【ITニュース解説】AWS Console Customisation - Colour Setting
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「AWS Console Customisation - Colour Setting」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AWSコンソールに新機能が登場した。複数のAWSアカウント(開発、本番など)を色分けでき、操作ミスを防ぐのに役立つ。設定には管理者向けIAM権限が必要で、色を見る利用者にも専用のIAM権限を与える必要がある。
ITニュース解説
AWS(アマゾンウェブサービス)は、インターネットを通じてコンピューティングサービスを提供するクラウドプラットフォームであり、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、その知識と経験は将来のキャリアにおいて非常に重要なものとなるだろう。AWSはサーバー、データベース、ストレージ、ネットワークなど、ITシステムの構築に必要なあらゆる機能を提供しており、世界中の企業や開発者が利用している。
AWSを利用する際、多くの企業やプロジェクトでは、複数のAWSアカウントを使い分けるのが一般的だ。これは、開発環境、テスト環境、そして実際にサービスが稼働する本番環境といったように、それぞれの目的に応じて完全に分離された環境を構築するためである。例えば、開発中の新しい機能をテストする環境と、顧客にサービスを提供している本番環境が同じアカウント内にあると、誤って本番環境の設定を変更してしまい、サービス停止などの重大な問題を引き起こすリスクがある。このようなリスクを回避するため、それぞれの環境は独立したAWSアカウントとして運用されるのが業界標準となっている。
しかし、複数のAWSアカウントを頻繁に切り替えながら作業するシステムエンジニアにとって、現在どの環境にログインしているのかを瞬時に判断するのは意外と難しい課題だった。AWSコンソール(AWSを操作するための管理画面)の右上には、現在ログインしているアカウントのIDが表示されているが、このアカウントIDは数字の羅列であり、どのIDが開発環境、テスト環境、本番環境に対応しているのかを常に記憶しておくのは現実的ではない。また、アカウント名を直接表示する機能もこれまで存在しなかったため、常に細心の注意を払って作業する必要があったのだ。誤って本番環境で開発中の設定をいじってしまい、本番稼働中のサービスに影響を与えてしまうような事態は、システムエンジニアにとって最も避けたい状況の一つだ。
こうした課題に対し、AWSは最近、「AWS User Experience Customization(UXC)」という新しい機能を提供し始めた。この機能は、AWSコンソールにログインした際、アカウントごとに色を設定できるようにするものだ。例えば、本番環境のアカウントには「赤」、開発環境には「青」、テスト環境には「緑」といったように、視覚的に異なる色を割り当てることで、どの環境にログインしているかを一目で判別できるようになる。これにより、視覚的な手がかりが加わり、複数のアカウント間での作業切り替え時の混乱が大幅に減少し、誤操作のリスクを低減する効果が期待されている。これは、特に新人システムエンジニアにとっては、誤って本番環境で作業してしまうという心理的プレッシャーを和らげ、安心して作業を進めるための大きな助けとなるだろう。
では、実際にこのカラー設定をどのように有効にするのかを説明する。まず、AWSの権限管理サービスであるIAM(Identity and Access Management)を使って、自分自身、またはこのカラー設定を行う担当者に特定の権限を与える必要がある。IAMは、AWSリソースへのアクセスを安全に管理するためのサービスで、誰が何にアクセスできるかを細かく制御できる。カラー設定を適用するには、AWSManagementConsoleAdministratorAccessというIAMポリシーを付与する必要がある。このポリシーは、AWSコンソールの管理機能にアクセスし、カスタマイズ設定を行うための権限を付与するものだ。
この権限が付与された状態でAWSアカウントにログインしたら、設定は比較的簡単に行える。AWSコンソール画面の右上にある、現在ログインしているアカウント名が表示されているドロップダウンメニューをクリックし、「Account」を選択する。次に、「Account display settings」という項目に進み、そこでアカウントに設定したい色を選択する。ビジネス上の意味合いやプロジェクトのルールに合わせて、視覚的に分かりやすい色を選ぶのが良いだろう。これで、指定した色でコンソール画面が表示されるようになる。
しかし、この新しいUXC機能には一つ注意すべき点がある。せっかく設定したアカウントの色を、そのアカウントにアクセスする他のすべてのユーザーが見るためには、追加のIAM設定が必要となるのだ。具体的には、AWSアカウントにアクセスするすべてのSSO(シングルサインオン)ロールや個々のユーザーに対して、AWSManagementConsoleBasicUserAccessというIAMポリシーを追加する必要がある。このポリシーが付与されていないユーザーは、アカウントのカラー設定を見ることができず、通常の白い画面でAWSコンソールを使用することになる。
この点は、記事の筆者も指摘しているように、改善の余地があると感じられる部分だ。アカウントのカラー設定は、あくまで読み取り専用の情報であり、既存の設定を上書きするような危険な操作ではない。むしろ、誤操作を防ぐための安全策、あるいは視覚的な補助としての役割が大きいため、本来であれば、設定された色はデフォルトですべてのユーザーに表示されるべきだと考えられる。すべてのユーザーが色を見られるようにするには、それぞれのユーザーやロールにポリシーを適用する手間が発生し、特に大規模な組織ではかなりの労力が必要になる可能性がある。
それでも、このAWSコンソールにおけるカラー設定機能は、複数のAWSアカウントを管理する上での長年の課題に対する有効な解決策の一つだ。システムエンジニアにとって、日々の作業において環境の識別ミスを防ぐことは、サービスの安定稼働と個人のストレス軽減に直結する。特に初心者にとっては、視覚的な手助けがあることで、より安心してAWSの操作を習得し、実際の業務に自信を持って取り組むことができるようになるだろう。今後のAWSのアップデートで、このカラー設定がより手軽に、そしてデフォルトで適用されるようになることを期待したい。