【ITニュース解説】DREX na Prática: Tokenizando o Real Digital com Soroban e Rust
2026年09月18日に「Dev.to」が公開したITニュース「DREX na Prática: Tokenizando o Real Digital com Soroban e Rust」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
ブラジルのデジタル通貨DREXの技術課題を理解するため、Stellar・Soroban・Rustを使いプロトタイプを開発した。中央銀行による発行制御や口座凍結など、DREXに必要な機能を実装しテスト。数秒での取引確認や低コストを確認した。技術だけでなく、コンプライアンスやガバナンスが重要だと示唆する。
ITニュース解説
ブラジル中央銀行が進めるデジタルレアル「DREX」のパイロットプロジェクトを受け、一人の専門家が、主権デジタル通貨が直面する技術的課題を実体験するため、DREXの独自バージョンを構築した。彼はStellarテストネット上でSorobanとRustを使いスマートコントラクトを書き始め、その知見を共有している。この記事は、この実践的なプロジェクトの内容と、そこから得られた重要な学びについて解説するものである。
彼がStellarネットワークを選んだ理由は、Stellarが元々決済や金融資産の取り扱いを目的として設計されたブロックチェーンネットワークだからだ。トランザクションあたりのコストが非常に低く、約0.00001 XLM(Stellarのネイティブ通貨)程度で済む。これは事実上無視できるほどの安さであり、DREXのように毎日何百万ものマイクロトランザクションが予想されるユースケースにおいて、この効率性は決定的に重要となる。StellarのスマートコントラクトプラットフォームであるSorobanは、WebAssembly(Wasm)上で動作し、主要な開発言語としてRustを採用している。Rustはコンパイル時にメモリ安全性を保証し、WebAssembly上でネイティブコードに匹敵する高い実行性能を発揮する。国の通貨を扱うシステムにおいて、数値のオーバーフローや型の不整合による不具合は許されないため、このような堅牢性と性能は極めて重要である。
彼は、DREXが要求する規制機能を組み込んだトークンとしてコントラクトを設計した。デジタル主権通貨であるDREXは、一般的なトークンとは異なり、中央銀行による発行の管理、司法命令に基づく口座凍結の能力、そして厳格な監査メカニズムが必須となる。彼は、主権通貨のトークン化において、技術的なコードが占める割合は20%に過ぎず、残りの80%はガバナンス、つまり統治や制度設計に関わる部分であると強調している。
プロジェクトの中核は、標準的なトークンプロトコルをDREX向けに調整したSorobanコントラクトである。特に、制御された発行ロジックの一部をコードで示すと、以下のようになる。
#[contractimpl] impl DrexToken { pub fn mint(env: Env, admin: Address, to: Address, amount: i128) { admin.require_auth(); Self::check_admin(&env, &admin); let mut balance = Self::balance(env.clone(), to.clone()); balance += amount; env.storage().persistent().set(&to, &balance); env.events().publish( (symbol_short!("mint"), to.clone()), amount ); } }
この実装には三つの重要な点がある。第一に、admin.require_auth()という記述は、承認された管理者、現実世界では中央銀行のみが新しいDREXトークンを発行できることを保証する。これは通貨発行の権限を厳密に制御するための仕組みである。第二に、env.events().publishを用いることで、トークンの発行履歴が不変の監査証跡としてブロックチェーン上に記録される。これは規制当局への透明性や法令遵守に不可欠な機能である。第三に、金額を扱うデータ型としてi128が使用されている点も重要だ。i128は128ビットの整数型であり、非常に大きな数値を扱うことができるため、金融取引における小数の精度誤差や数値のオーバーフローといった問題を防ぐことができる。このような細かな配慮が、信頼性の高い金融システムを構築する上で欠かせない。
また、彼は口座凍結機能も実装した。これは、ブラジルのDREXが義務付けている要件の一つであり、司法命令に基づいて口座内の資金を一時的にブロックする能力を反映している。
Stellarテストネットにコントラクトを展開した後、彼はブラジルのシナリオを想定した一連のテストを実行した。例えば、PIX(ブラジルの即時決済システム)のトークン化された取引を模倣し、ウォレット間でトークンを転送した。その結果、取引の確認時間はStellarネットワークの元帳(レジャー)が閉じる時間である6秒未満に一貫して収まった。これは、従来のレガシーシステムと比較すると、格段のスピードアップである。さらに、転送操作の平均コストは、Sorobanの永続的なストレージに対するリソース料を考慮しても、数セントの数分の一という極めて低い水準にとどまった。この結果は、DREXのような大規模なデジタル通貨システムにとって、経済的な実現可能性が非常に高いことを示している。ただし、彼は、ブラジル中央銀行の公式DREXアーキテクチャは許可型ブロックチェーンであるHyperledger Besuを使用しており、彼の実験は純粋に教育的かつ比較検討を目的としたものであることを強調している。
このプロジェクトから、主権通貨のトークン化は、単に優れた技術を導入するだけで解決する問題ではないという学びが得られた。その真の複雑さは、コンプライアンス(法令遵守)、プライバシーの保護、そして既存の伝統的な金融システムとの相互運用性にある。Rustコードは堅牢性をもたらしたが、ガバナンス、つまり統治や制度に関する意思決定こそが、デジタル通貨実装における真の課題であると彼は結論付けている。このプロトタイプの構築は、ブラジルのデジタル通貨の未来に対する彼の理解を深め、技術はすでに十分に成熟していることを示した。