【ITニュース解説】MacBookを開けたり閉じたりするときにオナラの音を再生する恐るべきアプリ「FartScrollLid」
2025年09月12日に「GIGAZINE」が公開したITニュース「MacBookを開けたり閉じたりするときにオナラの音を再生する恐るべきアプリ「FartScrollLid」」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
2019年以降のMacBook Proは、ディスプレイ開閉角度を検知するヒンジセンサーを持つ。この機能を利用し、MacBook開閉時にオナラの音を鳴らすアプリ「FartScrollLid」がGitHubで公開された。
ITニュース解説
MacBookの開閉動作に合わせてオナラの音を再生するというユニークなアプリ「FartScrollLid」が登場した。一見するとジョークアプリのように思えるが、このアプリの背後には、現代のデジタルデバイスにおけるハードウェアとソフトウェアの連携、そしてセンサーデータ活用の興味深い技術が隠されている。システムエンジニアを目指す者にとって、このような身近な事例から技術の原理を学ぶことは非常に有効である。
このアプリが実現可能になった背景には、MacBookに搭載された特定のハードウェア機能がある。具体的には、2019年にリリースされた16インチMacBook Pro以降のモデルでは、ディスプレイの開閉動作を担うヒンジ部分に、ディスプレイの「角度」を認識するためのセンサーが搭載されている。従来のノートPCのヒンジは、単にディスプレイを開閉させるための物理的な機構であったが、このセンサーはディスプレイがどれくらいの角度で開いているか、あるいは閉じているかを数値として検知する役割を担う。
この角度認識センサーが搭載されていることの技術的な意義は大きい。PC本体は、このセンサーから得られる情報をリアルタイムで取得し、ディスプレイが現在何度開いているのか、あるいは閉じているのか、さらにはどのくらいの速さで開閉されているのかといった状態を把握できる。このようなハードウェアからのデータは、通常、OS(オペレーティングシステム)を通じてアプリケーションソフトウェアに提供される。OSは、ハードウェアの複雑な挙動を抽象化し、プログラマが扱いやすい形式の「イベント」や「データ」としてアプリケーションに橋渡しする役割を果たす。例えば、ユーザーがディスプレイを開き始めたという「イベント」や、現在の開閉角度が「60度」であるという「データ」が、OSからアプリへと通知されるイメージである。
FartScrollLidアプリは、まさにこのOSが提供するセンサーデータを活用して機能する。アプリはバックグラウンドで常にMacBookのディスプレイ開閉角度に関するセンサーデータを監視している。そして、ディスプレイが特定の角度に達したときや、特定の速度で開閉されたときに、「条件が満たされた」と判断し、あらかじめ組み込まれているオナラの音ファイルを再生するという仕組みだ。プログラミングの観点から見ると、これは「イベントドリブンプログラミング」の一例と言える。特定のイベント(ディスプレイ開閉の動き)が発生した際に、それに紐づく処理(音の再生)を実行する、というシンプルな構造である。
このアプリの面白さは、単に音を出すことにあるのではなく、ハードウェアが取得した物理的な情報をソフトウェアがどのように解釈し、活用できるかを示している点にある。システムエンジニアリングでは、センサーから得られるデータをどのように処理し、どのような価値のある機能に変換するかが重要な課題となる。例えば、スマートフォンの傾きセンサーやGPSセンサーから得られるデータは、画面の自動回転、地図アプリでの現在地表示、ゲームでの操作など、私たちの日常生活に深く根ざした機能の基礎となっている。MacBookの角度センサーも、本来は画面の省電力制御や、特定のアクセシビリティ機能、あるいは将来的な新しいインタラクションのために設計されたのかもしれないが、FartScrollLidのように予想外の形で利用されることもある。
FartScrollLidがGitHubで公開されているという点も、システムエンジニアを目指す初心者にとっては注目すべき要素だ。GitHubは、世界中の開発者がソフトウェアのソースコードを共有し、共同で開発を進めるためのプラットフォームである。このような公開されたプロジェクトは「オープンソースソフトウェア」と呼ばれ、誰でも自由にコードを閲覧し、どのように実装されているかを学ぶことができる。FartScrollLidのソースコードを実際に見てみれば、MacBookのセンサーデータにアクセスする方法、特定の条件で音を再生するプログラムの書き方など、具体的な実装技術の一端を垣間見ることができるだろう。これは、教科書やチュートリアルだけでは得られない、実践的な知識を得る貴重な機会となる。
つまり、FartScrollLidは単なるふざけたアプリというだけではない。それは、MacBookというハードウェアの物理的な動きを、センサーがデジタルデータに変換し、そのデータをソフトウェアが解釈して特定の動作(音の再生)を引き起こすという、一連のシステムの流れを具現化したものである。この事例は、ハードウェアとソフトウェアがいかに密接に連携し、ユーザー体験を創造しているかを理解するための良い出発点となる。そして、システムエンジニアが将来的に開発するであろう、より複雑で実用的なシステムも、基本的な仕組みにおいては同様の原理に基づいていることを示していると言える。身の回りにあるデバイスがどのように動いているのか、その裏側にある技術を想像し、探求する姿勢が、優れたシステムエンジニアへの道を拓く第一歩となるだろう。