【ITニュース解説】From Compliance to Cloud: My First Week Engineering the Future
2025年09月15日に「Medium」が公開したITニュース「From Compliance to Cloud: My First Week Engineering the Future」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
元銀行の最高コンプライアンス責任者兼CISOだった人物が、エンジニアとしてクラウド技術を学び始めた。新しいキャリアの最初の1週間で、自身のコンプライアンス経験を活かし、クラウドの未来をどう築くかについて洞察を語る。
ITニュース解説
この記事は、元銀行の最高コンプライアンス責任者(CCO)と最高情報セキュリティ責任者(CISO)という異色の経歴を持つ人物が、エンジニアの世界へ転身した体験を語っている。これは、技術の力が現代社会でいかに重要であるか、そしてキャリアパスがいかに多様であるかを示す興味深い事例だ。
筆者の前職における最高コンプライアンス責任者とは、企業が法律や規制、社内規定などを厳格に守るための責任者である。特に金融機関は、顧客から預かる資金や個人情報を扱うため、マネーロンダリング防止、不正取引の監視、顧客情報の保護など、非常に厳格な法規制と倫理規範が求められる。CCOは、これらのルールが適切に遵守されているかを確認し、企業が健全かつ公正に事業を運営できるよう監督する重要な役割を担う。
一方、最高情報セキュリティ責任者(CISO)は、企業の情報資産をサイバー攻撃や情報漏洩といった脅威から守る最高責任者だ。金融機関にとって、システムダウンやデータ流出は事業継続に深刻な影響を及ぼし、顧客の信頼を失うことにもつながる。CISOは、情報セキュリティ戦略の立案、セキュリティ対策の実施、社員への教育、そしてインシデント発生時の対応計画などを統括し、企業のデジタルな安全を守る最前線に立つ存在である。
筆者は長年、このような「守る」立場、つまり企業が「やってはいけないこと」や「守るべき情報」を管理する役割を担ってきた。しかし、クラウドコンピューティングをはじめとする技術の進化が、ビジネスや社会のあり方を根本から変えつつあることを実感し、大きな転機を迎える。クラウドコンピューティングとは、サーバーやストレージ、データベース、ソフトウェアといったコンピューター資源を、インターネットを通じて必要な時に必要なだけ利用できる仕組みを指す。これにより、企業は自前で大規模なITインフラを持つ必要がなくなり、より柔軟かつ効率的に事業を展開できるようになった。筆者はこの技術の持つ可能性に魅了され、単にルールを管理するだけでなく、自ら手を動かして「未来を創造する」エンジニアの道へ進むことを決意したのだ。
エンジニアとして迎えた最初の週は、新たな学びと発見に満ちていた。筆者はまず新しいチームの一員となり、そのチームの文化や開発プロセス、コミュニケーションの取り方などを学んでいった。そして、具体的な技術ツールとして、Terraform、AWS、Pythonの学習に着手し、自身の開発環境をセットアップした。Terraformは、ITインフラをコードとして記述し、そのコードに基づいて自動的に構築・変更・削除ができるツールである。これにより、手作業での設定ミスを減らし、環境構築の再現性を高めることができる。AWS(Amazon Web Services)は、インターネット経由で多種多様なITサービスを提供する世界最大のクラウドプラットフォームであり、現代の多くのシステム基盤として利用されている。Pythonは、ウェブアプリケーション開発、データ分析、AI、システム自動化など幅広い分野で使われる人気のプログラミング言語で、読み書きがしやすいため初心者にも理解しやすい。
さらに、チームメンバーが既に作成している既存のコードを読み解き、システムの仕組みや設計思想を理解する作業も行った。これは、チーム開発において非常に重要な「コードレビュー」というプロセスを通じて行われることが多い。コードレビューとは、他の開発者が書いたコードを複数人で確認し、品質向上や潜在的な問題点の発見、知識の共有を図るための重要な活動だ。そして、筆者は自身の手で最初の「プルリクエスト(PR)」を作成した。プルリクエストとは、自身が書いた新しいコードをプロジェクトの共有リポジトリに追加してもらうために提案する仕組みであり、エンジニアが自身の貢献を形にする最初の一歩となる。
筆者のように、セキュリティやコンプライアンスに関する深い知識を持つ人物がエンジニアリングの世界に入ることは、現代のシステム開発において大きな価値を持つ。システムを設計・構築する際に、単に機能要件を満たすだけでなく、最初からセキュリティ上のリスクや法規制への適合性を考慮した設計を組み込むことができるため、より安全で信頼性の高いシステムを開発することに貢献できる。これは、開発(Dev)、セキュリティ(Sec)、運用(Ops)を一体化させる「DevSecOps」という考え方が重要視される現代の開発現場において、特に貴重な視点である。
この転身は、「未来をエンジニアリングする」という言葉が示すように、技術の力を借りて新しいサービスやソリューションを生み出し、社会の課題を解決していくという強い意志を反映している。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、技術は単なる道具ではなく、未来を形作るための強力な手段であり、常に学び続け、変化に対応していくことで、様々な分野で大きな貢献ができる可能性を秘めていることを示唆している。