【ITニュース解説】AIの「危険性」と「可能性」 セキュリティ担当者はどう向き合うべきか
2025年09月12日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「AIの「危険性」と「可能性」 セキュリティ担当者はどう向き合うべきか」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AIの進歩でセキュリティのあり方が変わり、企業は新たな課題に直面している。AIがもたらす危険性と可能性に対し、セキュリティ担当者がどう向き合うべきか。具体的な課題と大きなトレンド、対処方法を解説する。
ITニュース解説
現代のビジネス環境において、AI(人工知能)の進化は目覚ましいものがあり、私たちの生活や企業活動に大きな変化をもたらしている。しかし、このAIは「可能性」だけでなく「危険性」も同時に持ち合わせており、企業が情報システムを安全に運用するためには、セキュリティのあり方を根本的に見直す必要がある。
まず、AIがセキュリティにもたらす「可能性」、つまり良い面から見ていこう。AIは、日々膨大に発生するセキュリティイベントのログやネットワーク上の通信データを高速で分析する能力を持っている。これにより、人間では気づきにくい異常なパターンや、未知のサイバー攻撃の兆候を早期に検知することが可能になる。例えば、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の動きを分析したり、不正アクセスの試みを自動でブロックしたりするシステムにAIが活用されている。これにより、セキュリティ担当者の業務負担を軽減し、より高度な判断や戦略立案に集中できる環境を整えることができる。AIはセキュリティ運用の効率化や、防御能力の向上に不可欠な存在となりつつあると言える。
一方で、AIがもたらす「危険性」、つまり悪い面にも目を向ける必要がある。サイバー犯罪者たちもAI技術を悪用し、攻撃の手法を高度化させているのだ。AIを使えば、より巧妙な偽情報(ディープフェイクと呼ばれる画像や動画の偽造など)を作成し、人を騙して情報を抜き取ろうとするフィッシング詐欺や、組織内の混乱を狙う攻撃が増加する恐れがある。また、AIはマルウェアの自動生成や、防御側のシステムを分析して最適な攻撃手法を自動で探し出すといった、これまでの手動では不可能だった規模と速さでの攻撃を可能にする可能性も秘めている。さらに、AIを搭載したシステム自体に脆弱性があれば、それが新たな攻撃対象となるリスクも存在する。AIの利用は、攻撃と防御の両面で新たな次元の戦いを引き起こしているのだ。
このような状況の中で、企業が直面するセキュリティの課題は多岐にわたる。クラウドサービスの利用拡大やリモートワークの普及により、企業の情報システムは社内のネットワークだけでなく、インターネット上の様々な場所へと広がった。これにより、攻撃対象となる領域が大幅に拡大し、どこに脆弱性があるのか、どのように防御すれば良いのかを把握することが難しくなっている。また、サイバー攻撃は日々高度化・複雑化しており、それを阻止するためには高度な専門知識と技術を持ったセキュリティ人材が不可欠だが、多くの企業でそうした人材が不足しているのが現状だ。部門ごとに異なるセキュリティ対策が導入され、情報がサイロ化していることも、全体の防御力を低下させる原因となっている。
こうした課題に対処するため、セキュリティの世界ではいくつかの大きなトレンドが注目されている。一つ目は「ゼロトラスト」という考え方だ。これは「何も信頼しない、常に検証する」という原則に基づき、社内ネットワークであってもすべてのアクセスを疑い、毎回ユーザーやデバイスの認証と認可を行うことで、不正なアクセスを徹底的に排除しようとするものだ。二つ目は「SASE(Secure Access Service Edge)」で、これはネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合し、どこからでも安全に、かつ効率的に情報システムにアクセスできる環境を提供する。これにより、リモートワークやクラウド利用が進む中でも一貫したセキュリティポリシーを適用できるようになる。三つ目は「サイバーレジリエンス」で、これは単に攻撃を防ぐだけでなく、万が一攻撃を受けても事業を継続し、速やかに回復できる能力を高めることを目指す。そして四つ目には、セキュリティ対策自体にAIを活用する動きが挙げられる。脅威の予測、異常検知、インシデント対応の自動化など、AIはセキュリティ運用のあらゆる側面で活用され、より効果的な防御を実現することが期待されている。
これらのトレンドを踏まえ、企業は具体的な対処方法を講じる必要がある。まず、AIの悪用リスクを常に考慮した上で、多層防御の考え方を取り入れ、様々な角度からシステムを守る。例えば、不正侵入を防ぐだけでなく、万が一侵入されても被害を最小限に抑えるための対策も同時に行うのだ。また、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めるための教育も極めて重要だ。どんなに優れた技術があっても、人間のミスがきっかけで情報漏洩やサイバー攻撃につながるケースは後を絶たない。常に最新の脅威情報を収集・共有し、自社のセキュリティ戦略を定期的に見直し、時代の変化に合わせて改善し続けることも不可欠である。そして、AIを活用したセキュリティツールの導入を積極的に検討し、セキュリティ人材の育成と確保にも力を入れることが、AI時代における企業の安全を確保するための鍵となる。
AIの進化はセキュリティのあり方を根本から変えようとしている。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、AIの基本的な仕組みを理解し、その「危険性」と「可能性」の両面を認識することは非常に重要だ。これからIT業界で活躍していく上で、セキュリティは避けて通れないテーマであり、技術的な知識だけでなく、常に新しい脅威に対応し、変化し続けるための学習意欲が求められるだろう。