター内に固定されており、常にネットワークに接続されている企業であれば、エージェントレス方式の迅速な導入と容易な管理が大きなメリットとなる。
コンプライアンス要件も選択の重要な要素だ。医療や金融のような厳格な規制がある業界では、詳細な監査証跡や報告が求められるため、エージェント方式が提供する詳細なデータが不可欠だ。それほど厳しくない要件であれば、エージェントレス方式でも十分な情報を提供できる場合がある。また、ITチームのリソースも考慮すべき点だ。エージェントの展開とメンテナンスにはある程度の人手が必要なため、ITリソースに制約がある小規模なチームでは、エージェントレス方式の方が管理しやすい場合がある。
しかし、多くの企業では、どちらか一方のアプローチに完全に依存するのではなく、「ハイブリッドアプローチ」を採用することが多い。例えば、リモートで利用されるノートパソコンや、セキュリティ上特に重要なサーバーにはエージェント方式を適用し、オフィス内の固定されたデスクトップPCやネットワーク機器にはエージェントレススキャンを適用するといった組み合わせ方だ。このハイブリッドアプローチは、エージェント方式の提供する詳細な監視と、エージェントレス方式の持つ迅速な導入・簡単な管理という両方の利点を活用し、資産の包括的な可視性を効率的に実現できる。
結論として、エージェント方式とエージェントレス方式のITAMは、どちらもIT資産の可視性を高めるという共通の目的を持つ。しかし、情報の収集方法、データの詳細度、および管理に必要となる労力には明確な違いがある。リモートワークや厳格なコンプライアンス要件を持つ企業にはエージェント方式が、集中管理された資産を持ち、より迅速な導入と容易な管理を求める企業にはエージェントレス方式が適している。多くの場合、両者の強みを組み合わせたハイブリッドアプローチが、カバレッジ、詳細度、効率性の最良のバランスを提供することになるだろう。