【ITニュース解説】ビル・ゲイツが書いた48年前の「6502 BASIC」のソースコードをMicrosoftがオープンソース化

マイクロソフトが、1970年代にビル・ゲイツが中心となって開発した「Microsoft BASIC for 6502 Microprocessor - Version 1.1」のソースコードをオープンソースとして公開した。これは、システムエンジニアを目指す初心者にとって、非常に価値のある出来事だ。なぜなら、BASICというプログラミング言語の歴史的側面を学ぶだけでなく、当時のソフトウェア開発の現場を垣間見ることができるからだ。

まず、BASICとは何かを簡単に説明しよう。BASIC（Beginner's All-purpose Symbolic Instruction Code）は、プログラミング初心者でも比較的容易に学べるように設計されたプログラミング言語だ。1960年代に開発され、その後、パーソナルコンピュータの普及とともに急速に広まった。その理由は、BASICがコンピュータと人間との対話を容易にし、プログラムを書いてすぐに実行できるインタプリタ形式を採用していたからだ。

今回オープンソース化された「Microsoft BASIC for 6502 Microprocessor - Version 1.1」は、1970年代後半に人気を博した8ビットマイクロプロセッサである6502上で動作するBASICインタプリタだ。6502は、Apple IIやCommodore PET、Atariなどの初期のパーソナルコンピュータに搭載され、当時のコンピュータゲームやビジネスアプリケーションの開発に広く利用された。つまり、このBASICは、初期のパーソナルコンピュータ文化を支えた重要なソフトウェアの一つと言える。

オープンソース化されたソースコードを実際に見てみると、現代のプログラミング言語とは異なる特徴に気づくはずだ。たとえば、メモリ容量が限られていた時代なので、ソースコードは非常にコンパクトに書かれている。変数名も短く、コメントも少ない。また、アセンブリ言語との連携も頻繁に行われており、ハードウェアの制約を克服するために様々な工夫が凝らされている。

システムエンジニアを目指す初心者がこのソースコードから学べることは多い。まず、プログラミングの基礎を理解する上で役立つ。BASICの構文はシンプルなので、プログラムの流れや変数の扱い、条件分岐、ループ処理などの基本的な概念を容易に把握できる。

次に、低レベルプログラミングの知識を深めることができる。6502 BASICは、ハードウェアに近い部分を制御する必要があるため、アセンブリ言語の知識があると理解が深まる。アセンブリ言語は、CPUに直接命令を送るための言語であり、現代のプログラミングではあまり使われなくなったが、コンピュータの動作原理を理解する上で非常に重要だ。

さらに、ソフトウェア開発の歴史を学ぶことができる。1970年代のソフトウェア開発は、現代とは大きく異なっていた。開発ツールも限られており、デバッグも容易ではなかった。しかし、当時のプログラマーたちは、限られた資源を最大限に活用し、革新的なソフトウェアを開発した。彼らの創意工夫や努力を知ることで、現代のソフトウェア開発に対する理解も深まるだろう。

具体的にソースコードを読む際には、まず、BASICインタプリタ全体の構造を把握することから始めると良いだろう。ソースコードは、字句解析、構文解析、コード生成、実行などのモジュールに分かれている。それぞれのモジュールがどのような役割を果たしているかを理解することで、BASICインタプリタの動作原理を理解できる。

また、ソースコードには、多くのコメントが含まれていないため、ドキュメントや関連書籍を参照しながら読むと理解が深まる。インターネット上には、6502 BASICに関する情報が多く公開されているので、それらを活用すると良いだろう。

オープンソース化されたソースコードは、単に読むだけでなく、実際に動かしてみることも重要だ。エミュレータを使えば、当時のパーソナルコンピュータを仮想的に再現し、6502 BASICのプログラムを実行できる。自分でプログラムを書いて実行したり、既存のプログラムを改造したりすることで、より深く理解できる。

マイクロソフトが「Microsoft BASIC for 6502 Microprocessor - Version 1.1」のソースコードをオープンソース化したことは、過去のソフトウェア遺産を未来に伝える上で非常に意義深い。システムエンジニアを目指す初心者は、この貴重な機会を活かして、プログラミングの基礎、低レベルプログラミングの知識、ソフトウェア開発の歴史を学び、自身のスキルアップにつなげてほしい。